【関口のつぶやき、感じたこと 076】 

2023年 1月 20日(金

  • キーエンス
  • 最強企業のメカニズム
  • SFA

こんにちは、関口です。

年末から年初にかけて『キーエンス解剖 最強企業のメカニズム』という本を読みました。タイトルにある通り、キーエンスという会社の強さについて、30代前半の日経ビジネス記者が執筆した本です。

キーエンスという会社の存在は、私が新入社員だった30年以上も前から「スゴイ会社だ」と聞いており、知っていました。当時の勤務先(オリンパス)の部長から、何度断っても「また、来ちゃいました!」などと言って決して諦めずにアプローチしてくるキーエンスのエピソードを聞いていました。

今、多くのビジネスパーソンの間において、キーエンスは「給料水準が非常に高い会社」として知られているのではないかと思います。総合商社(例:三井物産)や日本テレビといったキー局の社員よりも給与水準は高いのです。

キーエンスは、創業者の滝崎武光氏が3回目の起業で立ち上げた会社です。当初は、リード電機という会社でしたが、1986年に社名をキーエンスに変更しました。

この会社についていろいろお伝えしたいことがあるのですが、このコラムではキーエンスのスゴイ営業力についてお知らせします。その後、中小企業がキーエンスから見習える点について少し説明します。

 

キーエンスのスゴイ営業力

私が注目したいのは、攻めの営業とSFA(セールス・フォース・オートメーション)活用の徹底ぶりです。これについて別の言い方をすると、顧客から聞き出して提案する姿勢と、その記録の残し方がスゴイということになります。しかも、対応が全てにおいて迅速なのです。 

営業活動のさまざまな情報を蓄積するSFA自体は一般的で、多くの企業に導入されています。しかし、キーエンスが違うのはその活用方法です。キーエンスでは、あの手この手で次の営業活動のヒントになるような情報を顧客から引き出します。そして、その結果や自らの行動を細かく記入するのです。「行動していたとしても、書かなければやっていないのと同じ」という発想を多くの社員が持っているそうです。

記入することを徹底することで、効率的で質の高い営業につながります。しかも、SFAに蓄積しておけば営業担当者が代わってもデータは残ります。人に依存するという属人的になることなく、会社として効率的な営業活動を続けられます。

「あの手この手で次の営業活動のヒントになるような情報を…」と書きましたが、顧客企業の中で誰がキーパーソンなのか、また、その人の性格や意思決定の癖なども入力しているとのこと。客先では「この件の意思決定はどのように進んでいくのですか」と確認し、そこで見えてきた意思決定者や、その人に対して強い影響力を持つ人の要望を丁寧に聞き取っているそうです。

また、私がスゴイと思ったのはキーエンスの電話活用についてです。営業担当者には内勤日と外勤日があり、内勤日は電話でアプローチしてアポを取ることに時間を費やします。外勤日は、朝から外回りします。スゴイと書いたのは、目的の徹底とキーエンスでハッピーコールです。

キーエンスでは目的が曖昧な訪問はダメ。社有車で納品先を意味もなく立ち寄るような営業活動は許されません。訪問前に目的を明確にしておかなければならないのです。外出一つから目的を問う文化があり、目的を説明できない出費は認められないとのこと。

それに、ハッピーコールは、営業担当者の上司が顧客に対してフォローの電話をかける行為のことです。「目的はあくまで顧客の役に立つことだ。ハッピーコールを監視と捉えるかサポートと捉えるかは自分次第。」と本に書かれていましたが、「営業担当者の説明で理解いただけたのか?」「営業担当者の態度はどうだったのか?」などということを、敢えて上司が電話を掛けて確認しているのです。

これについては、「本当に商談しに行ったのか?」と営業担当の仕事ぶりをチェックするだけでなく、顧客の要望や不満などをさりげなく聞き出すことにも役立つはずです。

キーエンスではさまざまな指標を活用しています。電話の件数もKPIの一つとしており、スマートフォンが普及した今でも電話の実績を活用することは変わらないとのこと。

ちなみに、SFAを徹底的に活用することで、「累積取引者数」「取引に関わった人数」「商談数」「商談に関わった人数」「訪問数」「初めてアプローチした会社の数」「電話の発信数」「電話の受信数」「純粋な接触人数」といった指標について、月ごとの数字を並べるだけではなく、それが前年同月と比較して何パーセント増えたか、減ったかもわかるとのこと。

中小企業がキーエンスから見習うべき点

さて、中小企業がキーエンスのような会社のやり方をそのままマネしてもなかなか難しい面があると思います。とはいうものの、中小企業がキーエンスから学べる・見習える点があります。

私は、「徹底した顧客理解」と「そのための記録とその活用」をあげたいと思います。例えば、失注の場合においても、顧客へアプローチを継続することによって、その原因を突き止める(本当の理由を探り出す)ことができるようになります。

例えば、「価格が高いから」などと言われて断られた場合、「承知しました」とあっさり引き下がってしまってはもったいないのです。仮に売上につながらなくても、いろいろと聞き出すことは可能なはずです。そして、それを次の営業活動に生かすのです。

今の時期はコロナ禍で訪問することが難しいかもしれません。リアルで対面することが出来なくても電話を掛けることはできるはずです。

そうやって入手した情報を2社、3社分だけではなく、10社、30社、50社分とより多く集めていけば、「興味を持ってくれたのに断られた理由は何か?」ということがかなり正確に見えてくるはずです。

逆に、営業担当者が顧客に直接聞き出そうとせずに、「どうせまた料金が高いからだろう」などと勝手に判断を下していたらマズイでしょう。そういうことをしていたら、いつまで経っても顧客との溝が埋まらないはずです。

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