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戦略プロセス経営実践会

まずは小さな成功パターンから!

【関口のつぶやき、感じたこと035】 

2019年 11月 8日(金)

  • AIのフル活用
  • 人間と機械の協働
  • ビジネスプロセス
  • 融合スキル

こんにちは。戦略プロセス経営実践会の関口です。

本日も前回に引き続き米国のマネジメント誌Harvard Business Review(ハーバード・ビジネス・レビュー)に掲載された論文から厳選されたものを集めた「テクノロジー経営の教科書」という本から学んだことを説明します。本日のタイトルは「AIと人間の理想的な関係」となります。

多くの企業が工程自動化のためにAIを使おうとしていますが、ただ従業員の代わりに利用する企業は短期的に生産性が上がるだけです。

筆者は1,500社を対象に調査したそうですが、企業が最大のパフォーマンス改善を実現するのは、人間と機械が“協働”した時であると主張しています。協働すれば、人間とAIは互いの補完的な強みを積極的に伸ばすことができるのです。強みとは、人間のリーダーシップ、チームワーク、創造性、社交性です。そして、AIのスピード、拡張性、量的対応力となります。

では、AIをフル活用するには、どうすれば良いのでしょうか?

そのためには、どうすれば人間が機械の能力を最も強化できるか、どうすれば機械が人間の得意なことを最大限改善できるか、そして、両者のパートナーシップを支えるためにビジネスプロセスをどう設計し直せば良いかを、企業が理解しなければならないとのこと。

また、筆者が指摘している人間が機械を助ける3つの重要な役割があります。それは、まず機械を「訓練」して特定のタスクを実行させること。そのタスクを「説明」すること。そして、機械の責任ある利用を「維持」することです。

一方、機械が人間を助ける3つの方法もあります。人間の認知的な強みを「増幅」させること。顧客や従業員と「交信・交流」し、人間がもっと高いレベルの仕事ができるようにすること。そして、人間の技能を「体現」して、人間の物理的能力を拡大すること、となります、

筆者はとても重要なポイントを述べています。それは、AIから最大限の価値を引き出すには、オペレーションを再設計する必要があり、そのためにはまず改善可能な業務領域を発見・記述しなければならない、ということです。それに、ビジネスプロセスのとらえ直しには、AI技術の活用だけではなく、「融合スキル」を備えた人材の育成にも注力する必要があるとのことです。筆者がいう「融合スキル」とは、人間と機械の接点で効果的に力を発揮するためのスキルです。

さらに、筆者は次のように述べていますので、そのまま転記します。

従業員を機械に置き換えて自動化するだけの組織は、AIのポテンシャルを十分に活用できない。そのような戦略は最初から間違っている。明日のリーダーを呼べるのは、コラボレーティブ・インテリジェンスを受入れ、自分たちのオペレーションや市場、業界を変革し、さらに同じくらい重要なこととして、従業員を変革していくリーダーである。

ちなみに、コラボレーティブ・インテリジェンスとは、人間と機械の接点で生じるほとんどの活動において、これまでにはない新しいやり方を違うやり方で行うこと、と私は理解しました。

とにかく、人を機械に置き換えて自動化するだけでは戦略として間違っているのです。業務改善を進めて、オペレーションを再設計すると同時に、「融合スキル」を備えた人材の育成が不可欠なのです。