戦略とプロセスを明確化した事業デザイン:
自らに選択肢があることを知りながら「できない」を「できる」に!
【経営コンサルタント036】
2020年8月12日(水)
こんにちは、関口です。
サラリーマンコンサルタントではなく、独立した経営コンサルタントとして活動する人は、コロナで様変わりしたこれからの時代、自身をどのように売り出していくべきでしょうか?
このテーマについて先日、1時間ほど出版経験もある仲間とディスカッションしました。最終的にはお互いの意見が見事に一致しました。その内容を本日、紹介します。
私たちがこれから本格的なAI・IoTの時代を迎えることをよく認識している方であれば、もう結論はおわかりですね?
先に結論を申し上げると、かたや昭和から平成にかけてのやり方で、かたや令和のやり方であるということで、仲間とは完全に意見が一致しました。
出版戦略かYoutube戦略か? これついてはどちらが良いとか悪いとか決めつけるつもりはありません。両方あっても良いし、もしかしたらどちらも不要かもしれません。
コンサルタントらしく戦略的に考えてみるなら、まずは内部環境と外部環境を分析する必要があると思うのでやってみましょう。
内部環境の分析では、自己資金やこれまでの経験などを検討することです。ご自身の資金力の範囲内でできること・できないことがあります。
同じように独立した経営コンサルタントとはいえ、億単位の資産を親から相続し、2,000万円くらい損しても「大したこと無い」で済ませられる潤沢な資金に恵まれた人がいる一方で、200万円を失ったら破産してしまう人もいます。つまり、資金面において「いくらまで損できるのか?」ということを明確にしておくべきです。これは人によってマチマチです。
また、ご自身のこれまでの経験をよく理解した上でやるべき事を絞り込むことです。不慣れなことに手を出すよりも、経験値のあることから始めた方が上手くいく可能性が高いのです。当たり前ですが、出版に関わった経験がなければ、よくわからないためオイシイ話に乗せられてしまうでしょう。これについてはYoutubeも新聞広告も同じです。
10年以上も前の話ですが、当時の私はある中小企業にて事業部の責任者として頻繁に新聞広告を出していました。さまざまな広告代理店から毎日のように売り込みがありましたが、営業担当者からいつも言われていたセリフがありました。それは「広告は1回出しても認知されません。最低でも3~4回は出稿してください」ということ。
でも、1回目でダメな原稿は2回目も3回目もダメなのです。ところが、何も知らない人は「そうだよね!」と広告代理店の話を疑うことなく鵜呑みにしてしまうでしょう。
同様に、出版についても「こうやって出版すれば、コンサルタントとして上手く売り出せますよ!」という類の話を持ちかけてくる人がいるはずです。
こういうことを踏まえた上で、自己資金やこれまでの経験など内部の分析が必要なのです。
内部分析だけではなく、外部分析がとても重要です。これから市場や世の中がどのように変わっていくのかという外部環境をよく見極めた上で、ご自身の取り組みを判断することです。
ハッキリしていることは、これからAI・IoTの時代が本格的に到来するということ。モノとモノがつながるようになり、「データを持つ者が市場を制する」時代になります。データを持ち、それを上手く活用できる者が勝つのです。
データの集め方(リサーチの手段)も変わってきます。例えば、これまでならアンケートを行って本人から直接意見を聞き出す方法が主流でした。ところがアンケートの回答者が本当のことを記入するとは限りません。
IoTの時代になると「使った・使わない」「使う頻度」「使った場合の1回あたりの使用時間」などのデータが入手できるようになります。アンケートよりも遥かに正確な実態を反映したデータが入手できます。本当のことを告げてくれるかわからない本人にわざわざ聞き出さなくても、より正確に人の行動がわかるのです。
データを持ってそれを上手く活用するような取り組みが必要になるということ。データが集まれば、そこから学んで迅速にPDCAサイクルを回して、素早く市場にフィードバックすることができるのです。
これからの時代は「データに基づく顧客理解」と「迅速なフィードバックを通じた急速な学習」が求められます。これについてはコラム・「新しい協働の形、エコシステム戦略とは?」の中で紹介した通り、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)から出版された本に書かれていました。
さて、本日のテーマである「出版戦略かYoutube戦略か?」ということですが、さすがにもうおわかりですね?
出版の場合だと、企画が本になって全国の書店に並ぶまでに半年以上の時間が掛かります。今回のコロナのように、何かを企画しても本として出版される頃には世の中が変わってしまうかもしれません。
また、購入者が誰なのかわからないどころか、「読んだ・読んでいない」といったデータも入手できません。さらに、出版に投資し、仕事の依頼につなげてリターンを得るまでの時間が長いのです。これが激動・激変の環境にも対応できる柔軟な事業を展開していかなければならない時代に合った方法でしょうか?
でも出版には良い面もあるのです。例えば、「これが私の本です!」と著書を渡しながら「出版した」という権威を示す手段として、あるいは、営業活動のツールとして使うことができます。また、出費がかさみますが、出版後に「出版物の広告」を日本経済新聞に出すことができます。これも権威付けになります。
広告を見た知人が「おっ、お前すごいじゃないか!」などと声を掛けてくれるはずです。とても良い気分になるでしょう。でも、先に書いた通り「データに基づく迅速なフィードバック」が得られることはなく、一発勝負なのです。
大きな金額を投資した見返りとして当たる可能性もあるのですが、描いたシナリオ通りにならなった時の損失はかなり大きいです。だからある程度資金に余裕がある状態に達してから手を出すべきでしょう。
でも、先に書いたような潤沢な資金がある人(企業)であれば、賭けに出ることもできるのです。
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