事例から学ぶ集客の知恵 No.4

高額塾のセミナー、受注獲得の手口は?

こんにちは。

戦略プロセス経営実践会の関口です

今回のタイトルは「高額塾のセミナー、受注獲得の手口は?」です。

 

私は「戦略とプロセスのデザイン屋さん」として、戦略とプロセスを明確化した事業デザインの支援を行っています。実は私、売上1億円未満の個人事業主・零細事業経営者を対象にしたサービスについてもよくチェックします。

 

日本でスマホが発売されてから間もない2009年頃と比べると、今ではスマホを使って学べるビジネス(オンライン)教材が増えました。また当時よりもSNSを通じた人の結びつきが大きく広がりつつあります。

このような環境の変化に伴い台頭してきたのが高額塾や会員制ビジネスです。会員制ビジネスについては別の機会に改めて詳しく解説しますが、今回は「高額塾の受注獲得の手口」についてでお伝えします。

もしかしたら「高額塾」と聞いて「?」と思う人がいるかもしれません。なぜなら高額塾などと称して案内するバカな人はどこにもいないからです。殆どの高額塾は、グループコンサルティング、ワークショップ、●●塾、○○会などと称して案内されます。

これは、よく目にする研修会と同じなのですが、料金がやたらに高いという点が特徴です。もちろん良心的なところもありますが、驚くほど高いところが多いのです。それにも関わらず、「これはお得だ」と思わせるところがポイントなのです。

1,5002,000円程度の書籍に書いてあるような内容を、1人40万円以上の高額商品(2日間の研修コースなど)に挿げ替えて巧みな演出で販売されていることもあります。

高い料金でも個別指導ならよくわかります。ところが、10~50人と多数の中の1人としての参加にすぎません(主催側の集客力によって参加人数が変動します)。会場参加以外にもオンラインの参加者・受講者も含めると数百人以上が同じ日時に視聴していることがあります。とにかく、ハッキリしているのは、受け身で聴く時間が殆どということです。

このように多数の中の一人としての参加にも関わらず、1日当たりの参加料が10万円を越える塾もあります。だから、受け身で聴いているだけなのに、計3回(3日)の参加料が40万円以上だったりするわけです。

 

さて、高額塾の主たる集客方法はネット(SNSなど)の活用です。ネット上では「無料レポート」のようなオファーを与えるかわりに、メアドを集めるというやり方は2002年頃から盛んに行われていました。以前はヤフーやグーグルの広告(オーバーチュア、アドワーズ)しかなかったのですが、今ではFacebook広告、LINE、YouTubeなどが使われており、多岐に渡る方法が行われています。

とにかく、ネット系のツールを駆使することが基本であり、ステップメールを送ったり、YouTube動画を視聴させたり、Facebookにグループを作ったりしながら関係づくりを行うのです。

そういう努力をしながら、まずは説明会・セミナーへ誘導します。「○○塾説明会」「体験会」と案内する人がいる一方、○○セミナーと名付ける人もいます。料金は手頃な1,000円から5,000円くらいが一般的です。無料でオファーする人も少なくありません。逆に、初回から3時間のセミナーで5万円、6万円という値付けをする人もいます。見込み客との関係が構築されていればそのような強気の値付けも可能になるのです。

とにかく、その説明会・セミナーの開催を通じて初めて見込み客と顔を合わせることになります。

 

なお、余談ですが、私が調べた限り、個別対応でもないのに、初めての説明会・セミナーの場において、いきなり3万円くらいの値付けをするような人は社長向けの企画とはいえ頓挫しがちです。ある程度、関係を構築した(信頼を得た)上で3万円を提示する方法であればOKですが、見知らぬ人に対しては上手くいきません。

いきなり高値で人を集めようとする人(例えばコンサルタント)の場合、特定の日時に開催する説明会・セミナーを繰り返し企画しても、なかなか集めることができないのです。

とにかく、ここからが重要なのですが、説明会・セミナーの開催に際して上手い人と下手な人の違いをお知らせします。私が言う「上手い」とは、「話が上手い」とか「価格の割に内容が充実している」という意味ではありません。

一般的な「良いセミナー」という意味ではありません。

そうではなく、説明会・セミナーの当日に「はい、私も申し込みます!」と申込みさせてしまうことが上手いという意味です。

ちょっと、その前に…先に下手な人のやり方を説明します。

下手な人はかなり真面目に説明会・セミナーを開催しようとします。真面目に「あれも、これも」とノウハウを提供しようとします。それは素晴らしいことです。説明会・セミナーに参加した者にとってありがたいことです。私もそのようにしています。

確かにそういう説明会・セミナーを開催すると、アンケートを回収した際には「満足した!」欄に多くのチェックを目にするはずです。ところが、「満足した!」欄へのチェックが必ずしも次の受注に結びつくわけではないのです。

 

では、上手い人は何をやっているでしょうか?

上手い人はまず、5,000円以下の手頃な価格でセミナーに誘導します。そのセミナーへ誘導する際は、「高額塾の存在(高額塾を売り込むこと)」を参加側に一切伝えていないことが多いです。例外もありますが、セミナーに申し込んだ人は、高額塾の存在(高額講座を、後に巧な方法で売り込まれること)を知らされることなく参加していることが多々あります。

そして、セミナーではノウハウをチョロっと出してくれます。というか、特に優れたノウハウがあるわけではないのです。

芝居が上手いのです。

 

では、一体、何をやっているのでしょうか?

それは、参加者に「あっ、私も申し込みたい!」と思わせる演出に力を入れているということです。これが全てなのです。「その気にさせること」にフォーカスしているということです。セミナーの当日に、その場で申し込みさせてしまう演出と表現できます。

では、具体的にどのような演出をしているかと言うと、終始、やたら「怪しいモノ」を見せつけてくるはずです

その「怪しいモノ」とは何でしょうか?

