戦略とプロセスを明確化した事業デザイン:
自らに選択肢があることを知りながら「できない」を「できる」に!
【ビジネス書018】
2020年 11月 6日(金)
片づけコンサルタントとして世界で活躍する近藤麻理恵さんの新作を読みました。この本は近藤さんがアメリカ人の大学教授と共に書き上げたものです。
当初、タイトルになっている「Joy at Work」という表現を見た時は何の本だかわかりませんでしたが、「片づけでときめく働き方を手に入れる」というサブタイトルを目にしてなんとなく伝わりました。こんまりメソッドは単なるモノの片づけだけではないことも、この本を通じてよくわかりました。
この本では、仕事場における片づけ方法以外にもさまざまな片づけについて教えてくれます。冒頭には次のようなことが書かれていました。
これからお伝えする片づけは、たんにデスク周りをスッキリさせることが目的ではない。片づけを通じて、自分と対話すること。なぜ仕事をしているのか、どういう働き方をしていきたいのか、仕事における自分の価値観を知ること。最終的には自分の仕事に対して迷いなくエネルギーをそそげるようになることこそが、仕事において片づけをする本当の目的。
さて、本の中で何回も繰り返されるキーワードは「ときめき」です。「どきめくかどうか?」があらゆる片づけにおける判断基準となるのです。
まず、仕事場の片づけについては、「自分にとって、ときめく働き方はどんなものか?」「仕事をする上で、大切にしたい価値観は何なのか?」と問いかけることが、片づけをする前にやるべきことだそうです。
そして片づけのポイントは「一気に」「短期に」「完璧に」、そして「カテゴリー別に」行うことです。
また、片付いた状態がキープできる人に共通する特徴が紹介されていました。それは「片づけをしてどういう自分になりたいのか」という目的意識が明確で、自発的に片づけに取り組むとのこと。
さらに、理想の働き方について、片づけが終わったあとの自分の毎日が映像として思い浮かべられるくらい、「環境」「行動」「感情」の三つの要素から詳細に考えてみることを近藤さんはすすめていました。
大切なのは「どんな環境ならときめいて仕事ができるのか?」とのこと。つまり、自身の「ときめき基準」を知っていること。その「ときめきの基準」を発見するのに、片づけは大いに役立つのです。
さらに、本の中では、理想の働き方を考えるステップとして、物理的な片づけだけでなく、非物理的なことの片づけについても紹介されていました。
例えば、「パソコンのデスクトップは、ワークスペースでいうデスクの上にあたるので、その日に使いたいものだけ置いておきたい」とのこと。また、スマートフォン向けに多数のアプリが出回っていますが「このアプリは必要不可欠か?」「このアプリは仕事に役立っているか?」「このアプルにときめくか?」という三つの問いかけをし、残す価値がないと思えたアプリは、きっぱり手放した方が良いとのこと。
この本で紹介されていた内容は、仕事場の片づけだけではありませんでした。
例えば、活動の片づけがあります。これについて、活動の散らかりを生み出してしまう罠は三つあると書かれていました。それは「成果を求めすぎてしまうこと」「重要性ではなく緊急性を優先させてしまうこと」「複数の作業を同時にこなす、マルチタスク」です。
「ときめきを感じる活動に時間を割き、そうではない活動の時間を減らそう」ということです。そのためには「本当にやりたいことは何なのか?」「自分はどんな人間なのか?」ということをしっかり心にとどめておくことが間違った目的を追求して後悔の罠に落ちることから救ってくれる!そう近藤さんは述べていました。
全くその通りだと思いました。「本当にやりたいことは何なのか?」ということを明確にすることは、私が指導している『「戦略ありき」の事業構築』や『独立経営コンサルンとの今すぐ改革』で重要視していることでもあります。これを明確にしていないと、「こんなに儲かった!」などの宣伝話に期待感を刺激されてしまい、間違った目的を追求してしまうからです。そして、2年、3年、もしかしたら5年くらい経過するまで、そのことに気付かないかもしれないのです。
また、巷ではマルチタスクに取り組むことを勧める人も少なくありませんが、この本では「複数の仕事を同時にすると生産性が低くなりがち。人間の脳が同時に考えられることは限られている。ですから、いくつもの作業を抱えてしまうと。どれも中途半端な結果になってしまう」と、あくまで一つのタスクにフォーカスすべきと書かれていました。
さらに、タスクの片づけについてもポイントは「ときめくかどうか?」でした。「このタスクは、自分が働く上で続ける必要があるか、それほど重要なのか?」「このタスクは昇給や昇進、スキルの向上など、ときめく未来を実現する未来を手助けになるか?」「このタスクは、ときめきを感じさせ、仕事にもっと多くの満足をもたらすか?」と問いて、タスクを評価するのです。
ところで、近藤さんのタスクの片づけについては、「まったく、その通り」と感じた文がありました。それは「自分をいい状態にすることを第一優先にしよう」という内容です。その理由として「スケジュールがパンパンに詰まり、ゆとりのない状態で仕事をしていると、心がどんどん枯渇していってしまう」とありました。その通りだと思いました。
近藤さん曰く「私たちはノーと答えることに罪悪感を抱くせいで、無用なタスクを簡単に引き受けてしまうのだそうです。罪悪感とはさよならしましょう」と。
この本には、一見すると片づけとは関係なさそうな決断や人脈についても書かれていました。
これについて、私たちの多くは散らかっている仕事場のモノたちを片づけることとはまったく違うように思うかもしれませんが、実は全く同じとのこと。次のように書かれていました。
要するに、残す価値のあるものはどれか?もっと端的に言うならば、時間とエネルギーを注ぐ価値のる決断はどれか? ささいな決断にこだわらなければ、もっと重要な決断に時間とエネルギーを割けるのです。たいていの決断は完璧でなくても十分。
また、人脈についても「ときめき」がポイントです。近藤さんは「ときめきの源泉にしましょう」と述べていました。「一緒に過ごす時間を楽しめ、助け合い、あなたの成長や成功を気にかけてくれ、挫折や失敗を打ち明けて相談できる、そんな人たちおのつながりを築きましょう」とありました。
なお、今流行りのSNSの活用については否定的でした。「ソーシャルメディアに時間を使えば使うほど、あなたの幸福度は減少します」と言い切っていました。そして、ソーシャルメディア上の登場人物と自分を比べて落ち込んだりするのはやめて、理想のワークスタイルに向かって自分がどれくらい進歩したのかを、自分に問いかけてみましょう」と書かれていました。
さらに、近藤さん自身のエピソードの紹介がありましたが、これが彼女の人脈づくりにおける反省でもあったようです。
近藤さんは、会社を辞めて片づけコンサルタントとして独立したばかりの頃、人脈づくりに精を出していたそうです。自分のビジネスをより多くの人に知ってもらおうと、セミナーや異業種交流会に参加し、たくさんの人と名刺交換したものの、次第に違和感を覚え始めたとのこと。
その理由は、知り合いが増えれば増えるほど、イベントやパーティ、飲み会のお誘いが増え、スケジュールがパンパンになって、本当にやりたいことに時間が避けなくなってしまったから。このようなことから、違和感を抱くようになり、一度人間関係をリセットしたそうです。
日本で売れっ子となり、TV番組に何度も出演し、その後はアメリカに拠点を移して世界で活躍する近藤さんですが、一時期はLINEの連絡先が家族を除いて10人になるまでに減らしたそうです。「そこまで片づけたの?」と思いましたが、「実際にやってみて心がとても軽くなりました。残した人をより大切にできるようになりました」と述べていました。
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