【経営コンサルタント004】 

2016年10月21日(金)

前回の記事(経営コンサルタントを無料で活用する1)では、タダあるいは格安料金でコンサルタントを活用する方法として公的支援機関を活用することをお知らせしました。また、最後に「見方を変えて、支援する側のコンサルタントへの支払いはどうなっているのでしょうか?」と質問を投げかけたところで終了しました。今回はその続きです。

 

実は、それも格安なのです。つまり、支援する側のコンサルタントへの支払いも格安なのです。私が見てきた限り、高くても1日に4万円ほどです。2.5万円や3万円という金額も少なくないようですが、(公的支援機関の制度に関し)1回の訪問で5万円を超える報酬は見たことがありません。

公的支援機関に支援を要請する企業側の負担は1万円、1.5万円、2万円、あるいはタダ(0円)のケースもあります。一方、支援するコンサルタント(専門家)側に支払われる報酬は高くても1日4万円です。しかも、拘束時間は移動時間を含めると3~6時間と長め。おまけに、公的機関が仲介役として介在し、公費があてがわれるので、面倒な手続きや報告まで課せられます。

これを見て「あっ、安い!」と思いましたか?そしたら驚きはまだ続きますよ。専門家(コンサルタント)派遣ではなく、研修講師のような立場で公的支援機関が企画するイベント(講演会、セミナーなど)に出向く場合は、主催法人の規程により1時間当たり7,000円~1万円ちょいが支払われるだけです。

飛行機や新幹線を利用して遠方まで出向いて現地に前泊し、翌日に2時間くらいの講義をしても(交通費や宿泊費の実費とは別に)謝礼として15,000円ほどが支払われるだけとなります。

移動や資料の作成などを含め、少なくても丸2日分の時間が費やされるにも関わらず、1日当たり7,000~8,000円程度の売上にしかならないということ。それに比べると4万円/日は公的支援機関の謝礼としては最高水準とも言えます。

 

ところで、自身の力で民間企業のクライアントを集客できるコンサルタントの多くは、安い料金を設定する人でも1回の訪問、しかも2時間程度の支援で10万円以上のコンサルフィーです。

1回の訪問で20万円を超える料金設定をする人も大勢います。業界や会社規模などにより異なりますが、(いわゆる中小企業の場合)1回数時間の訪問で1030万円が相場ではないかと思われます。

 

片や1回の訪問で20万円以上、片や4万円です。いや、もっと少ないかもしれません。なんと5倍以上もの料金(コンサルタントの売上)の違いが生じます。

この歴然とした格差を目にして「だったら、コンサルタントの人は公的機関に専門家登録などせずに、自身でさっさと客を集めて商売すれば良いじゃないか?」と思いますよね?

 

まさにその通りです。でも集客が容易ではないという厳しい現実に直面します。例えば、有名大学を卒業して、大手企業で長く技術者や研究者として働き、退職後に「技術支援コンサルタント」などと称して独立したところ、苦労して小資金で自ら集客した経験がなければ顧客の獲得はなかなか上手くいきません。

結局のところ「何かあればよろしくお願いします!」と単発のアルバイト探しの如く、サラリーマン時代のツテなどを頼り、誰かに仕事を紹介してもらう機会を待つしかない人が少なくないのです。

そういうコンサルタントにとって手っ取り早く顧客を獲得する方法があります。それが「専門家」として公的機関に登録することです。「専門家」といっても「自称」でOK。

専門家登録するために試験を受けさせられるわけではありません。だから、民間企業の仕事が獲得できない人の中には、派遣会社に登録して案件の紹介を待つのと同じように、わざわざ遠方の都道府県にある支援機関にまで出向いて登録する人もいます。

 

ところが、公的支援機関に専門家登録しても、仕事の紹介がある人は登録者全体の12割ほどです。残りの89割の人は首を長くして待っても「仕事なし」。これが現実です。

こういう実態を踏まえ、仕事が無い人はなおさら登録件数を増やすことに躍起になりがちです。だって「仕事が無く収入もない」の状態になるよりは、単価が安くても何か仕事があった方が良いと考えるからです。

 

さて、ここまでお読みになれば、もうお気づきかと思いますが、一般的に「自分の力では顧客開拓ができない人」が公的支援機関の専門家として登録するケースが多いようです。

しかも余談ですが、年配者の占める割合がとても高いのです。

 

1回の訪問で月に20万円、25万円、30万円の価格設定で自ら顧客開拓が可能であれば、その半値どころか1/51/6もの稼ぎ(報酬)にしかならない公的機関にわざわざ専門家登録などしないのです。

私は過去に「公的支援機関は稼げないコンサルタントが仕事を求めて登録しにいくところ!」というアドバイスを何人ものコンサルタントの方から耳にしたことがあります。だから、公的支援機関という団体は、コンサルタントの「駆け込み寺」の役割を担っていることがわかります。

 

ただし、必ずしも公的機関に登録しているコンサルタントの能力が劣っているわけではないのでご注意下さい。優秀な人も大勢います。

例えば、年金生活している企業OBのような人の中には、経済的に余裕あるが、「健康維持のために!」仕事をしている人も少なくありません。

そういう余裕があるシニアの中には、何かと苦労が伴う集客は自身で行わずに、専門家として支援機関に登録して「依頼がある場合にだけ仕事をする!」というスタンスの人もいるのです。 

格安で活用できることはありがたいのですが、経営コンサルタント側の事情も理解していると、コンサルタント選びに役立つはずです。次回は、「経営コンサルタントを無料で活用する3」の前に「コンサルタントの営業・マーケティング戦略」です。

結局のところ、公的支援機関のコンサル料金がとても安いことは非常にありがたい話ですが、これまでに説明したようにコンサルタント(専門家)側の事情についても心得ておくべきかと思います。

 

他にもお伝えしたいことがあるのですが、続きは次回ということで今回はこれで終了です。

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