【経営コンサルタント011】 

2018年5月16日(水)

「経営コンサルタントの集客方法1」のコラムでは、「他人の企画」に便乗することが前提の集客方法を説明しました。「他人の企画」に便乗するのであれば、コネがある方が明らかに有利に働きます。

だから、10年以上も前に私が年配コンサルタントのおじさん達からアドバイスいただいた通りの方法で良いのです。その内容については「経営コンサルタントの集客方法1」の中で述べました。まだ読まれていない方は、先に「経営コンサルタントの集客方法1」を読んでみてください。

本日のコラムでは、大きく2つある経営コンサルタントの仕事獲得方法のもう1つである、自ら企画して「この指とまれ!」式で集める方法についてお伝えします。

「この指とまれ!」式は、経営コンサルタントが自らの力で(あるいは、第三者の力を上手く利用しながら)クライアント先を探し出すことです。あらかじめ用意されている(用意されそうな)案件に「ぜひ、私にチャンスを…」と近づいていくアプローチと異なります。

将来的に仕事をくれそうな法人に働きかけて、あらかじめ関係を築く方法とも異なります。自ら企画し、「この指とまれ!」と相手を引き込んでいく方法です。自らの企画なので価格をはじめ、自ら決めたルールで仕事ができる点が魅力です。

私は「他人の企画に便乗する方法は、最も典型的で一般化している」とコラムの中で何度か伝えましたが、実は個人や個人事業主向けの場合は別です。彼らを対象にしたコンサルティングに関しては、「この指とまれ!」式が殆どです。

「この指とまれ!」式は、コンサルティングの対象が個人や個人事業・零細事業主の場合に都合が良く、向いているのです。

逆に、企業の規模が大きいと難しく苦戦します。ネット上で「カリスマ」「○○界の第一人者」などと振る舞っている“本当に上手くいっている人達”をよく調べればわかると思いますが、彼らの対象顧客は個人や個人事業・零細事業主です。しかも、20代~40代前半までの若い人が殆どです。

ところで、経営コンサルティグと言っても、クライアント先の「対象」は実にさまざまです。大企業や中小企業に限らず、先に書いた通り個人向けのコンサルティングもあります。それには起業準備中のサラリーマンなども該当します。

コンサルタントとは1回も会うこともなく、電話やネット上のやり取りだけで完結する経営コンサルティングもあります。必ずしも対面するとは限らないのです。1対1社とも限りません。

最新技術を駆使すれば「会わずにコンサルティングを行なうこと」が可能です。また会ったこともない人物にコンサルティングの仕事を依頼することが現実世界では起こっています。

もしかしたら「会ったこともない人にコンサルティングを頼むことなどあるのか?」などと疑問に感じる人がいるかもしれませんが、巧みに人の知覚価値を刺激し、そういうことを成し遂げている人がいるのです。

繰り返しますが「会ったこともない人」にコンサルティングを依頼するケースがあるのです。

それに大手の会社にコンサルを依頼する場合などは、面識のない入社3~4年目の20代の若手が担当することが日常茶飯事です。だから、コンサルティングの仕事獲得については、必ずしも事前に対面する必要がないことは確かです。

これは、何かしらの手段を通じて「信じてもらうこと」「信じさせること」さえできれば、対面しなくても仕事の獲得ができることを意味します。

だからビッグネーム企業のコンサルタント(社員)として仕事することができても、その人が独立したら以前と同じ感覚で仕事が取れることはありません。個人の名前(自分の会社名)で「信じてもらう」「信じさせる」ことができなければならないからです。

経営コンサルタントが「この指とまれ!」式で集客する際の第一ステップとして最も多く見られる方法は、「セミナーへの誘導」かと思います。公開型のセミナー開催です。ここで初めてコンサルタントは見込み客と「ご対面」となります。

中小企業へのコンサルティングを主たる事業とする売上が30億円以上あるような会社では、まずセミナーへ誘導します。それから「本日参加の方には特別に…」などと特典を案内してコンサルティング契約に繋げようとします。

そこでまずはセミナーに来てくれる人を募らなければなりません。その集客方法については、何かしらの媒体に広告を出すかもしれません。あるいは、個別にDM(郵送、FAX、メールなど)を出すことでしょう。

 (独立している)コンサルタントの中にも、一定以上の規模のコンサルティング会社と同じように、自身でセミナーを開催する人がいます。ところが、私が聞いた・調べた限りでは、1回のセミナーで4-5名集めるのが精一杯という人が殆どではないでしょうか? 

