戦略とプロセスを明確化した事業デザイン:自らに選択肢があることを知りながら「できない」を「できる」に!
戦略プロセス経営実践会が考える「戦略的PR・広報」とは、自社製品・サービスの需要を喚起することを目的に、「お願い営業」や「あえてこちらから接近」をすることなく、「ぜひ、欲しい!」「ぜひ、頼みたい!」とお願いされる状態(流れ)をつくるために、必要な取り組みを意識的かつ戦略的に行うことです。
そのためには、何よりも潜在顧客から「●●なら○○社(←貴社名)」と認知してもらうことです。これはポジショニングを築くことでもあります。
「自社の製品・サービスには自信があるのだが…」という中小企業の中には、PR・広報の発想があまりにも限定的な(ない?)ところが少なくありません。
原因は「職人気質である?」あるいは「良いモノは必ず売れる…」などと考えており、経営者にマーケティングの概念が欠けていることかもしれません。
一方、PR・広報活動が重要であることをよく認識している経営者も多数いますが、「何を」「どこから」「どのように取り組むべきか?」がわからぬまま、結局、「目先の売上づくり」に躍起になっているだけという企業が少なくありません。
また「PR・広報=プレスリリースを配信すること・イベントを開催すること」程度に考えている人も多いようです。
さらに、メディアへの露出を獲得さえすれば売れるようになる…このような甘い期待を抱いている経営者も少なくありません。
そこで当会が考える「戦略的PR・広報の強化」について少し詳しく説明します。
今はインターネットを駆使する時代です。プレスリリースの配信代行業者は多数あります。格安でプレスリリースの配信を代行してくれる業者もあれば、定額「配信数無制限!」のサービスもあります。
しかし、逆の見方をすれば、毎日あふれんばかりのプレスリリースが配信され続けているのです。プレスリリース作成のプロと名乗っている人に書いてもらい「見せ方」をいくら工夫したところ、メディアに取り上げてもらえるわけではありません。
リリース作成のノウハウは必要ですが、それだけでは意味がないのです。リリースは告知する(情報発信する)ための手段の1つにすぎないからです。
また情報の「探し手(メディア)」は、リリースだけを見ている(チェックしている・情報を探している)わけではないのです。
私は何度か経験しており痛感していますが、特にテレビ、しかもキー局の影響は非常に大きいです。番組で紹介されると、放送直後からドカドカと注文の電話が鳴り続くことがあります。これは当然ながら売上に直結します。
そういった実態を踏まえて、資金力の潤沢な企業の一部は、大金を投入し、PR会社と契約する、あるいは、タレントや研究者を広告塔として活用するなど、あの手この手でメディアに取り上げてもらう努力をします。
私もいろいろと経験しました。わずか2分ほど、しかも地方局の早朝番組の企画(おまけに週末の放送)に組み込んでもらうために、PR会社に130~140万円もの支払いが生じたことがありました。
しかも、飛行機に乗って、地方局のスタジオまで出向いたのです。地方局の職員らと簡単な打ち合わせした後に、収録に臨みました。ところがその時、翌日の放送時間が急遽変更になったことを知らされました。朝の7時の放送予定が朝5時台へと変更になったのです。
残念ながら、注文に結び付くことはありませんでした。
当時はよくわかっていませんでしたが、その後「一発花火」の状態をわざわざカネで取りに行くことよりも、遥かに重要なことがあると気付いたのです。受発注の体制構築は当たり前ですが、社内に周到な準備がなされなければ、単なるラッキーな「一発花火」が打ち上がるだけでオシマイになってしまうということです。
重要なことは企業の「PR・広報活動」に対する姿勢であり、日頃からの行いです。
「戦略」という土台がしっかりしていることが「戦術(やツール)」を活かす前提
FacebookやLINEなどのSNS系の新しいツールがビジネスでも使われるようになりました。今後も次から次に新しいツールが登場してくるはずです。
でも目的や目標を明確にしていないまま、「ウチもやろうかな?」「皆がやっているから!」などと、興味本位で使い始める事業者が非常に多いのではないでしょうか?
「DX化の波に乗り遅れてはならない」などと、むやみに躍起になっているだけでは? SNSなどの新しいツールに手を出し、それを使うことが目的になっていないでしょうか? 使い方を覚えたり、それを使って情報を発信することで満足していないでしょうか?
「とりあえず使ってみて、使いながら目的を考える」という考え方もありますが、こういったツールは土台となる「戦略」を明確化した上で活用すべきなのです。
最も重要なことは「戦略的PR・広報の強化」や「メディア戦略の強化」が自社の事業戦略に包含されなければならないということです。PR・広報活動が自社の「戦略」とリンクしていなければならないのです。
つまり、戦略的PR・広報の活動を、「単発のイベント」や「業者任せの仕事」として片づけようとするのではなく、「戦略シナリオの設計」の中に上手く位置づけることが重要なのです。
テレビや新聞への露出のインパクトは大きいですが、「プレスリリースの作成だけ」「PR・広報活動だけ」を頑張ってもダメ。
事業の戦略全体が上手く機能するよう「事業を構築すること」が必要であり、一連のプロセスを確立することです。そこにPR・広報の活動を上手に位置付けることです。
もしPR・広報活動を単発的な活動やイベントとして捉えているのであれば、PR会社や広告代理店にお金を払い、丸投げすれば済む話です。
当会が支援する「戦略的PR・広報の強化」の特徴は、戦略的PR・広報を「戦略シナリオの設計(戦略ストーリー)」の中に上手く位置づけることです。「事業戦略への包含」「事業戦略との一体化」ということです。
当会では「事業は1つ1つが繋がりあって動くチェーンの如く、1つの大きなシステムである」と捉えています。「戦略的PR・広報の強化」についてもチェーンの1つとして捉えた上、事業全体を構築することが先決であると考えています。
そこで当会では、戦略とプロセスを明確化した事業デザインの一環として中小企業に「戦略的PR・広報の強化」を支援しています。
PR・広報が、企業活動(事業戦略)から独立した「単発のイベント」のような取り組みになっていたらマズイのです。事業戦略と一体化させることです。
さらにメディアの取り上げられ方にも色々あります。必ずしも自社名や自社の製品・サービスが直接取り上げられる必要はないのです。「話題性・公共性のあるテーマ」や「取材対象になりやすい場」などに「便乗する」「相乗りする」ような方法もあります。
その方が遥かに露出しやすいのです。だから、公(行政)と上手く絡む方策をおすすめしています。それこそが「PRのブルーオーシャン」となります。
とにかく「戦略的PR・広報の強化」の基本は、日頃から情報の発信や蓄積をすることです。
なお、私、関口が取り上げられた実績の一部はこちらのページをご覧ください。
「成功パターン」をつくるためにと題して経営者や事業の責任者にお届けするコラム。6つのテーマに分けてお届けします。