【経営コンサルタント013】 

2018年6月12日(火)

最近、定年前後の「やってはいけない」(著者:郡山史郎氏、青春出版社)という本を読みました。この本の71ページ以降に「起業だけはやってはいけない」と書いてあります。

自分の身1つでフレキシブルに動くフリーランス的な働き方とは異なり、従業員を抱えたり、オフィスや店舗を借りたりするなど大きな初期投資やランニングコストが掛かるケースを「起業」と定義した上で、「やってはいけない」と著者は主張しています。

著者は、転職や再就職を支援する会社を経営しており、数千人と会ってきた80代前半の人です。「退職金をつぎ込んで会社を興した人の99%が失敗に終わっている」と本の中で述べています。

では、個人経営コンサルタントのように、自分の身1つでフリーランス的に働く場合については、どうなのでしょうか?

「成功」と「失敗」をどう定義するかにもよりますが、退職金をつぎ込んで起業する人と同じように、やはり多くの人が失敗しているようです。

正確な数字は誰にもわからないと思いますが、特に「この指とまれ」式だけで集客を試みる経営コンサルタントの多くが起業して2~3年以内に諦めてしまうかと思われます。早い人だと半年くらいで辞めます。10人いれば8~9人はダメではないでしょうか?

「経営コンサルタントの集客方法3」のコラムに書いた通り、単価が低くても中小企業診断士協会、公益財団法人○○経営支援協会などから確実に仕事を得ている経営コンサルタントにはしぶとく生き残っている人が多いようです。

その一方、独立後にいきなり「この指とまれ!」式だけで集客しようとする起業家の多くは脱落していきます。また「こうやれば上手くいきます!」と主張する人に大金を払っても上手くいかないのです。

なぜなら、人はそれぞれ経験やスキルが異なるので、万人に共通する「こうやれば上手くいきます!」はないからです。個別に「やるべきこと」が異なるはずです。

 

このような現実を踏まえ、「経営コンサルタントの集客方法3」のコラムでは、『既に仕事があるところに入り込む「他人の企画に便乗する」方法で確実にキャッシュを得て、その一部を「捨て金」として流用して「この指とまれ!」式で稼げるように投資する』という方法をおすすめしました。

事実、私は「他人の企画に便乗する」方法で確実にキャッシュを得て、その一部を「捨て金」に流用…を実践してきたのです。また、ヨソ様から学んだ集客の知恵を自身の事業に上手く採り入れてきました。

それについては、こちらのページからチェックしてみて下さい。

でも、なぜ「この指とまれ!」式だけで集客しようとする起業家の多くは脱落するのでしょうか?

理由はカンタン、「集客できないから」です。その原因を一言で表現すれば「事業の仕組みができていないから」となります。しかも「経営コンサルタント業として体を成している」人でさえも起業後に脱落してしまうケースが実に多いのです。

ちなみに、「私は経営コンサルタントです!」と名乗りながら、事業として体を成していない人が意外と多いのですが、そういう人が上手くいかないのは、少し努力すればデキるはずのことさえできていないので仕方ないと思います。

事業として体を成していない人にはいくつかの特徴があります。例えば、専門分野が曖昧、サービス内容が曖昧、ホームページがない(本人と話さない限り、何をしてくれるのかよくわからない)などです。

つまり、経営コンサルタントを名乗っているが、Product(製品)がない、あるいはわかりにくいのです。

そういう人は別として、事業として体を成している、Product(製品)がある起業家が、なぜ脱落してしまうのでしょうか? いくつかの原因がありますが、それを探っていきましょう。

この内容については、「経営コンサルタントの集客方法3」の中で述べた通りです。例えば、BCPBusiness Contingency Plan)や危機管理というテーマがあります。「不測の事態に備える」取り組みです。このようなテーマに興味を示すのは一定規模以上の会社となります。

なぜなら、ママパパ・ストアのような夫婦だけで経営している零細事業者にとって「不測の事態に備えること」の関心度は極めて低いと思われるからです。彼らは日銭を稼ぐことに精一杯ですから。

となると、そういうことをテーマに扱っている経営コンサルタントにとってコラムを月に4本も5本も書き、積極的に情報を発信してホームページに引き寄せるといった個人や零細事業者向けのアプローチでは集客が難しくなります。

そのようなことをするよりも、例えば経営者や総務部長を対象に開催されるBCPや危機管理をテーマにしたイベントに講師として登壇する方が良いでしょう。

 

「集客方法とターゲットのミスマッチ」は、このようにターゲットに合致した集客方法とは異なることに躍起になってしまうことです。これはPromotion(プロモーション)の問題です。

本人が気付いて直ぐに軌道修正すれば良いのですが、そうではなく「コラムの記事内容を工夫する」「配信回数を増やす」といった間違った道へ進んでしまうと、時間の経過と共に「捨て金」が燃焼していきます。

これについても「経営コンサルタントの集客方法3」の中で指摘しました。サラリーマン時代に経験しなかった不慣れな方法で集客しようとすることです。

例えば、インターネットを駆使して集客をした経験があまりない人が、独立してネットを駆使して集客できるようになるまでには時間が掛かります。また、ターゲットが個人や個人事業主であればネットで獲得できます。だから、ぜひネットを活用すべきです。ところが、50億円、100億円もの売上がある会社の経営者の獲得はどうでしょうか?

