戦略とプロセスを明確化した事業デザイン:
自らに選択肢があることを知りながら「できない」を「できる」に!
【関口のつぶやき、感じたこと 091】
2024年 2月 2日(金)
こんにちは、関口です。
前回のコラムでは、中小企業が自治体市場へ参入するための戦略的アプローチをご紹介しました。ターゲットの明確化、低コストのリサーチ、競合状況の分析などのキーポイントをお伝えしました。これらの基本概念を理解した上で、自治体市場への参入が現実的かどうかを評価することが重要です。
また、どの部署や担当者にアプローチすべきかを明確にする必要性にも触れました。例えば、環境問題に関する提案であれば環境政策課、介護予防に関する提案であれば高齢福祉課など、目的に応じた部署(課)を正確に選ぶことが重要です。
調査の結果、参入の機会がある(勝算あり)と見込んだら、次は具体的にその課に接触を試みる段階へと進みます。
さて、自治体へのアプローチには主に2つの方法があると私は考えています。一つ目は「企画の持ち込み」で、これは少し手間がかかりますが、大きなリターンを獲得できる可能性があります。このアプローチの成功は、戦略シナリオがあるかどうかにかかっています。これは、機会が見えており、それを実現するための計画(ロードマップ)があるということです。
機会が見えていなければ、「手間がかかる」「時間がかかる」とマイナス面ばかり感じることでしょう。それに、売上が100万円にも満たない物品購入などの場合はこのアプローチは止めた方が良いです。
もう一つの方法は「公募案件への応募」です。これは民間営業でいう「コンペに参加する」というプロセスを経ることになります。
それでは、これらのアプローチについて、さらに詳しく見ていきましょう。
企画の持ち込みを民間の事例で例えるならば、PR会社がテレビ局に対して「こんな企画はどうでしょうか?」と提案するプロセスと類似しています。
この提案は、特定の商品や場所が番組内で紹介されることで、直接的な収益が生まれる可能性があると判断された上で行われます。このように収益の可能性が見えていれば、PR会社は積極的に提案を行います。
このように大きな可能性(採択の可能性やその後の広がり)があると判断した場合は、企画の持ち込みが有効です。しかし、重要なのは単に提案を行うことよりも、むしろ「関係を構築する」ことです。
それに、理想に近い形で提案が事業化されたとしても、直ちに契約に至るわけではありません。そこが民間案件との違いです。重要なことは形式上・手続き上、他社と競い合っても、自社に有利に働くような細工を施すことです。それが最大のポイントとなりますが、この話を始めると長くなるので、別の機会にお知らせします。
多くの中小企業経営者は、自治体事業への参入が面倒で時間がかかると感じ、その魅力に気づかないことが多いです。彼らは『面倒だ』『時間の無駄だ』と感じることが多々あります。その理由は、即時のリターンを求める傾向にあるため、長期的な視点を持つことが難しいからです。
しかし、ここで重要なのは、この『見えにくい魅力』には大きな機会を秘めているという点です。次に、この隠された魅力とは何か、そしてそれをどのように捉えるべきかについて見ていきましょう。
前述しましたが、多くの企業経営者が自治体事業に魅力を感じない一方で、実は大きな機会があります。その魅力とは、一つの自治体での成功が他の自治体へと展開可能であること、すなわち、地元での実績を基にした水平展開が可能になるということです。
このアプローチは、事業のスケールを広げ、より多くの自治体との関係構築につながります。
「参入可能」と判断したら、自治体との接点作りが重要です。以下に、接点の作り方を紹介します。
1つ目は、イベントやセミナーへの参加です。自治体が主催する公開イベントやセミナーに参加することです。これらの場を通じて、自治体の担当者や関連する事業者と自然な形でネットワーキングの機会を得ることができます。
2つ目は、自治体が主催する地域コミュニティへの貢献です。地域のコミュニティイベントや活動に参加し、社会貢献を通じて自治体との良好な関係を築くことができます。このような活動は、自治体からの信頼と評判を高める効果があります。
3つ目は直接アプローチとなります。 前述の2つのアプローチは、地元や近場の市町村でなければできません。しかも意外と面倒です。そこで私はこの3つ目をお勧めします。これは自治体の担当部署に直接連絡を取る方法です。この方法であれば、遠方の自治体へアプローチすることも可能です。
このコラムでは、自治体事業への参入とその中での戦略的アプローチ、特に「企画の持ち込み」と「公募案件への応募」という二つの方法を紹介しました。 また、自治体との最初の接点の作り方についても具体的なアドバイスを提供しました。これらのステップを踏むことで、中小企業の皆さんが自治体市場への参入を成功させる可能性が高まります。
次回のコラムでは、「最初の一歩の踏み出し方」の3つ目のアプローチとして紹介した「直接アプローチ」についてもう少し詳しく説明します。最初のハードルは面談の場を得ることです。ぜひご期待ください。
自治体市場は、多くの中小企業にとって未開拓の機会が溢れています。次回のコラムも、貴社事業に新たな視点と価値をもたらすことを目指します。
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