 

その正体は「顧客役の協力者」です。 

そんな協力者と共に芝居を演じているとも言えます。No.3でお知らせした「ダイナミック通販」の話を覚えていますか?

あの番組と同じように、他人に協力してもらいながら芝居をしている人が少なくないのです。その典型が、仲間に「顧客」を演じてもらう方法となります。

仲間同士で「○○さんはスゴイ!ぜひ、おすすめします!」「○○さんは○○○分野のカリスマです!」「月に20~30万円しか稼ぐことができなかった僕が、○○さんのおかげで4カ月後には月商500万円を越えました!」などと仲間同士(グループ)で協力しあって演出することがよく行われています。

参加者をその気にさせるために、周到に準備し、仲間同士で協力しながら巧みに演出しあっているのです。No.12で詳しく説明しますが、仲間同士で協力しあえば、売上もあっという間に3倍、5倍にもなります。

【注意】必ずしも全員が全員、怪しいわけではありません。

そうやって「あっ、私も申し込みたい!」「私も欲しいな!」とセミナーの参加者の気持ちを熱くさせたところで、ようやく高額塾の内容の説明が始まるのです。その時点では、既に聞き手(参加者)は「私も欲しい!」とその気になっているので、高額塾の内容が大したことなくても、良く見えてしまうです。

だから、内容を詳しく説明しないケースが多いです。というか、説明しなくても済むのです。

好きになってしまった異性については、その人が何をやっても良く見えてしまう。

それと同じですね。

いいですか?

実は、セミナーでは、全てが始めから終わりまで「高額塾」へ誘導されるための「筋書き」を聞かされていただけなのです。周到に準備されていたということです。

そして最後に価格が伝えられるのです。

その価格も実にいい加減なものです。初めからちゃんとした価格を提示されることはありません。例えば128万円などと1つ目の価格をまず見せてくることでしょう。そして「○月○日まで○○キャンペーン中!」などと言って2番目の価格(例:108万円)を告げてくるのです。

そして肝心なのは次です。セミナー会場の後方で居眠りをしていたはずの担当者が突然立ち上がって申込書を配り出し始めるかもしれません。あえて「申込書(紙)を配る」というパフォーマンスに意味があるのです。これも演出の一部です。

その申込書には「空欄」のスペースが用意されているかもしれません。上手い人は、その空欄(価格欄)に数字を書き込ませる演出をするでしょう。その価格欄に3番目の価格を、参加者本人の手で記入させるのです。

理解できていますか?

セミナーの参加者に敢えて手書きさせるのです。これがポイントです。「本日、お申込みの方に限り、さらに20万円引きの88万円まで値引きします!」などと伝えて、「では○○欄に88万円と書いて下さい!」などと告げて、参加者に金額を記入させるのです。そのための時間も用意されているのです。ペンまで用意されていることもあります。

このように、最初にわざと高い価格を見せてその高値を印象づけるのです。そして、最終的には最初に提示した128万円より40万円も低い金額で落ち着くというわけです。

最初の金額はデタラメ(見せかけ)なのです。

こうやってお得感を演出しながら、見込み客(セミナーの参加者)に考える余裕を与えることなく、「今すぐに申し込まなきゃ!」と思わせ、申し込みさせてしまうのです。会場内の人たち(見込み客)に対しては、「考えさせない」「比較させない」「相談させない」ということが原則です。

だから、(個人事業主に対して)88万円という高額サービスにも関わらず、本人に迷わせることなく、わずか5~7分程度で決断させてしまう! そういう手口なのです。

セミナー会場から去ってしまう前に決断させてしまうのです。

申し込んだ本人は、翌朝になって「あっ、昨日は大きな買い物をしたな!」や「個別指導でもないのに1日10万円を超える金額だよ。よく考えてみたら高すぎないか…?」などと後悔しても後の祭りです。

クーリングオフが適用されますが、それを知らない人も少なくありません。だから「まあ、いいか!」「せっかくなので、やってみようか?」などと考え始めてしまうのです。

実は私も申し込んでしまい後悔したことがあります。だから、その瞬間、瞬間の感情の変化についてもよくわかります。

個別指導ならわかりますが、複数の中で学ぶ合同勉強会です。6~50人以上の参加者の中の一人として受け身で学ぶ単なる研修会です。最後に質問の時間があるかもしれませんが、殆どの時間は受け身で聴いているだけ。今ではオンラン開催も増えてきました。この場合、パソコンと睨めっこしているだけです。

それにも関わらず、1日数時間につき10万円を越える参加費を払うことになるのです。

でも、これについて、逆の立場から見たら、どうでしょうか?

30人も集めると高額塾の主催側にはわずか1日で300万円(10万円×30人)以上もの大金が転がり込んでくることになります。わずか5人集めるだけでも1日当たり50万円以上もの売上になります。

40万円のコースの場合は、30人も集めればなんと売上1,200万円になります。50人を集めれば、2,000万円ということ。

今はオンライン参加・受講が一般化してきたので、Zoom等を使った非対面式の開催にも関わらず高値の設定が可能になるのです。

スゴイと思いませんか?

最後に、ちょっと余談ですが「ミラサポ」という国の支援制度があります。専門家派遣事業については、令和3年4月から「中小企業119」に変更となりました。

格安料金でコンサルティングのサービスが受けられる制度です。これにコンサルタント(専門家)として参加すると、コンサルタント側にいくらの謝金が支払われるか知っていますか?

1時間に約5,000円です。しかも1日最大3万円です。事前の準備に10~20時間も費やしても1時間の訪問につき5,000円ということになります。

この違いの大きさ、わかりますか?

さすがな集客方法(マーケティング)です。

 

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