人が来ないのでセミナーの開催ができない、という話もよく耳にします。「5~6回とセミナーを企画したものの、集客できないので実際には1回も開催できなかった」というケースも少なくないようです。

 

個人コンサルタントによるセミナーの集客は、個人や個人事業・零細事業主が相手であれば決して難しいことではありません。ところが一定規模以上の法人経営者を集めるとなると、かなり難しくなるのです。

もっとも1人しかセミナーの集客ができなくても、その1社と契約できれば、十分に採算が取れるはずです。「はず」と書いたのは、たった1人をセミナーに連れてくるために100万円以上もの費用を掛けていたらムリだからです。

セミナーを開催する以外にもいくつかの方法があります。現に私は公開型のセミナーを開催していません。そのかわりに企業に出向く「出張セミナー」を案内しています。

また、ロボット普及推進の関連テーマでは、自治体、団体、企業などから講演やセミナーに講師としてお呼ばれされる機会がとても多いのです。そういう機会からチャンスが広がります。だから、あえて公開型のセミナーは開催しないのです。

 

ところで、セミナー以外にもさまざまな方法が可能ですが、話がかなり複雑になるので、ここからは経営コンサルタントの集客に関し、まずはセミナーに来てもらうことが最初の関門であると仮定した上で話を進めていきましょう。

多くのコンサルタントは「ではセミナーに来てもらう人を、どこから、どうやって集めてくるのか?」という集客面の課題に直面します。

あるコンサルティング会社は日経新聞に目立つ全5段の広告を出すかもしれません。つい先日、東京・大阪・名古屋で6月に開催される「人手不足に勝つ 中堅中小企業経営のすべて」と題したセミナーの開催案内の広告を目にしました。

この広告は全国版だと700万円以上の掲載料が掛かります。それに会場費など…。広告を掲載した会社は、この金額を後で回収していくのです。

別のある個人コンサルタントは、ネット広告を利用するかもしれません。少額で始められる点は良いのですが、投入する金額が少なければクリック数が限られます。いつまで経っても人が集まらないかもしれません。 

別の経営コンサルタントは「有名にならなければ売れないよ…」と巧みに諭されて出版に踏み切るかもしれません。出版するにはかなり少なく見積もっても100万円以上のお金が必要です。それに本が書店の棚に並ぶまでには時間が掛かります。

その間に、自身の主張が変わってしまうかもしれません。

また出版しただけでは売れないし、書店の棚に置いてもらえません。そこで広告を出することになるでしょう。もしかしたら出版した後に、「この出版は失敗した。事業のコンセプトを変えてやり直そう!」などと思っても、安易に変更することも逆戻りすることもできなくなります。

さらにお金が掛かる広告は止めて、「メールマガジンを発行して、コツコツと読者を集めよう。そして読者になってくれた人にセミナーを案内しよう!」などと考える人もいます。でも読者が集まるまでには意外と時間が掛かります。

それに、時間の経過と共に次から次に脱落していく(メルマガを読まなくなってしまう)人が出現するはずです。累計の登録者数がいくら増えても、脱落者の人数が登録者と同じくらいだと、結局のところメルマガを開封してくれる人数はいつまで経っても増えません。

つまり「新規登録者数」が「脱落者」を常に上回らない限り、メルマガを発行してもセミナーに来てくれそうな人を集めることができないのです。中途半端にチマチマとやっていたら上手くいかないのです。

このように、たかが「セミナー開催の集客」とはいえ、初めから上手くやれる人は少なく、多くの人には試行錯誤する期間が必ずあります。その期間に費やす金は投資といえば聞こえが良いのですが、すべて「捨て金」となって消えていくかもしれません。ファイナンスの世界では「sunk cost」扱いとなります。

