中小企業の成長を加速する

社外人材の活用前にやるべきチェックポイント

中小企業が成長と競争力の向上を目指す上で、外部の専門家や人材を活用することは欠かせません。しかし、社外人材を効果的に活用するためには、検討すべき項目がいくつかあります。

このページでは、成功に向けて中小企業が社外人材を活用する際に検討すべき12の重要項目をご紹介します。

社外人材の活用 12のチェックポイント

検討すべき項目1:課題の設定はできているか?

課題設定はできているだろうか? もしかしたら、漠然としていないか?

【説明】

数ある「検討すべき項目」の中でも、これが最も重要です。

問題解決のステップの中で最も重要なのが「問題を定義する」と「問題を構造化する」という最初に取り組むべき2つのステップです。何が本質的な問題なのかをきっちりと見極める「課題設定」が上手くいくと、問題解決全体の50%はできたことになります。

ところが、中小企業の中には「課題設定」が上手くできないケースが非常に多いです。そのため何かの施策に取り組んでもピンボケなまま、「とにかく何かをやること」で満足しがちです。結果として、後に頓挫することになり、遠回りすることになります。課題の設定がちゃんとできていれば、「目標を達成したいが、自社には〇〇が足りない」「だから、こういう人材に支援してもらう必要がある」といった要件が明確になります。

実は「課題の設定がなかなかできない!」ということでお悩みの中小企業も少なくありません。このような場合は、まず社外人材の力を借りてでも「問題を定義する」と「問題を構造化する」ことに取り組むべきかと思います。

検討すべき項目2:社外人材の活用は主体的か?

(自社による)主体的な活用・調達なのか? あるいは、第三者(例:取引先の銀行など)にお願いされて活用しようとしていないか?

【説明】

これも重要な検討項目です。外部の専門家への依頼・社外人材の活用が、主体的なものなのか、あるいは第三者にお願いされて、断るわけにはいかないため協力しているにすぎないのかよく認識することです。

主体的な活用であれば、その意図や目的を明確にすることで、プロジェクトの遂行においても主体的に取り組むことが期待できます(「検討すべき項目1」を参照)。一方、例えば「取引先の銀行にお願いされた。求人の募集を出すだけなら無料とのことで協力してあげた」などという場合は危険です。後にさまざまなトラブルに巻き込まれる可能性もあります。よく注意しましょう。

検討すべき項目3:自分達でもできることか?

社内でも対応できる業務か? できないことか? もし社内でもできる業務の場合、社外人材にお願いする理由(コスト面、時間面など)は明確になっているか?

【説明】

問題解決において対応すべき業務が社内で遂行できるかどうかを検討することです。もし社内でも対応可能にも関わらず、社外人材を採用する場合はその理由(例:コスト削減、時間短縮)をよく確認しましょう。また、社外人材を活用すると決めた場合は、そのメリットとデメリットを十分に検討することが重要です。

検討すべき項目4:専門性の高さをどこまで期待すべきか?

社外人材には高い専門性を求めているか? それとも、ほどほどのレベルで良いのか?

【説明】

これは必要な業務の遂行に対して求める人材の専門性について検討することです。問題解決や業務遂行において、高度な専門知識やスキルを持つ人材を求めているのでしょうか? デザイン(イラスト)や動画の編集など、素人である社員レベルよりも少し上の質を求めていることもあります。

このようなことをあらかじめ検討しておくべきです

検討すべき項目5:社外人材に求める業務領域や専門分野は?

お願いする業務の遂行に求められる専門分野はフォーカスされているか? あるいは、少し広範囲に及ぶことになるのか?

【説明】

社外人材のお願いする業務について、その専門分野はフォーカスされているか、または広範囲に及んでいるかを検討することです。つまる、特定の業務に対する専門性の高さを求めているのか、あるいは、より幅広い業務をカバーしてくれる柔軟性を求めているのか確認しましょう。

例えば、「マーケティングの支援をお願いしたい」と主張しながら、求めていることがパンフレットなど販促物の作成(デザイン)やHP(ECサイト)の制作であることがあります。つまり、広い領域に及んでいるのです。この場合は、マーティングの支援よりも、むしろデザイナーを求めているのかもしれません。だからこそ、「外部人材には何を望んでいるのか?」ということを今一度よく検討してみることです。

検討すべき項目6:単発 or 中長期?、それにリモート支援か?

単発的な相談やアドバイスを求めているだけか、あるいは、中長期的な支援を望んでいるのか? また、関わり方はリモートでも大丈夫か?

【説明】

これは、依頼する側が求めている支援の時間的な要素について検討することです。1~3回で終わる単発的な相談やアドバイスだけを求めているのか、それとも中長期にわたる継続的な支援を望んでいるのでしょうか?

もし単発的な相談やアドバイスを求めている場合には、自社の取り組みについて、意見やアドバイスを提供してもらうだけです。一方、中長期的な支援を望んでいる場合は、依頼する側の目的やニーズに応じて中長期的な支援が実現できる社外人材を選定することが必要です。

また、来社してもらうのか、それとも原則リモートで支援してもらうのでしょうか?果たして、どこまでリモートでも支援が可能なのかについてもあらかじめ検討しておくべきです。

つまり、年に1~2回来てもらえば済むのか? 月に2回ほどリアル対面が必要なのか? このようなことをよく検討しましょう。

検討すべき項目7:下請け的な存在 or  先導役を期待する?

社外人材には、必要な情報を伝えることで指示に従ってやってもらう業務か?つまり、下請け的な存在を期待するのだろうか? あるいは、自社のメンバーを引っ張ってくれるような存在を期待しているのか? コンサル的な存在を期待しているのか?

