12のチェックポイント

地方の中小企業が社外人材の活用で成功する方法

日本は高齢化や労働力人口の減少という課題に直面しており、特に地方では優秀な人材の確保がますます難しくなっています。しかし、朗報があります。

近年、リモートでのサポートが一般的となり、リアル対面の必要性が薄れ、遠方在住の人からも気軽に専門的な支援を受けることが容易になりました。スタート時や必要な時に会社を訪問してもらい、普段はSlackやTeamsといったチャットツールでコミュニケーションを図りながらリモートで仕事をしてもらえば良いのです。また、必要に応じてオンライン会議を行えば、リアルタイムでのコミュニケーションも問題ありません。

この方法を活用すれば、県庁所在地から遠く離れた人口2~3万人程度の小さな街にある中小企業でも、都会に住む優秀な人材から支援を受けることが可能です。ただし、「知らなければ損」「知らなければ、損していることにすら気付かない」というのが現実です。また、情報が錯綜しているため「見極める力」が求められます。

そこで、このページでは「地方中小企業が社外人材の活用で成功する方法」と題して、成功に向けて中小企業が社外人材を活用する際に検討すべき12のチェックポイントをご紹介します。

12のチェックポイント
  • 指示通りに作業をしてもらうか?それともリーダーシップを発揮してもらうか?

チェックポイント1:課題の設定はできているか?

課題設定はできているでしょうか? もしかしたら、それらは漠然としていませんか?

【説明】

数ある「チェックポイント」の中でも、これが最も重要です。

問題解決のステップの中で最も重要なのは、「問題を定義する」と「問題を構造化する」という、最初に取り組むべき2つのステップです。何が本質的な問題なのかをきっちりと見極める「課題設定」が上手くいくと、問題解決全体の50%は達成されたも同然です。

しかし、中小企業の中には「課題設定」が上手くできないケースが非常に多いです。その結果、何かの施策に取り組んでもピンボケになりがちです。

課題の設定がしっかりできていれば、「目標を達成したいが、自社には〇〇が足りない」「だから、こういう人材に支援してもらう必要がある」といった要件が明確になります。

実は「課題の設定がなかなかできない!」ということで悩んでいる中小企業も少なくありません。このような場合は、まず社外人材の力を借りて「問題を定義する」と「問題を構造化する」ことから取り組むべきです。

チェックポイント2:社外人材の活用は主体的か?

自社による主体的な活用・調達でしょうか? それとも、第三者(例:取引先の銀行など)に頼まれて外部人材を活用しようとしていませんか?

【説明】

これも重要なチェックポイントです。外部の専門家への依頼や社外人材の活用が、自社の主体的な意思によるものなのか、あるいは第三者に頼まれて仕方なく協力(人材募集)しているにすぎないのかをよく認識することが重要です。

主体的な活用であれば、その意図や目的を明確にすることで上手くいくはずです(「チェックポイント1」を参照)。一方で、「取引先の銀行に頼まれて外部人材を採用することにした」「求人募集を出すだけなら無料なので、あまり乗り気ではないが協力してあげた」などというケースでは注意が必要です。後にさまざまなトラブルに巻き込まれる可能性がありますので、よく注意しましょう。

チェックポイント3:自分たちでもできることか?

社内でも対応できる業務でしょうか? それとも、知見のない分野・領域で対応が難しいでしょうか? もし社内でもできる業務の場合、社外人材にお願いする理由(コスト面、時間面など)は明確になっていますか?

【説明】

問題解決において、対応すべき業務が社内で遂行できるかどうかを検討することが重要です。もし社内でも対応可能にも関わらず社外人材を採用する場合は、その理由(例:コスト削減、時間短縮)を明確にしましょう。また、社外人材を活用すると決めた場合は、そのメリットとデメリットを十分に検討することが重要です

チェックポイント4:専門性の高さをどこまで期待すべきか?

社外人材には高い専門性を求めていますか? それとも、ほどほどのレベルで十分でしょうか?

【説明】

これは、必要な業務の遂行に対して求める人材の専門性について検討することです。問題解決や業務遂行において、高度な専門知識やスキルを持つ人材を求めているのか、あるいは、ほどほどのレベルで十分なのかを明確にする必要があります。

例えば、デザイン(イラスト)や動画の編集を行う際に、素人である社員が行う場合よりも少し上の質を求めているだけなのか、それともハイレベルな成果を求めているのかを検討しましょう。

このようなことをあらかじめ考えておくことが重要です。

チェックポイント5:社外人材に求める業務領域や専門分野は?

