戦略とプロセスを明確化した事業デザイン:
自らに選択肢があることを知りながら「できない」を「できる」に!
【関口のつぶやき、感じたこと 096】
2024年 8月 9日(金)
こんにちは、関口です。
過去のコラムでお伝えした通り、地方自治体市場への参入にはさまざまな魅力があります。それらの詳細については過去のコラムをご確認いただきたいのですが、地方自治体との取引を始めたいと考える中小企業が初期段階において直面する最大の課題は、「打ち合わせの設定ができない」ということです。これについては私も痛感しています。その要因は、自治体特有の文化やプロセスが影響しているからでしょう。
地方自治体との取引には、民間企業と異なる点がいくつか存在します。ここでは過去のコラムの内容を繰り返すのではなく、最も重要なポイントだけをお伝えします。それは「リスク回避や営業お断りの姿勢」があるという点です。
自治体の担当者は、失敗を避けるために、新しい提案に対して慎重な姿勢を取ります。
一方、民間企業では、競争優位性を高めるために、外部からの情報を積極的に取り入れることが多く、営業の話にも前向きな姿勢を示すことが少なくありません。特に、他社の動向を把握したり、新しいアイデアを得たりする手段として、営業担当者とのやり取りを活用するケースもあります。
しかし、自治体では状況が異なります。自治体の意思決定は前例や既存の枠組みを重視する傾向があり、過去に実績のない提案に対しては慎重になりがちです。特に、他の自治体で導入された実績がない場合、担当者がリスクを避けようとするあまり、新規の提案を受け入れにくい状況が生まれます。
そのため、実績のない新規事業者にとって、自治体との取引を始めることは大きなハードルとなります。自治体の担当者は、「どこの馬の骨かもわからない」相手からの提案に対しては、最初から関心を示さないケースも少なくありません。
冒頭で述べた通り、地方自治体との取引を始めたいと考える中小企業が直面する最大の課題が「打ち合わせの設定ができない」ということです。
では、どうしたら打ち合わせの設定が可能になるのでしょうか?まずは手段から考えてみましょう。これについては、電話、問い合わせフォーム、ツテを頼る、そしてツテを作り出す、の大きく4つの方法が考えられます。
この4つの中で最も有効な方法は「ツテを頼る」ことです。なぜなら、信頼関係が既に構築されている相手を通じて紹介を受けることで、打ち合わせの設定が格段に容易になるからです。
地方自治体の担当者は、新規の企業(業者)と打ち合わせを持つことに対して慎重な姿勢を取ることが多いですが、信頼できる(あるいは、議員など断りにくい)人物からの紹介であれば、そのハードルが大きく下がります。
ただし、紹介にはちょっとしたリスクも伴います。紹介者との関係を悪化させたくないため、表面上は面会を受け入れるケースがよくあります。例えば、市議会議員からの紹介話であれば、自治体の担当者はその議員との関係を壊したくないため、仕方なく面会に応じることがあります。
したがって、ツテを頼って面会の場を獲得できた場合、必ずしも先方が興味を持っているとは限らないことを理解しておくことが重要です。とはいえ、ツテがないままアプローチする場合よりも、「打ち合わせの設定」については遥かに有利に展開することが可能となります。
ツテを持っていない場合は、「ツテを作る」努力が不可欠です。例えば、自治体が主催するイベントに何度か参加し、担当者との接点を持つことで、徐々に信頼関係を築いていくことができます。このようにしてツテを作ることで、よりスムーズに自治体との打ち合わせの場を設定することが可能になります。
さらに、「ツテを頼る」あるいは「ツテを作る」場合、地元や近隣の自治体をターゲットにするのがベストです。地元であれば、自治体のイベントに参加する際の負担が少なく、継続的に接触を図りやすいはずです。
しかし、これらの方法には手間が掛かり、効率が悪いことも多いため、アプローチできる自治体の数が限られます。また、運よく打ち合わせの場を持つことができたとしても、担当者が本当に「あなたの提案」に興味を示すかどうかは全く別の話となります。
だからこそ、「ツテを頼る」または「ツテを作る」以外の方法にも力を入れるべきなのです。これについては、ホームページの問い合わせフォームでのアプローチを併用するのが良いでしょう。この方法では、興味を示す自治体と、関心を持たない自治体を初めから見極めることができます。「ツテを頼る」場合と比べて反応率は大きく低くなるでしょうが、本当の意味での見込み客を見つけ出すことが可能です。
電話でのアプローチも考えられますが、注意が必要です。電話は直接的で迅速な対応を得られる可能性がありますが、これは自治体の担当者が既に課題を認識しており、解決策を求めている場合に限られます。
一般的には、「営業話はお断り」という姿勢が強い自治体が多く、電話を受けた自治体職員から営業目的であると判断された瞬間、形式的な対応をされ、軽くあしらわれてしまう可能性が高いです。
では次に、面会の場を獲得するために、どのようなことを先方に伝えるべきでしょうか? この際、次の3つのポイントを意識すると効果的です。ただし、これらは「少しでも見込みがある」と判断した場合に伝えるのが効果的です。
1つ目は、自治体にとって具体的なメリットを明示することです。 自社の提案が、自治体の抱える課題やニーズにどのように貢献できるかを簡潔に伝えることが重要です。これは、相手の興味を引くために「価値」を強調するという点で、単なる売り込みとは異なります。
2つ目は、事例や実績を示すことです。 過去の成功事例や信頼できる実績を紹介すれば、信頼性が高まります。特に自治体へ提案する内容と類似した事例や経験がある場合は、それを積極的にアピールしましょう。
3つ目は、次のステップの提案です。「詳細をご説明するために一度お打ち合わせのお時間をいただければと思います」といった形で、次の行動に繋げる提案をすることです。
以上、3つのポイントをお伝えしましたが、重要なのは相手の関心度を見極め、適切なタイミングで伝えることです。見込みが十分にあると判断できる段階で、最も効果的な形でアプローチしましょう。
このようにして、自治体との打ち合わせの場を獲得し、次のステップへ進むための道筋を整えていきましょう。
つぶやき:094 |
---|
つぶやき:093 |
---|
つぶやき:092 |
---|
つぶやき:091 |
---|
つぶやき:090 |
---|
つぶやき:089 |
---|
つぶやき:087 |
---|
年間売上10億円規模の中小企業の新規事業向け
勝てる(新規)事業の戦略とマーケティング
「損益構造の見える化」で収益最大化を目指すポイント!