戦略とプロセスを明確化した事業デザイン:
自らに選択肢があることを知りながら「できない」を「できる」に!
【経営コンサルタント020】
2018年12月 6日(木)
戦略プロセス経営実践会のコラムは、経営コンサルタントを利用することを検討している経営者を対象に、経営コンサルタントの表だけではなく、裏の事情も知っていただくために書き始めました。しかし、経営コンサルタントの人にも参考になれば、という気持ちに変わってきました。
そこで本日の「経営コンサルタントが生き残るために」というテーマは、どちらかと言うと現役の経営コンサルタント向けです。現役の人を対象に、試行錯誤・生き残り・手探りから抜け出し、早期に「成長ステージ」へとコマを進めてもらうために書き上げました。2回に分けてお届けします。
まず基本に立ち返ってみましょう。そこで「一体、何が経営コンサルタントなのか?」を考えてみましょう。
「コンサルティング」について辞書で調べてみたところ、次のような定義が掲載されていました。そのまま紹介します。
以上の説明でしたが、現実の世界ではかなりいい加減な使われ方をしているのが「経営コンサルティング」です。例えば、一般的な研修と何ら変わりないにも関わらず、「グループコンサルティング」などとコンサルティングの名称が使われています。これは研修と名付けるよりも「コンサルティング」と称した方が高い価格設定ができると考えているからでしょう。
逆の例もあります。私が支援している東北地方の自治体が行っている事業の一つに「アドバイザー事業」があります。それは、上に書いた定義の通り「専門家の立場から相談にのったり指導したりする」ことであり正にコンサルティングとなります。しかし、コンサルティングという表現は一切使われておらず、アドバイザーという立場で私が県職員と県内の介護施設を訪問し、指導しているのです。
結局のところ、経営コンサルタントを使う立場の経営者にとっては「自社の業績アップに繋がるのか?」「課題解決に繋がるのか?」などの視点から検討すれば良いだけであり、コンサルティングをはじめとするさまざまな言葉の定義に拘る必要はないのです。言葉に振り回される必要はないのです。言葉は都合の良いように使われているだけですから。
一方、経営コンサルタントにとっては、課金する都合上、それに相応しいネーミングをすれば良いのではないでしょうか? 経営コンサルティングの定義や範囲に拘ることはないのです。
例えば「セミナー講師は経営コンサルタントの仕事ではない!」などと発想すると視野が狭まってしまいます。このように自分本位ではなく、顧客視点で考えることが必要ではないでしょうか?
それは、クライアント企業のニーズに合致する形でサービスをオファーしていくように務めることです。セミナーを開催してあげるだけで十分なクライアン企業には、そうしてあげれば良いということです。
さて、「クライアント企業のニーズに合致する形でサービスをオファーしていけば良い」と書きましたが、それをもう少し深掘りしましょう。それは、クライアント企業の立場から自身のサービスを見直すことです。
価格、時間、参加するメンバー、テーマ、進め方などについては、反応を見ながら変えていった方が良いのです。価格については、高い方が経営コンサルタントには都合が良いのですが、高く設定すれば集客面で苦労を強いられることになります。時間についても長くなればなるほど、訪問先(クライアント企業)の時間を奪うことになります。
とにかく市場のニーズに迅速に対応することが重要となります。
ただし、それは「何かお困りごとはありませんか?」と御用聞きをしながら、サービスをオファーすることではありません。提供するサービスそのものはあらかじめ体系化し、コンサルティングという無形のサービスをある程度見える形に変換した方が良いのです。さもないと、選ぶ方が困ってしまうからです。
しかし、「1回目は●●、2回目は●●、3回目目は●●、計8回訪問で料金は200万円」などと一方的にガチガチに決めてしまうことは問題です。それでは先方(クライアント企業)に選択肢がありませんから。重要なことは、個別のクライアント企業のニーズに合致するよう可能な範囲内でオファーを変える、あるいは選択肢を与えてあげる柔軟性が必要であることです。