ここまで読めば「この指とまれ!」式については集客が容易ではないことがおわかりだと思います。重要なことは、試行錯誤の段階から早期に抜け出すことです。早期に抜け出さないと「捨て金」ばかりが大きく膨らんでいきます。手持ちの現金が燃焼していきます。手持ちの現金がなくなればゲームオーバーです。

結局のところ、経営コンサルタント業に限らず、他の事業でも同じですが「当社の事業はこれで上手くいく!」という成功パターンを早期に確立すること。それが全てです。「当社の」と書いたのは、会社によってそれぞれだからです。

すでに持っている経験やスキルはそれぞれの会社において異なるので、それらを活かした上で、自社にとってベストな方法を見い出さなければなりません。

サラリーマン時代に、メルマガを駆使して何度も失敗しながら登録者集めをした経験がある経営コンサルタントであれば、積極的にメルマガ展開する方法が良いかもしれません。同様に、何度も新聞広告を出した経験がある人であれば、それなりのノウハウがあるはずなので新聞広告で攻める方法が相応しいかもしれません。

逆に、自ら広告を出した経験がない経営コンサルタントが、いきなり新聞広告に手を出すと試行錯誤して直ぐに100万円以上の「捨て金」が発生するはずです。さらに、出版の場合だと、出版費用+広告費が掛かるので数百万円単位のリスクとなります。

だから、集客方法についてはすでに持っている経験やスキルを可能な限り活かすことです。不慣れなモノ(例えば、新聞広告)に飛びつくことは危険なのです。それに「これからはLINE@です!」などと煽られているだけではダメなのです。

そして、上手くいかないことは、さっと諦めるなり切り替えて、試行錯誤する時期を可能な限り短く切り上げることです。当たり前ですが、3回繰り返して上手くいかないことは、4回目も5回目もダメなはずです。

「この指とまれ!」式では、「経営コンサルタントの集客方法1」に書いた集客方法と異なり、どうしても最初に時間や金を投入することになります。広告費を使わないで時間を掛けて、コツコツとメルマガ読者を集めていく方法については先に述べましたが、登録者が増えていく間にも人件費(生活費)が発生しています。

とにかく、投資した金をコンサルティング契約に繋げて、回収していくモデルなのです。大きく躍進できる可能性がある一方、「この指とまれ!」式はリスクを伴います。だから、ハイリスク・ハイリターンと言えます。

「経営コンサルタントの集客方法1」のコラムでは、「他人の企画に便乗する方法」について次のように書きましたが、その意味するところが理解できたのではないかと思います。

 「捨て金」が発生しないために、ローリスク・ローリターンを狙う経営コンサルタントには都合の良い集客方法

 

「他人の企画に便乗する方法」は、ツテに頼ることが基本です。だから「○○新聞の半5段広告に2回掲載して計100万円を使ったけど、コンサル契約どころか1件の問い合わせすらなかったよ!」との事態に直面する心配はありません。

結局のところ、「経営コンサルタントの集客方法1」で最初に述べた通り、「ベストな集客方法は人それぞれ」ということです。助成金セミナーを開催することではないし、出版することでもないはずなのです。

ちなみに、助成金セミナーとは、客寄せの手段としてセミナーの中で「助成金のご案内」をすることです。また、「研修費用は助成金を使えば、後で回収できますよ!」と制度を活用して研修を受けさせる案内をするケースが散見されます。

とにかく、経営コンサルタントに必要なことは「リスクヘッジしながらチャレンジする」ということではないでしょうか? では「どうリスクヘッジしながらチャレンジすべきか?」

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上手くリスクヘッジしながら事業を展開しないと、試行錯誤に費用がかさみ、「ゲームオーバー」になりかねません。では「どうリスクヘッジしながらチャレンジするべきか?」 次回のコラムは、こちらから。

長くなってきたので「経営コンサルタントの集客方法」についてまとめたいのですが、「どうリスクヘッジしながらチャレンジすべきか?」を含め結論じみたことは次回のコラムでお伝えします。

あなたにとっても最も重要なことは「選ばれる存在になること」です。情報過多の時代となった今、経営者にはさまざまな選択肢がある中、選ばれなければなりません。【続く】↓↓↓

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