戦略とプロセスを明確化した事業デザイン:
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【経営・戦略019】
2022年 11月 18日(金)
こんにちは、関口です。
今回は、「社長、それって経営計画書ではありませんよ」と題したコラムの続きで、中小企業の経営計画についてお伝えします。
「小さな会社は経営計画で人を育てなさい」の本によると、本来の経営計画からかけ離れたものにも関わらず、それを「経営計画」と称している会社が数多くあるとのこと。そこで、前回のコラム「社長、それって経営計画書ではありませんよ」では、「経営計画もどき」のパターンをいくつか紹介しました。
では、「経営計画もどき」とは異なり、本来の計画とは一体、どういうものになるのでしょうか?
それについては「自社の理念やビジョンを達成するためのもの」となります。しかし、「計画書に何かを記載するか?」については、ケース・バイ・ケースなのです。
私が読んだ「小さな会社は経営計画で人を育てなさい」という本には「経営計画」には10項目が必要であると記載されています。この10項目は、大きく「理念」「目標」「人材育成」の3つに分類されます。
ちなみに、この本の著者は人事系のコンサルタントです。そういうこともあり「人材育成目標」という一般的な経営計画にはあまり目にしない項目が含まれているのです。
とにかく、この本に書かれていた経営計画に必要な10項目は次の通りとなります。
1.経営理念
2.基本方針
3.行動理念
4.人事理念
以上の4項目が「理念」に分類されます。
5.ビジョン
6.5カ年事業計画
7.戦略
これら3つが「目標」となります。そして、「人材育成目標」として次の通り3項目が記載されています。
8.現状の人材レベル
9.5年後の社員人材像
10.ギャップを埋めるための課題
以上の10つが経営計画に盛り込むべき項目となります。先に書いた通り、人事系のコンサルタントの方が書かれた本なので、人材育成がキーワードとなっており、これが重要視されているのです。
さて、本の中には「経営計画」に必要な10項目のなかで、業績への影響力が大きいにもかかわらず中小企業が不得手とするのが「戦略」であるとの記載がありますが、これについては私も同感です。
「戦略」については、わかっているようでわかっていない中小企業の経営者が多いと思います。しかも、巷にはさまざまな定義が出回っています。そこで少し紹介します。
例えば、「小さな会社は経営計画で人を育てなさい」には次の通り書かれていました。
会社が目指す「ビジョン」を実現するためにこれから何をするのか、どう動くのかを具体的に定めたものが「戦略」です。
これは非常にわかやすく、シンプルに表現されていると思います。だだし、個人的には少し物足りなさを感じています。そこで「計11のケースを通じて戦略的思考を学ぶ」のコラムに紹介した「ゼロからの経営戦略」という本に紹介されていた戦略の定義を紹介します。
「あるべき姿」を描き、それを達成する上で関連する環境(周りの状況)を分析し、自分が持っている経営資源(能力)を意識しながら、背後のメカニズムを解明し、「あるべき姿」に到達するシナリオを描くこと。
また、私なりに非常にシンプルに表現すると、「現状」から「あるべき姿」に到達するシナリオを描くこと、となります。
さらに、「小さな会社は経営計画で人を育てなさい」に面白いことが書かれていました。
それは、目標は多くの会社で決められているが、戦略を明確に文章化している中小企業は殆どないとのこと。その結果、目標が達成できなかった社員に対し、「なぜ目標が達成できないんだ」と詰め寄る社長やリーダーの姿をよく目にすると書かれていました。つまり、数値目標だけ示してあとは社員にぜんぶお任せの状態なのです。
戦略がない会社は、社員任せとなり、それぞれの社員が自分で考えて動くのでどうしても方向がバラバラになってしまいます。個々人が「ああでもない、こうでもない」と自分勝手に動いてしまうため、力が分散されてしまうのです。その一方、戦略が明確な会社は、同じ戦略にそって全員が動くので全社員のベクトルが揃うのです。
どちらが、目標を達成しやすいか、どちらが組織全体の生産性が高いか、説明するまでもないでしょう。
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