ただし、「1対1」ではなく「1対多数」の場合は、より固定させた方が良いのです。
コンサルティングという無形のサービスを可能な限り見える形に変換する方法の一つは専門(分野・テーマなど)や対象客(業種・事業規模など)を明確に示すことです。
ちなみに、よろず支援拠点など公的機関にてコーディネーターとして仕事をするような場合は、財務会計、営業、マーケティング、人事、労務管理といったレベルの専門分野の開示で十分です。なぜなら、あまり専門分野を狭めると対象客が限定されてしまい地元の企業が利用しづらくなるからです。
ところが、自分の力で経営コンサルティングの仕事を取る場合は、財務会計、営業、マーケティング、人事、労務管理という広く抽象的な専門では、先に人間関係を構築しない限り、多数の中に埋もれてしまうでしょう。
そのようなこともあり、よく「差別化しましょう!」「唯一無二のサービスを作りましょう!」などとアドバイスするコンサルタントを目にします。それはそれで良いのですが、そういうアドバイスに従ってよくわからない「自称●●コンサルタント」とネーミングする人がいます。実は私も「戦略とプロセスのデザイン屋さん」と名乗ることがあります。
そういうことは、クライアント企業の候補(潜在顧客)に自らの存在に気づいて、見つけ出してもらうことを目的にネーミングしています。ところが「他の人には何かよくわからない」不思議なネーミングをよく目にします。それでは元も子もありませんので要注意です。
頭の良い人は先に書いた内容で、あることにもう気付いたかもしれません。先に述べたよろず支援拠点などの公的機関は無料で利用することができます。タダで相談にのってもらえるのです。タダで経営コンサルティングを提供してもらえます。
ただし「どんな業種でOK」「どんなお悩みにも!」という態度なので、彼らの受け皿は浅く広いのです。それはメリットでもあり、デメリットにもなります。
つまり「何でも受け付けて対応してはくれるけど、自社の課題解決にピッタリな人ではない!」となりがちなのです。一般的・初歩的・汎用的な内容の相談等であれば、無料なのでぜひ利用すべきかと思います。しかし、それ以上のことを望むのであれば、もっと適任者を探した方が満足度は高くなるはずです。
また経営コンサルタントの立場の者にとっては、自分の力で経営コンサルの仕事を取る場合、彼ら(公的機関のコーディネーター)と同じ専門性では済まされません。財務会計、営業、マーケティング、人事という専門性の打ち出し方では、彼らと同じになってしまいます。そういう場合は、クライアント企業の候補(潜在顧客)が当然ながら、タダで利用でき、大きな看板がある方(公的機関)へ流れていってしまいますから。
だからこそ、上に書いた「適任者だ!」「ウチの事業にはこの人だ!」と思われるよう、公的機関のコーディネーターとは差別化できる打ち出しが必要なのです。これはポジショニングを明確に打ち出すことです。
そうなんです。個人コンサルタントが自身の力だけで集客することは難しく、できても小さな会社ばかり。だから作戦が必要なのです。次回はこちらから。
さて、最後になりますが、経営コンサルタントにとって最も苦労することは集客でしょう。集客方法についてはこれまで他のコラムの中で何度か述べてきましたが、詳しいことはまた次回に解説します。
ポイントは「セミナーを開催すること」ではないのです。よくまずは自らセミナーに集客して、セミナー会場でコンサル契約に誘導しようと試みる人がいますが、殆どの人はセミナーへの集客で頓挫します。セミナー参加者を集めることさえできないのです。
もっと正確に表現すると、独立系の個人コンサルタントが自身の力だけで集めようとしても、集まるのはちっちゃな会社の経営者ばかりです。売上10億、20億円もあるような企業経営者はなかなか集まらないでしょう。
では、何をすべきでしょうか?
ちょっと長くなってきたので、それについては次回お知らせいたします。
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