お願いする業務の遂行に求められる専門分野は明確にフォーカスされていますか? それとも、少し広範囲に及ぶ業務を期待していますか?

【説明】

社外人材にお願いする業務について、その専門分野が明確にフォーカスされているか、あるいは、広範囲に及ぶ業務を期待しているかを検討することが重要です。特定の業務に対する専門性の高さを求めているのか、あるいは、幅広い業務をカバーしてくれる柔軟性を求めているのかを確認しましょう。

例えば、「マーケティングの支援をお願いしたい」としながら、実際にはパンフレットなどの販促物の作成(デザイン)やHP(ECサイト)の制作を求めていることがあります。このように、広い領域に及んでいる場合もあります。あるいは、マーケティングの支援というよりも、むしろデザイナーを求めているのかもしれません。だからこそ、「一体、外部人材には何を望んでいるのか?」を今一度よく検討することが重要です。

チェックポイント6:単発 or 中長期? それにリモート支援か?

単発的な相談やアドバイスを求めているだけですか? それとも、中長期的な支援を望んでいますか? また、関わり方はリモートでも大丈夫でしょうか?

【説明】

これは、依頼する側が求めている支援の時間的な要素について検討することです。1~3回で終わる単発的な相談やアドバイスだけを求めているのか、それとも中長期にわたる継続的な支援を望んでいるのかを明確にしましょう。

もし単発的な相談やアドバイスを求めている場合は、自社の取り組みに関する意見やアドバイスを提供してもらうだけで十分です。一方、中長期的な支援を望んでいる場合は、依頼する側の目的やニーズに応じて中長期的な支援が実現できる社外人材を選定することが必要です。

また、来社してもらうのか、原則リモートで支援してもらうのかという点についても検討しましょう。リモート支援を考えている場合でも、どこまでリモートでの支援が可能なのかをあらかじめ検討しておくべきです。

例えば、年に1~2回ほど来てもらえば済むのか、それとも毎月のようにリアル対面が必要なのか。このようなことをよく検討しましょう

チェックポイント7:指示通りに作業をしてもらうか?それともリーダーシップを発揮してもらうか?

社外人材に期待する業務は、具体的な指示を出してその通りに作業をしてもらうことですか? つまり、指示に従うサポート役を期待しているのでしょうか? それとも、自社のメンバーを引っ張ってリーダーシップを発揮してもらうことを期待していますか? つまり、コンサルタントのような役割を期待しているのでしょうか?

さらに、完全に任せるのではなく、一緒に取り組むのであれば、社内にその協力体制が整っていますか?

【説明】

ここでは、社外人材に対して、指示に従うサポート役としての業務を期待するのか、それとも自社のメンバーと連携し、リーダーシップを発揮して業務を先導してもらうことを期待するのかを明確にすることが重要です。また、リーダーシップを発揮してもらいたい場合には、社内に適切な協力体制が整っているかについても検討する必要があります

チェックポイント8:コスト面の評価はどうする?

社外人材の活用によるコスト面の評価はどうするのでしょうか?(社内でもできる場合)社内で行う場合と比較して、外部の専門家を雇用することによるコストメリットは明確でしょうか?

【説明】

検討すべき項目3」と重複しますが、ここでは社外人材の活用によるコスト面の評価について検討することです。もし社内で遂行可能な業務にも関わらず外部にお願いする場合は、外部の専門家を活用することでコスト面のメリットがあるかどうかについて、検討することが重要です。社外人材の活用より得られるメリット(例:売上増、社員の育成・成長など)が、そのコストに見合っているかを検討することが必要です

チェックポイント9:社外人材との意思疎通は?

社外人材を活用する際、特にリモートで支援を受ける場合、コミュニケーションはどうするのでしょうか? 外部の人材との意思疎通や課題の共有について、円滑に進める体制は整っていますか(担当者はいますか)?