さらに、「丸投げ」ではなく、一緒になってやっていくのであれば、社内にその協力体制はあるか?

【説明】

ここでは、社外人材に対して、単なる下請け的・代行的な業務を期待するのか、それとも、自社のメンバーと連携して業務を先導してもらうことになるのか明確にすることです。また、もし先導してもらいたい場合には、社内に適切な協力体制が確立されているかについて検討する必要があります。

検討すべき項目8:コスト面の評価はどうする?

社外人材の活用によるコスト面の評価はどうするのか?(社内でもできる場合)社内で行う場合と比較して、外部の専門家を雇用することによるコストメリットは明確か?

【説明】

「検討すべき項目3」と重複しますが、ここでは社外人材の活用によるコスト面の評価について検討することです。もし社内で遂行可能な業務を外部にお願いする場合は、外部の専門家を活用することによるコストメリットがあるかどうかが重要です。社外人材の活用より得られるメリット(例:売上増、社員の育成・成長など)が、そのコストに見合っているかを検討することが必要です。

検討すべき項目9:社外人材との意思疎通は?

社外人材を活用するに際し、特にリモートで支援を受ける場合、コミュニケーションはどうするのか? 外部の人材との意思疎通や課題の共有について、円滑に進める体制は整っているか(担当者はいるか)?

【説明】

ここでは外部の人材との意思疎通や課題の共有が円滑に進むかどうかを検討します。社内の誰が社外人材との窓口役を担うことになるのでしょうか?外人材とのコミュニケーションを円滑に進めるためにも、以下の点を検討しておくことが重要です。

  • どのような役割を担ってもらうのか?(リーダー的? コンサル的? 下請け業者的?)
  • コミュニケーション手段(例:メール、電話、オンライン会議)はどうするのか?
  • 情報共有や進捗報告などはどうするのか?
  • 社内に窓口となる担当者が存在し、コミュニケーション体制が整っているのか?

検討すべき項目10:予期せぬ事態への対応は?

外部の専門家を活用する際のリスクは想定しているか? 予期せぬ事態に対応するためのリスク評価やバックアッププランは検討しているか?

【説明】

外部の専門家を活用する際のリスクについて検討することも重要です。予期せぬ事態に備えたバックアッププランを検討しておくことです。以下のようなリスクが想定されるので、対応策を準備することが必要です。

  • 社外人材が期待通りの成果を上げられないリスク
  • コミュニケーション上の問題や誤解が生じるリスク
  • スケジュール遅延や予算超過のリスク
  • 機密情報の漏洩のリスク

検討すべき項目11:自社の環境に適応できる人物か?

社内(文化)との適合性はどうか? 外部の専門家は自社の文化に適応できるだろうか?中小企業での勤務経験がなく、(中小企業に対して)見下すような言動は見られないか?

【説明】

外部の社外人材が自社に適合するかどうか?これはとても重要な検討項目です。適合する人であれば、何事もスムーズに進行し、成果の質に良い影響を与えることが期待できます。適合性については以下のような点を考慮して確認する必要があります。

  • 自社の価値観やビジョンに共感できるか
  • コミュニケーションスタイルや意思決定プロセスに適応できるか
  • チームとの相性や協調性が見られるか

よく目にするのは、大企業で30年以上も勤務された方が、いきなり中小企業で仕事する際に起こる問題です。

検討すべき項目12:機密情報の取り扱いは?

社外人材の契約と機密保持について、必要な契約書や機密情報の取り扱いについて適切な手続きや保護策が講じられているか?

【説明】

社外人材との契約書や機密情報の取り扱いに関する手続きや保護策が適切に講じられているかどうかの検討も重要です。機密情報の漏洩や不正アクセスを防ぐためにも、契約内容や機密保持に関するポリシーを明確にし、適切なセキュリティ対策を講じることが必要です。

リスクを最小限に抑え、プロジェクトにおける機密情報の保護を確保するためにも、適切な措置を講じることです。

社外人材(中長期) 4大活用パターン

「社外人材の活用 12のチェックポイント」は如何でしたか?

何よりも重要なことは課題を設定することでニーズを明確化することです。ニーズが明確化すれば、「スポット(単発)の相談で十分なのか、あるいは、中長期的にわたり支援してもらうべきか?」などということがハッキリわかるようになります。

ちなみに、「中長期的にわたり支援してもらう」場合、社外人材にはどのような存在として関わってもらうべきか?」という点についても明確にすることも重要です。つまり、以下のようなことをハッキリさせておくことです。

1.経営顧問的な存在として関わってもらう

経営視点や戦略的アドバイスを提供する人材です。経営会議への出席などで自社の方針性などに専門的な助言をもたらしてくれることを期待します。

2.プロジェクト推進の要員として関わってもらう

特定のプロジェクトの推進において、社内に不足している特定のスキル、知識、経験を持つ人材です。プロジェクトの成功に向けて社内に足りない要素を補完し、計画の遂行をサポートしてくれることを期待します。

3.特定業務の代行要員として関わってもらう

特定の業務や作業を代行してくれる人材です。例えば、ホームページの立ち上げやSNS運用などの業務を代行してもらいます。これにより、自社のスタッフはより得意とする業務に専念することができます。

4.メンターや指導者として関わってもらう

若手社員の育成やスキル向上を支援する人材です。研修会の開催やプロジェクトの共同担当などを通じて、社員の成長を促進してくれることを期待します。特に、指導者としての役割が強調され、人材育成面での貢献が期待されます。

「何よりも重要なことは課題を設定すること」と述べましたが、これが上手くできないと、次に進んでもピンボケとなりがちです。ご注意ください。

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