戦略とプロセスを明確化した事業デザイン
自らに選択肢があることを知りながら「できない」を「できる」に!

戦略プロセス経営実践会

まずは小さな成功パターンから!

【経営と戦略を考える006】 

2025年 9月11日(木)

こんにちは、戦略プロセス経営実践会の関口です。

「売上は上がっているのに、なぜかお金が残らない」

「頑張って動いているのに、資金繰りが苦しい」。

中小企業の経営者や事業の責任者から、よく耳にする悩みです。

実はこれ、珍しい話ではありません。多くの場合、原因は「事業の儲けのメカニズム」が不明確だからではないでしょうか?

事業を続けているうちに、「売上を作る」ことばかりに意識が向き、「どのように利益を出すのか」ということ、つまり本来の目的である「利益を残す」仕組みづくりが後回しになってしまうからです。

事業について、難しく考えがちですが、中小企業が手掛ける多くの事業の本質はとてもシンプルです。

「お客さまを見つける」→「商品やサービスを届ける」→「対価をいただく」。

これだけのサイクルに過ぎません。

ところが、実際にやってみると、このシンプルな流れが崩れがちです。

例えば──

  • 商品は売れているが、販促や広告費が掛かりすぎて利益が残らない
  • 売上は立っているのに、入金まで時間がかかり、資金繰りに窮する
  • 顧客は喜んでいるのに、価格設定が低すぎて赤字になっている

こうした状態が続くと、いくら動いても会社にお金が貯まらず、やがて疲弊してしまいます。

つまり、事業のサイクル自体は単純でも、「利益を出す仕組み」の設計が欠けていれば事業はなかなか成長しません。

事業を検討する際に、最低限押さえておきたい視点があります。

  1. 競争:自社の商品やサービスは、競合に比べてどんな違いがあるのか?
  2. 戦略:競合より有利に立つために、どの市場で、どう戦うのか?
  3. 組織:戦略を実行できる体制や人材は揃っているか?
  4. 損益:価格やコストのバランスは利益を生む構造になっているか?
  5. 資金:キャッシュはどのくらい持つのか?資金繰りに余裕はあるか?

この5つを定期的に点検するだけで、事業の「ほころび」を早期に発見できます。逆に、これを怠ると、事業の勢いに任せて走り続けるうちに資金が尽き、取り返しのつかない状況に陥ることもあります。

忘れてはならないのが「顧客満足」と「自社の利益」の両立です。

顧客に喜ばれる商品・サービスを提供することは大前提ですが、利益が出なければ事業は続きません。

一方、利益ばかり追いかけて顧客が離れてしまえば、やがて売上自体が立たなくなります。

例えば、飲食店が「安さ」だけを武器に値下げ競争に走ると、確かに一時的に「安さ」を求めるお客は増えるかもしれません。けれども、原価率が高まり、利益が出なくなるでしょう。結局、サービスの質を落とすしかなくなり、顧客も離れてしまう──そんな悪循環に陥るのです。

このバランスを意識してこそ、「続く事業」となります。

「うちの儲けの仕組みは大丈夫」と思っていても、実際によく検討してみると、意外な穴が見つかります。

  • 顧客は誰か?
  • その顧客にどのような価値(商品・サービスではない)を提供しているのか?
  • 顧客獲得にどのくらい費用が掛かり、どうやって利益を出すのか?

まずはこの3点を整理するだけでも、自社で「できていること」「できていないこと」が浮き彫りになります。

さらに、「その仕組みは競合より有利か?」「将来も持続可能か?」「A社との取引が止まっても売上は確保できるのか?」などと問いかけてみると、改善のヒントが次々と見えてきます。

経営学の本を開けば、PESTやSWOT、3Cなど分析手法が数多く紹介されています。もちろん、それぞれ意味はありますが、年間売上10億円以下の中小企業の場合、表面的なマネごとで終わっているケースが非常に多いと思われます。

むしろ重要なのは、よくわからないままフレームワークを使おうとすることではなく、「全体の設計」です。見込み客との出会いからファン化まで。また、「顧客満足」と「利益」を両立させる仕組みをどう描くか。

こういうことを押さえれば、理屈っぽい横文字の理論に頼らずとも、実行に移せる戦略をつくることができます。

仕組みの設計なくして、実行可能な戦略は存在しないのです。

 

大企業向けの横文字マーケティングを学ぶだけでは駄目です

勝てる(新規)事業の戦略とマーケティング 

もしこの記事を読んで「うちも仕組みを見直さないと」と思われた方へ。  

当会では、中小企業の(新規)事業に特化した無料レポートを配布しています。 

儲けのメカニズムを描けるかどうかは、事業の成長と継続を左右します。

大切なのは、「利益」を意識すること。そして、頭の中のイメージではなく、紙やホワイトボードなどに書き出し、社員や関係者とも共有することです。

「お客さまに喜ばれ、会社にもお金が残る」──この当たり前を仕組み化できるかどうかが、勝ち残る企業とそうでない企業を分けます。