【説明】

ここでは、外部の人材との意思疎通や課題の共有が円滑に進むかどうかを検討します。社内の誰が社外人材との窓口役を担うことになるのかを明確にしましょう。社外人材とのコミュニケーションを円滑に進めるために、以下の点を検討しておくことが重要です。

  • どのような役割を担ってもらうのか?(リーダー的、コンサル的、下請け的)
  • コミュニケーション手段(例:メール、電話、チャットツール、オンライン会議)はどうするのか?
  • 情報共有や進捗報告などはどうするのか?
  • 社内に窓口となる担当者が存在し、コミュニケーション体制が整っているのか?

チェックポイント10:予期せぬ事態への対応は?

外部の専門家を活用する際のリスクは想定していますか? 予期せぬ事態に対応するためのリスク評価やバックアッププランを検討していますか?

【説明】

外部の専門家を活用する際のリスクについて検討することも重要です。予期せぬ事態に備えたバックアッププランを検討しておきましょう。以下のようなリスクが想定されるため、対応策を準備することが必要です。

  • 社外人材が期待通りの成果を上げられないリスク
  • コミュニケーション上の問題や誤解が生じるリスク
  • スケジュール遅延や予算超過のリスク
  • 機密情報の漏洩のリスク

これらのリスクに対して、事前に対応策を考えておくことで、予期せぬ事態にも柔軟に対応できる体制を整えましょう。

チェックポイント11:自社の環境に適応できる人物か?

社内の文化に適合する人物でしょうか? 外部の専門家は自社の文化に適応できるでしょうか? 中小企業での勤務経験がなく、中小企業を見下すような言動が見られないでしょうか?

【説明】

外部の社外人材が自社に適合するかどうかは非常に重要な検討項目です。適合する人材であれば、業務がスムーズに進行し、成果の質にも良い影響を与えることが期待できます。適合性については以下の点を考慮して確認する必要があります。

  • 自社の価値観やビジョンに共感できるか
  • コミュニケーションスタイルや意思決定プロセスに適応できるか
  • チームとの相性や協調性が見られるか

特に、大企業で長年勤務していた方が、いきなり中小企業で仕事をする際には、環境変化への適応の難しさから問題が起こることがあります

チェックポイント12:機密情報の取り扱いは?

社外人材との契約や機密情報の取り扱いについて、必要な契約書や適切な手続き・保護策が講じられていますか?

【説明】

社外人材との契約書や機密情報の取り扱いに関する手続きや保護策が適切に講じられているかどうかを検討することは非常に重要です。機密情報の漏洩や不正アクセスを防ぐために、契約内容や機密保持に関するポリシーを明確にし、適切なセキュリティ対策を講じる必要があります。

リスクを最小限に抑え、プロジェクトにおける機密情報の保護を確保するためにも、以下の点を確認しましょう。

  • 機密保持契約(NDA)の締結
  • 機密情報の取り扱いに関するポリシーの明確化
  • セキュリティ対策の実施

適切な措置を講じることで、機密情報の保護を確保しましょう。

社外人材(中長期) 4大活用パターン

「12のチェックポイント」は如何でしたか?

何よりも重要なことは、課題を設定してニーズを明確化することです。ニーズが明確になれば、「スポット(単発)の相談で十分なのか、あるいは中長期的に支援を受けるべきか」がはっきりわかるようになります。

ちなみに、中長期的に支援を受ける場合には、社外人材にはどのような役割で関わってもらうべきかも明確にすることが重要です。つまり、以下のように外部人材に期待する役割を明確にしておく必要があります。

 

1.経営顧問的な存在として関わってもらう

経営視点や戦略的アドバイスを提供する人材が該当します。このような人材には、経営会議への出席などを通じて、専門的な助言をしてもらうことを期待します。

2.プロジェクト推進の要員として関わってもらう

特定のプロジェクトを進める際に、社内に不足しているスキルや知識、経験を持つ人材が該当します。プロジェクトの成功に向けて不足している要素を補い、計画の遂行をサポートしてくれることを期待します。

3.特定業務の代行要員として関わってもらう

特定の業務や作業を代行してくれる人材です。例えば、ホームページの立ち上げやSNSの運用などを代行してもらうことで、自社のスタッフは得意分野に専念できます。

4.メンターや指導者として関わってもらう

若手社員の育成やスキル向上を支援する人材です。研修会の開催やプロジェクトの共同担当を通じて、社員の成長を促進してくれることを期待します。特に、指導者としての役割を強調し、人材育成面での貢献が期待されます。

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