【マーケティング030】 

2023年5月30日(火)

こんには、関口です。

ネットでの買い物では、ネット上で情報を得てその場で購入できる商品やサービスがある一方、即決できないものも存在します。つまり、商品やサービスによって買い手の行動パターンが異なるのです。

先日、ある会社のオンラインセミナーに参加し、ネット販売に関する情報を少し得ました。今回のコラムでは、その情報を共有し、さらに重要なポイントについて説明します。

ちなみに、私が参加したセミナーを開催した会社は、いつも同じパターンを繰り返します。セミナーの後半になると売り込みが本格的に始まり、決まって30~80万円程度の高額商材の購入をすすめてくるのです。このセミナーについても、いつものように高額商材に誘導するためのものでした。私はその意図を理解した上で聴講しました。

ネット上で販売する場合、主に2つのアプローチがあります。一つはウェブ上で直ちに購入できる「即決型の商品・サービス」向きのやり方です。もう一つは「相談型の商品・サービス」向きとなります。これについては購入前に売り手との対話が求められます。

セミナーで説明していた男性は、多くの人が相談型の商品・サービスを販売しているにも関わらず、即決型と同じアプローチを取ってしまうことが上手くいかない要因であると指摘していました。個人的には、「ポイントはそこではない」と感じましたが、それはさておきます。

この問題を解決する、つまり相談型の商品・サービスを販売するためには、ウェブ上で確認できる環境を提供することです。即決商品・サービスの販売のようにウェブを活用した集客力を活かしながらオンライン上で確認できる場を提供するのです。

このような状況に対しては、以下の通り2つの対応策があります。1つは「オンライン説明会」を開催することです。もう1つは「コンサルセールス」を行うこととなります。いずれかの策を講じることで、ウェブ上で確認できる環境を提供することができます。

ちなみに、前者のオンライン説明会型は、多くの人々に向けてオンライン上で商品やサービスの説明を行う方法となります。この方法では「1対多」の形式でオンライン説明会を開催します。一方、後者のコンサルセールス型は、個別の顧客と「1対1」で対話しながら商品やサービスを提案することになります。この2つを使い分ける必要があります。

ちなみに、オーダーメイドの商品やコンサルティングサービスなどには、コンサルセールス型が適しています。一方、ちょっとした商品や講座、サービスに関しては、オンライン説明会型が適しています。

また、商品やサービスの価格に応じた使い分けが求められます。100万円以上の高額商品の場合には、コンサルセールス型が適しています。一方、50万円以下の商品であれば、オンライン説明会型が適しているとの説明がありました。

このように、即決型と相談型の違いを理解し、適切な販売方法を選択することで、ネット上での販売力を向上させることができます。

さて、相談型の商材の販売は、一体、どのような流れになるのでしょうか? これについては、1)セッションの中身を作る→2)集客用のLP(ランディングページ)を作る→3)アクセスを集める、という流れになります。しかし、LPを作っただけではアクセスは集まりません。だから、LPにアクセスを集めるためにFacebookやYouTubeなどに広告投資をすることが必要であるとの説明でした。

少し脱線しますが、このような説明の後に商材を売り込むのが、このセミナーを主催した会社の常套手段です。例えば、今回の場合は「売れるランディングページの作り方」「成功するFacebook広告」「YouTube広告で億り人になる」などというタイトルで高額講座を案内することができます。実際、このセミナーの後半には、約40万円の商材が案内されました。それは複数の商材をセットにした商材でした。それぞれを個別に購入すると200万円以上かかることを示した上で、それが約40万円で購入できるとお得感を強調した販売を行っていました。

さて、話は戻りますが、先に述べた広告投資でLPにアクセスを集めるやり方には大きな問題点があると私は感じました。それは、セッションの中身を作るためには大がかりな準備が必要であり、さらにLPを作成し、広告でアクセスを集めるために費用を投じる必要があるからです。広告費を投入すること自体は問題だと考えていませんが、この費用の回収ができなくなる可能性があるのです。

具体的な例を挙げて説明します。仮に広告費に50万円を使ったとしても、最終的に40万円の講座に4人が申し込んでくれれば、4人 × 40万円 = 160万円の売上が得られ、広告費50万円を差し引いても110万円の利益が生じます。セミナーではこのような考え方が述べられていました。

しかし、実際にはこのように上手くいくかどうかの保証は全くありません。だからこそ、広告の本質を理解し、黒字化までの時間軸を把握することが重要ではないかと考えています。これについては、「広告の本質を理解し、黒字化までの時間軸を理解しよう!」という下記に示した別のコラムを参考にしてみてください。

私は、次の点にも留意すべきだと考えています。それは、商材の価格が高いため、わずか2名や3名といった申込み数の違いが損益に大きな影響を与えることです。数億円以上の売上がある会社と異なり、個人事業主や小さな会社の場合、広告の予算は非常に限られているはずです。広告に投入する費用が少なくなれば、それに比例して獲得できる顧客数も制約されることになります。わずか2名や3名といった獲得数の差が損益に大きなインパクトを与えるのです。

文章が長くなるため詳細な説明は避けますが、この点についてよく考えてみることをお勧めします。

「本当にLPは必要だろうか?」「LPがないと見込み客を集めることはできないのか?」と真剣に考えてみることです。

また、今回のセミナーでの教えはネット広告に投資して、LPにアクセスを集めることが前提条件となっていました。この場合、広告投資に対するリターンをいかに高めるかが全てとなってしまいます。

しかし、よく考えてみてください。目的は販売することです。そして利益を得ることです。だから、必ずしもネット広告に依存する必要はないのでは?

過度に「ネット広告ありき」「ランディングページありき」の考え方に囚われてしまうと、さまざまな高額講座(実際には動画を視聴するためのアクセス権が得られるだけ)へ誘導されてしまうだけでしょう。

だから、このネット広告に投資してLPへ誘導するというアプローチについても、「これが本当に自社が取り組むべきことか?」と、少し広い視野から慎重に考えてみることをお勧めします。

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