戦略とプロセスを明確化した事業デザイン:
自らに選択肢があることを知りながら「できない」を「できる」に!
【集客(小手先)のテクニック004】
2017年8月 18日(金)
今回は、ある不動産会社のセミナーに参加した後に気付いたやり方を紹介します。私はそれを「営業マンが参加者になる」と名付けました。
20代の頃から、かれこれ相続や土地活用など20回以上も不動産セミナーに参加したことがありますが、よく不快を覚えることがありました。「何が不快か?」というと、セミナーに参加しただけなのに、営業マンが近寄ってくることです。
大手不動産会社のセミナーなどに参加すると、主催会社の営業マンが近くにスタンバイしており、休憩時間にさっと寄ってきて「●●地区担当の○○です!」などと伝えられ、名刺を渡されることがあります。
こちらは不動産の勉強しに来ただけなのに、営業マンが寄って来てあれこれ質問されることがとても不快でした。しかも、セミナーの後は、「お変わりありませんか?」などと営業の電話が何度か掛かってくることもありました。
無料でセミナーに参加させてもらえることは非常にありがたいのですが、営業マンが寄ってくることに対しては「ウザイな!」といつも感じていました。
そんな風に警戒しながら参加した、ある小さな不動産会社のセミナーは変わったやり方をしていました。その会社からは、セミナーの参加後に「お礼メール」が送られてきました。その後はたまにメールを送ってくる程度でした。ここまではよくある話です。
しかし、…です。セミナーに参加した時には全く気付かなかったのですが、実はその会社、別のアプローチで営業活動をしていたのです。
その内容は「営業マンが参加者になる」ということです。それは何かと言うと、会社が「広告塔」のような人物を参加者の一人としてセミナーに出席させていたのです。自社の社員ではないのですが、外部の「協力者」です。
その日のセミナー参加者は8~9名と少数でしたが、その広告塔のような人物は、少しでも時間があると他の参加者に話しかけていました。休憩時間中には何名かと名刺交換しているところを目撃しました。
そして本題はここからです。セミナー終了が12時だったこともあり、終了直後、その人は声を出して「せっかくの機会なので、一緒に飯でも行きませんか?」と周囲の人を誘い始めたのです。
全員に声を掛けたと思いますが、8~9名の中、私を含めて6名くらいが食事に参加しました。そこで再び名刺交換やら連絡先の交換が始まったのです。
恐らく、セミナーの主催会社はこの人物が昼食に誘えるよう、12時に終了するスケジュールを組んだと思われます。
問題はその後です。その広告塔のような人物からちょこちょこ電話が入るようになりました。「関口さん、今は物件を探していないんですか?」「いい物件ありますよ~」などとさりげなく連絡をしてくるようになったのです。
結論を急ぎますが、本来であればセミナーの主催会社の営業マンが伝えてくる内容と同じようなセリフを「セミナーで知り合った仲間」として、その人が伝えてきたわけです。良く言えば「紹介」「仲間の話」ですが、実際には「営業」だったのです。
セミナー後の食事の時から「怪しいのでは?」と少し感づいていた私の予想はビンゴでした。その人は、食事した際に「●ノ●●社のセミナーに参加したが、あそこはヒドイ!」などと周囲に漏らしていましたが、それもはじめから「情報提供」を装い、競合他社の評判を下げることをしていたのでしょう。
その後、何度か話をするうちに判明したのですが、その人は他の参加者に営業活動を行なうために同じセミナーに繰り返し参加していたようです。
自社の営業マンから見込み客へ伝えると「営業トーク」として聞き流される内容にもでも、一緒にセミナーに参加した知り合いからの話となれば、「営業トーク」ではなく「紹介」や「情報提供」として聞いてもらえる可能性がぐ~んと高まります。
自社の営業マンが「見込み客」に対して直接アプローチすれば「営業話だろ!」と初めから警戒されます。電話口に出てもらえないなど、見込み客との接触すら難しいかもしれません。ところが、「セミナーで知り合った仲間」としてアプローチすれば、警戒される心配がなくなり営業活動が容易になるのです。
年間売上10億円規模の中小企業の新規事業向け
勝てる新規事業の戦略とマーケティング
「損益構造の見える化」で収益最大化を目指すポイント!
「成功パターン」をつくるためにと題して経営者や事業の責任者にお届けするコラム。6つのテーマに分けてお届けします。