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【経営と戦略を考える002】 

2025年 6月10日(火)

こんにちは、関口です。

税理士や社労士など、数人規模の士業事務所やコンサルティング会社を経営していると、日々の業務に追われがちです。

つまり、「今月の売上は?」「新しい顧問先からの依頼にどう対応するか?」「新メニューを用意すべきか?」といった短期的な判断が、日常業務の多くを占めていないでしょうか。

しかし、そうした“もぐら叩き”的な業務に追われていると、いつの間にか前進も達成感も得られないまま、組織も人も疲弊してしまうものです。

そんなとき、思い出していただきたいのが、山口周氏の著書『人生の経営戦略』に記された、次の言葉です。

「目先の仕事に粉骨砕身して頑張ることは、身動きの取れない袋小路に自分を追い詰めることになる」

どれだけ汗を流しても、向かう“方向”が間違っていたら、その努力は成果につながりません。だからこそ、努力だけではなく戦略も必要なのです。

今回コラムでは、『人生の経営戦略』に記された山口氏の考え方をもとに、数人規模の士業事務所やコンサル会社が経営を持続・進化させるためのポイントを紹介します。

税理士や社労士も同じですが、これからの士業経営において、無視できない外部要因のひとつが「生成AIの進化」だと言えます。

税務申告の書類作成、助成金の申請支援、就業規則の整備といった「正解が存在する仕事」は、AIによって一瞬で処理されるようになりつつあります。3年後のAIはどこまで進化しているでしょうか?

山口氏はこの流れを踏まえ、次のように指摘します。

「正解のある仕事はコモディティ化し、価値を失っていく。これから求められるのは、感情的・感性的知性、そして“問いを立てる力”だ」

つまり、これまで「知識量」や「処理の正確さ」で選ばれていた仕事は、AIに代替されやすくなる一方で、「何が問題かを定義し、相手の感情に応じて提案する力」が、差別化の軸になっていくということです。

これはまさに、士業の本質的な価値が変わる時代を意味しているかと思います。

顧客獲得の出発点は、「答えを出す」ことではなく、「何が問題かを定める」ことにあるのではないでしょうか。

多くの中小企業経営者は、自社が本当に直面している課題に気づいていません。そのため士業やコンサルタントには、「本人も気づいていない悩み」を見つけ出し、言語化し、解決の道筋を示すことが求められます。

これこそが、生成AIには真似できない、人間的な“問いの力”です。

Web広告やSNS、動画といった集客ツールは単なる手段にすぎません。

本当に重要なのは、顧客理解を前提に、彼らの心に響くメッセージをどう設計し、正しいタイミングに届けることです。

そのためにも、「誰に・何を・どう伝えるのか」を戦略的に考え、発信の構造そのものを見直す必要があります。

差別化のもう一つの柱は、「ブランディング」です。

山口氏は、こうも述べています。

「人材の市場価値は、能力の高さではなく“希少性”で決まる」

これは、士業事務所のブランディングにも通じます。

たとえ高い専門性が非常に高くても、他の事務所と違いが見えなければ、顧客が抱える多数の選択肢の中に埋もれ、価格競争に巻き込まれるだけです。

大切なのは、「他ではなく、あなただからお願いしたい」と思ってもらえる理由を、戦略的に伝えることです。

例えば、「実績豊富な社労士」よりも、「地元建設業者に強い“職人肌の社労士”」と表現するほうが、顧客にとって“自分ごと”として受け取られやすくなります。

ポジショニングを明確にした上で、こうした「誰に・どんな言葉で・どう見せるか」を意識的に整えていくことは、小さな事務所にとってのブランディングの第一歩です。

山口氏は、創造的なプロジェクトにおいて「計画より実行が成果を生む」とし、次のように述べています。

「計画と実行を分けて考えるのではなく、両者をない交ぜにした“即応型”チームの方が成果を出す」

これは士業経営にも通じます。

「新しい集客施策を始める前に、すべてをちゃんと整えてから…」と準備に必要以上の時間を掛けすぎるのではなく、小さく試し、反応を見て改善する“常に実験を繰り返す経営”こそが時代に合ったアプローチです。

新メニューの導入、ホームページの刷新、顧客ヒアリングの実施など、「打席に立つ」ことを増やすことが、ヒットやホームランにつながります。

完璧主義ではなく、「試行回数」を成果の源ととらえるべきです。

『人生の経営戦略』の中で、山口氏は、人生を大きく「春(~20代)」「夏(30~40代)」「秋(50~60代)」「冬(70代~)」の4期に分け、それぞれに応じた戦略があると説きます。

今、40〜50代で事務所を率いている方であれば、「築く(夏)」から「拡げる(秋)」への移行期に入っています。

ここからは、自らの専門性を他者に引き継ぎ、若手や外部パートナーと連携しながら、事業の幅を広げる戦略的準備が重要ということでしょう。

やがて来る「譲る(冬)」の時期に備え、次の担い手(後継者)を育てる意識も必要になります。

マーケティングの理論だけでは人は集まりません

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山口氏は、こんなふうにも語っています。

「当時の私が求めていたのは、自分が本当に欲しいものではなく、他人を羨ましがらせるためのものだった」

売上や規模といった“(ヨソから見て)わかりやすい成功”を追い求めるあまり、自分たちが本当に実現したかった価値や貢献を見失ってはいないでしょうか。

今こそ、「自分たちは何のために、誰に貢献する組織なのか?」を明確にし、その軸に立った戦略を設計することが、小さな事務所にとって最大の経営資源になるはずです。

 

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