【経営コンサルタント008】 

2017年9月 22日(金)

前回のコラムでは、「経営コンサルタントの見分け方1」と称して、「セミナーや講演の実績」「メディア実績」などをチェックすることをお伝えしました。

ただ誤解しないでください。「セミナーや講演の実績が多い経営コンサルタントほど良いか?」というと、そんなことはないのです。それなりに活躍していれば講師として、あるいはメディアからもお声が掛かるはずだということをお伝えしたにすぎません。

「経営コンサルタントの見分け方1」のコラムでお伝えしたかったことは、セミナーなどを開催していないにも関わらず実績を偽るコンサルタントがいるので、そういう点を見破るポイントを紹介したのです。

ところで、「セミナーや講演の実績が多ければ良いか?」というと、そんなことはないと申し上げる理由は次の通りです。

自治体などの公共機関、公益法人○○協会のような公的支援機関、それに大学などが依頼主となるセミナーや講演の場合、参加料は無料や2,000~5,000円と格安のケースが殆どです。一方、先生役の講師への支払いも格安です。民間企業の謝金とは倍以上もの隔たりがあります。

多くの公共機関・公的支援機関には講師謝金に関する規定があります。1時間当たり1万円前後です。実際には7,00015,000円程度で、「大学教授」「大学准教授」などとランクが分かれており、それによって適用される単価が異なります。

また、遠隔地から講師を招へいする場合は距離に応じて謝金に加算してくれるケースがありますが、このような配慮をしてくれない限り「経営コンサルタントを無料で活用する2」のコラムに書いた通り、移動や事前準備を含め丸2日間以上の時間を費やしても15,000円程度の売上にしかなりません。

しかも、講師として話をする時間はわずか2時間でも事前の準備があります。場合によっては、主催側の担当者からの相談やご挨拶の対応が必要かもしれません。当然ながら日程調整を含め、それらの対応にも時間が取られます。でもこれらに費やす時間は全く謝金に反映されません。

こういう料金相場を見る限り、公共機関・公的支援機関・大学などの講師としての仕事は、固定給が貰える学者やサラリーマンの臨時の「お小遣い」としては良いのですが、独立している経営コンサルタント向きの仕事ではないことがわかります。

その理由は「仕事が増えても、稼げない!」からです。もっとも、経営コンサルと講師業は別ものですが…。

 

公共機関・公的支援機関・大学などの講師に限らず、国の事業(国プロ)を獲得した民間企業から「外部専門人材」などという立場で支援する場合も、謝金が1万円/時ほどにすぎません。いわゆるコンサルティングのような仕事をしても、所詮、「時間」によって支払い(単価)が決まります。

例えば、コンサル的な仕事を2時間すると2万円です。一方で2時間の会議に出席して半分居眠りをしていても2万円が貰えます。この程度の金額が1日の上限となります。これでは独立しているコンサルタント向きではありませんね。

ところで、インターネットを駆使し、主に個人事業主をターゲットに上手く稼いでいる、あるコンサルタントがいます。

その人が運営しているウェッブサイトには「年収300500万円で頭打ち。忙しいのに儲からない・・・。なんて悩んでいませんか?」というキャッチフレーズでコンサルタント起業を目指す若者らを集めています。実は、この300~500万円という数字は「ビンゴ!」ですね。

経営コンサルタントを名乗っていても、中小企業診断士協会、自治体などの公共機関、公益法人○○協会のような公的支援機関の研修講師などの仕事に収入を依存していると、毎日何かしらの依頼(仕事)が入ったとしても、なんとか600万円くらいの売上がつくれる程度だからです。

1日の謝金(売上)が2-3万円だと、1カ月の実働日数を20日と仮定すると、月に50万円の売上となります(1日当たり2.5万円の売上と仮定)。つまり運良く毎日仕事が入ったとしても、年間売上は600万円程度で頭打ちとなります。

しかもこの金額には社会保障がありません。有給休暇はないし、もちろん仕事の保障もありません。まさに「年収300500万円で頭打ち。忙しいのに儲からない・・・」のです。

このような金額の話をすると、中には「1円でも貰えるならありがたい話じゃないか?」などと主張する人がいます。あるいは、「マンション経営をしており、経費を差し引いても月に50万円は残る!」などと経済的に余裕がある人もいます。そういう人であれば、「経営コンサルの料金などいくらでもいいじゃないか?」と思うかもしれません。

でも経営コンサルの仕事だけで生活する立場の人であれば、「いくら稼げるか?」ということは重要な話ですよね?

では、コンサルタントとして良い・悪いは別にして、儲かる(商売が上手い)コンサルタントは、一体、どういう人になるのでしょうか?

それは、「コンサルタントの営業・マーケティング戦略」のコラムの中で説明したように、「この指止まれ!」方式で顧客を集められるコンサルタントです。2000年くらいからずっと調べてきた限り、このようなコンサルタントにはいくつかの特徴があることがわかりました。

1つは「万単位の人が集まるコミュニティを所有している」ということです。これは、インターネットを駆使して、零細事業者・個人事業主・起業予備軍などをターゲットにしているケースが目立ちます。15年位前だと「まぐまぐ」や「メルマ」のようなメルマガ配信スタンドを利用して5万、10万人もの登録者にメール配信していたような人です。

私も「これは、お見事だ!」と感じたヨソ様から学んだ集客の知恵をメール配信しています。

つまり、「自身のメディア」を持っている人です。「自身のメディア」さえ持っていれば、その人たちに、次から次へと形を変えて何かを売り込むことが可能になるのです。

例えば、収録したセミナーを動画ファイルに変換し、それを視聴するアクセス権を高額で販売することができます。

そのような複数の商品・サービスの1つに「コンサルティング」を用意することができるのです。しかも、必ずしも面会するスタイルとは限りません。「1対1」ではなく「1対N」もあるのです。

インターネット系については、ありがたいことに技術の進化と共に次から次と新しい手法が出てきます。それが商売になるのです。数年前からはウェビナーと呼ばれるネット上のセミナーを開催する人も出てきました。

あなたにとっても最も重要なことは「選ばれる存在になること」です。情報過多の時代となった今、経営者にはさまざまな選択肢がある中、選ばれなければなりません。【続く】↓↓↓

仕事が増えても、単価の低い仕事に依存すると、稼げないのですね。次のコラムはこちらから!

ただ、この方法で成功するには意外と大変です。ネット上の競争は非常に厳しいからです。しかも、インターネット上には「こんなに楽に1億円儲かりました!」などとうそぶいた、ドハデなセールスレターを駆使して詐欺まがいの商売(主に情報商材の販売)をしている人も溢れています。

これはインターネットの黎明期から変わっていません。昔は細長~いレターを使っていたのが、今では動画を積極的に駆使している点が大きな違いです。

こういう実態(胡散臭さ)と表裏一体の世界であることから、集まる人の多くは零細事業主となります。

では他には? 「万単位の人が集まるコミュニティを所有している」以外の特徴については次回にでもお伝えします。

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