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【関口のつぶやき、感じたこと 089】 

2024年 1月 20日(土

  • 自治体営業
  • 自治体DX
  • ICT
  • アプリ

こんにちは、関口です。

1週間前の1月13日(土)の日本経済新聞に掲載された「行政DX、神奈川が先行 横須賀は窓口待ち6割短縮」という記事に目が留まりました。この記事には、自治体がデジタル技術を駆使して行政を効率化する「自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)」として、横須賀市や仙台市などの取り組みが紹介されていました。

自治体が前例のない課題に対処する際、組織内には前例や実績が不足していることがあります。そのような分野において経験豊富な人材も不足しており、民間企業の技術やサービスが必要とされています。今、自治体DXにおいて、例えば住民向けスマホのアプリなど、特にICT分野では中小企業でも大いに参入できる余地があると私は考えています。

そこで、自治体への営業にはどのようなメリットがあるのか、考えてみましょう。

自治体への営業メリット

自治体への営業には数々のメリットが存在します。

第一に挙げられるのは、新たな市場を開拓することができる点です。自治体は安定的かつ長期的な取引を求める傾向があり、これは中小企業にとって安定的な収益の源となります。また、1つの自治体との取引実績は次の実績づくりにつながる点が魅力です。さらに、自治体との取引実績は、民間市場において新規顧客を獲得する際にもプラスの影響を与えることになります。

第二に、自治体との取引を通じて企業の信用力が向上します。自治体との信頼関係は、他の企業との競争において差別化を生み出します。また、企業の安定性や信頼性をアピールする強力な手段となります。なぜなら、自治体は慎重かつ公平なプロセスを重視し、信頼できるパートナーとの連携を重視するからです。

余談ですが、BtoCの分野では(企業側から依頼された)友人や知人が顧客を演じ、企業が都合よく実績を作り出すということ(ステマ)がよく行われます。仲間同士で協力し、あるいは第三者に報酬を支払い、企業が実績を演出する手法が見受けられるのです。多数の人たちに依頼してアマゾンのレビュー欄に書き込みをしてもらうことも、これと同じです。

自治体の担当者はこのような行為に協力しません。自治体は堅実な性格を持っており、公平で透明性のあるプロセスを通じて取引先を選定します。だから自治体との取引実績には信用力があるのです。

第三に、企業が自治体と連携することで、社会貢献の機会を得ることができます。自治体プロジェクトに参加することは、地域社会に貢献することにもなり、企業のCSR(企業の社会的責任)活動の一環となります。これは企業の社会的な評価を向上させ、ブランド価値を高めることにつながります。

自治体営業のデメリット

一方で、自治体への営業にはいくつかのデメリットも存在します。主なデメリットは、時間が掛かり、我慢が必要なことです。「何かとじれったい」「我慢が必要」ということです。自治体との取引においては、予算の制約や手続きの厳格性から、即座に成立し、早期に支払いが行われることはないです。営業活動が結果につながるまでには相応の時間を要するのです。

また、自治体との契約は慎重かつ公平な手続きに基づいて行われます。競争入札などのプロセスを経て契約が成立するため、契約までの過程が複雑であり、企業には柔軟な対応が求められます。これは余分なリソースや労力を必要とする一因にもなります。

このように自治体との取引において、短期的な売上貢献の期待は難しく、2~3カ月以内に成果を求めるようなタイプの経営者には向かないのです。それに、「自治体営業のカギとは?民間営業との対比から考察する!」というタイトルのコラムの中で紹介した通り、民間向けとは営業のスタイルが大きく異なります。

次回のコラムでは、これらのポイントを踏まえ、中小企業が自治体への営業を成功させるための戦略について少し掘り下げていきます。

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