【経営・戦略005】 

2018年4月 20日(金)

No.4どうやって事業の方向性を決めるのか?」と題したコラムでは事業の方向性を検討する方法について説明しました。今回は仮説として出した事業コンセプト案を検討する方法を説明します。

コンセプト案の検証作業でよく使われる分析フレームが有名な3C分析です。Customer(市場環境)、Competitor(競合環境)、Company(自社)の3つの側面から検討するものです。

しかし、そのような分析ツールを使えば答えを確実に導くことができるわけではありません。分析ツールは検討や議論のための「ツールにすぎない」ということを踏まえた上で、それぞれを説明します。

では「Customer(市場環境)」の側面から検討してみましょう。ここでは「市場が魅力的かどうか?」を判断します。次のような複数の観点から市場を評価することができます。

1つ目は「市場の規模」です。これは「自社の商品・サービスを求めている人や企業がどのくらいいるのか?」「全体でどのくらいの売上が見込めるのか?」などを見極めることです。市場規模ついては大きければ良いというわけではありません。

大きければ強力な競合が参入してくることになるからです。市場規模の大小ではなく、「自社にとって商売が成り立つ規模の市場がどうか?」という観点から検討すると良いでしょう。

2つ目は「市場の成長性」です。今は魅力がなくても成長し続ける市場であれば、5年、10年先には十分に魅力ある市場になるかもしれません。でも、体力のある大企業であれば10年後を期待して…という判断ができますが、売上規模が数億円程度の企業にとっては、呑気に構えているわけにはいきません。

3つ目は「未開拓市場かどうか?」という観点です。未開拓ということは、まだ刈り取られていない市場です。「ブルー・オーシャンかどうか?」と表現することもできるでしょう。今までの常識を疑い、既存のサービスに少し手を加えることでも未開拓な市場は発掘されてきました。

私は最近、Anytime Fitnessというスポーツクラブを見学しました。一般的なスポーツクラブにあるプールやスタジオを無くし、「マシンジム特化型」というキャッチフレーズでアピールしている必要最低限の設備だけを備えているのです。そのかわりに安価、しかも24時間営業で年中無休。こういう新業態で新しい市場を開拓し、成長しているのです。

4つ目は、「カネを払うのか?」という支払い余力のチェック(評価)も必要です。これについては、ニーズがあっても経済的な理由から支払うことができないかもしれないことがあります。また経済的には何ら問題なく支払えるにも関わらず、支払う習慣がなくカネをなかなか出さないということもあり得ます。

例えば、公的支援が充実しているような場合は、企業にとって補助金が貰えることが当たり前のような感覚になっているため、補助金制度を利用する以外の購入についてはカネをなかなか出さないかもしれません。

以上の4つ以外にもCustomer(市場環境)については、他にも色々なことを検討しなければなりません。例えば、「市場の不確実性」があります。それは認可が下りなければ始められないという不確実性かもしれません。

また、お弁当の宅配サービスのように、いくらニーズがあってもある一定以上のボリュームが見込めない限り非効率なオペレーションになってしまうことがあります。これは一定以上の業務量がなければ、機械を導入しても使う機会が限定されているため稼働率が低すぎてムダになってしまうことと同じです。

C分析の2番目の競争環境の評価については、ハーバードビジネススクールのマイケル・E・ポーター氏が提唱した5 Forces Analysis(ファイブフォース分析)がよく知られているのではないでしょうか? 

5つあるからFive(ファイブ)なのですが、それらは「既存競合者同士の敵対関係」「供給企業の交渉力」「買い手の交渉力」という3つの内的要因と、「新規参入業者の脅威」「代替品の脅威」の2つの外的要因、計5つの要因となります。これら5つの要因から業界全体の魅力度を評価するのです。

5つの要因の中でも重要なものが「既存競合者同士の敵対関係」です。そこでは業界内の企業各社を分析することが重要となります。

「供給企業の交渉力」とは自社に提供してくれる「売り手」側の交渉力です。「売り手」である供給企業の交渉力が強ければ、自社の立場は弱くなり利益を圧迫されることになります。

「買い手の交渉力」とは自社から買ってくれる「買い手」の交渉力です。買ってくれることはありがたいのですが、相手の交渉力が強ければ価格が叩かれ利益が圧迫されます。

「新規参入業者の脅威」は新規で市場に入ってくることによる脅威です。先に紹介したアメリカからやって来たAnytime Fitnessは2010年に日本市場に参入しました。しかし、5年後の2015年にはティップネスが運営しているFASTGYM24が、Anytime Fitnessと殆ど同じコンセプトで市場に参入してきました。これがまさに「新規参入業者の脅威」ということです。

「代替品の脅威」は、読んで字のごとく代替品が出てくることで自社のニーズがなくなってしまうという脅威にさらされることです。例えば、スマホに電卓機能が充実すると卓上計算機が脅威にされされました。

C分析の3番目のCompany(自社)は自社内部に関することです。先に掲げた「事業コンセプト」を遂行するだけの能力があるかどうかを評価します。

重要なことは2つあります。1つは「その事業コンセプトを遂行するために決定的に重要なことは何か?」を見極めることです。これはCritical Success Factor(CSF)Key Success Factor(KSF)などと呼ばれます。市場に参戦するための必須条件のようなことです。

そして次に、そのCSFKSFに対応する自社の強みがあるかどうかを検討することです。当然ながらCSFKSFに対応する自社の強みがなければ、事業コンセプトの修正や再発見が求めれます。そういう意味において、全ての始まりは「自社の強み」と言えるでしょう。

3C分析はツールの1つにすぎなく、しかもその使い方には決まりがあるわけではありません。次のコラムは、こちらから!

以上の通り3C分析を説明しましたが、これは事業コンセプトを評価するための分析ツールにすぎません。また3C分析の3つの側面だけで決断を下すべきではないのです。

他にも会社のビジョンや資金力、事業目標なども考慮した上で事業コンセプトを決定していくことになります。

1.関口のつぶやき、感じたこと(生産性向上など)