出版についても同様です。出版そのものはカネさえ払えば可能ですが、サラリーマン時代に何度か経験していなければ、なかなか上手くいかないでしょう。1回失敗したらあっという間に数百万円を失うことになります。とてもリスクが高いですね? 

これが「集客方法と強み(経験)のミスマッチ」であり、まさにPromotion(プロモーション)の問題なのです。

先に紹介した定年前後の「やってはいけない」という本には、「私の会社にある求人募集のリストを一覧すると、定年後の再就職で設定される“初任給”は1520万円が一般的な相場である」と書いてあります。またこの本に紹介されている準大手企業で部長として働いていたBさんが、再就職先で週1日の勤務、月20万円で4社(中小企業)と顧問契約した事例が紹介されています。

この数字は、経営コンサルタントとして、どのくらいの料金であれば請求が現実的であるかを示していると思います。

それが現実にも関わらず、起業して間もないこれといったキャリアのない経営コンサルタントが月に12時間の訪問で30万円とか40万円という高い料金を案内しているケースをよく散見します。ある分野・領域・地域において特別な存在にならない限り、これではなかなか集客できないわけです。Price(価格)の問題です。

これはProduct(製品)の問題です。例えば、職人気質の経営者に対して、彼らがプロ意識を強く持っている「モノ(商品)づくり」を指南する経営コンサルをしようとすると、集客が非常に難しくなるはずです。なぜなら、本人に自信があり、拘りがある領域に踏み込もうとするからです。

例えば「モノづくり支援」でも、「資金提供してあげる」「マッチングをしてあげる」「補助金申請の手助けをしてあげる」など、経営者と棲み分けができるのであれば良いのです。

ところが、餅屋に餅のつき方を指南するコンサルでは、顧客の獲得が困難になります。餅のつき方ではなく、「こねる役」や「杵の持ち上げ時に支えてあげる役」に徹するなら良いのですが…。

だからセミナーで一般論を語る程度の関わりなら問題なくても、非常にデリケートな部分に入り込むことは困難なのです。

これは、1件の顧客を獲得するのにどのくらいの費用が掛かるのかわからないために、広告投資ができず、結局何もしないという問題です。成果が全く読めないために、失敗を恐れて手が出せないわけです。手が出せないまま、時間が経過して生活費など固定費に圧迫されてしまうパターンです。

同様に、サラリーマン時代に「まずは投資して、それを後に回収する!」というビジネスモデルを経験していないためか「先にお金が出ていく(最初は損をする)」というアプローチが採れない人もいます。

大企業に勤めた後にいきなり起業した人などは、小予算で広告を出すという経験すらなかったかもしれません。結局のところ、わからないから「手が出せない(何もしない)」という状態になってしまうのです。

以上、経営コンサルタントとして起業しても失敗する理由をいくつか指摘しましたが、「経営コンサルタントの集客方法3」の最後に書いた次の3つのことがポイントなのです。

  1. 中途半端に広げないで絞る
  2. 「ツール(手段)ありき」ではなく「戦略ありき」
  3. リスクを分散させること

 

「ブログをやって情報発信した方がいい!」「今はフェイスブック広告が良いぞ!」「出版して名前を売った方が良い!」などと他人に煽られて「ツール(手段)ありき」の発想になってしまうとマズイのです。

そうではなく、ご自身の事業の戦略を明確にした上で、「何が必要か?」「何を捨てるべきか?」を検討しなければならないのです。

あれもこれもと中途半端に手を出すのではなく、サラリーマン時代の経験が活かせる方法にまずは絞ることです。

そしてリスクを分散させるとは、上にも書いた通り、『既に仕事があるところに入り込む「他人の企画に便乗する」方法で確実にキャッシュを得ながら、一部を「捨て金」に流用して「この指とまれ!」式で稼げるように投資する』ことを指します。

「なぜ経営コンサルタント起業する人は失敗するのか?」は、いかがでしたか? 結局のところ「こうすれば成功します!」という万人に共通の手段はないのです。次のコラムは、こちらから。

以上、計4回に渡り経営コンサルタントの集客方法についてお知らせいたしましたが、最初に書いた通り、(独立している)経営コンサルタントの集客方法については、皆に共通する「これがベストだ!」という方法はないのです。ベストな方法は人によって異なるのです。

「自分がどうありたいのか?」からはじまり、ターゲット客の特性、手持ちの資金、過去のキャリアや経験などを考慮しながら、「自分にとってベストな方法」を見極めるのです。

「ベストな集客方法は人それぞれ」ということです。決して、助成金セミナーを開催することではないし、出版することでもないはずです。

1.関口のつぶやき、感じたこと(生産性向上など)