【経営コンサルタント033】 

2020年4月12日(日)

こんにちは。関口です。

このコラムを書いている今、世界中が大変なことになっています。新型コロナウイルス感染症の拡大です。中国湖北省武漢市を中心に発生し、短期間で全世界に広がりました。

日本国内でも感染者が増え続けており、新型コロナウイルス拡大の対策が企業のテレワークを一気に促進させました。昨日(2020年4月11日)、安倍首相は、緊急事態宣言が出ている7都府県の企業にオフィス出勤者を最低7割減らすよう発言しました。これでさらにテレワークが進むはずです。

新型コロナ感染の拡大は、経営コンサルタント業界も大きく変えつつあります。特に独立した経営コンサルタントの働き方や仕事の獲得方法には大きな影響を与えます。そこで今回のコラムでは、「この1カ月くらいで何が変わったのか?」ということと「コロナの収束後、業界がどのように変わっていくのか?」という2つの点について述べていきます。

感染拡大の影響で最も大きく変わったことは人との面会が難しくなったことです。企業を訪問することが難しくなったのです。またテレワークが一気に進み、Zoomなどを使った会議が行われるようになりました。Zoomで会議を開催したことがなかった零細企業でさえも、もうやらざるを得ない状況に追い込まれたのです。

さらに、セミナーや研修などが2月下旬から相次いで中止になりました。特に大手企業の対応が早かったです。経営コンサルタントの中には、研修会社の研修コースの講師を務め、それに参加した人の中からコンサルティング依頼のお声が掛かるのを待つというビジネスを展開している人が多くいますが、彼らは大打撃を受けることになりました。

同様に、自らセミナーを開催するコンサルタントについてもセミナー会場に来てもらうという方法では、以前にも増して集客が難しくなりました。政府が「緊急事態宣言」を出している中、堂々とセミナーの集客を行うコンサルタントは常識を疑われてしまうのです。

結果として、新型コロナ感染の拡大で「この1カ月くらいで何が変わったのか?」というと、セミナーやコンサルティングのオンライン化です。多くの経営コンサルタントが大きな打撃を受けたので、その対応策として急いでセミナーやコンサルティングのオンライン化を進めました。この変化には多くの人が容易に気付いたかと思いますが、実はもう1つ注目すべき点があるのです。これについては改めて説明します。

では、セミナーやコンサルティングのオンライン化は上手くいっているのでしょか?

オンライン化については、個人や個人事業主など向けに「英会話を教える」「Facebook広告のコツについて教える」など「1人対1人」の場面ではすでに普及していました。

しかし、一定以上の規模を誇る企業に対するコンサルティングにはどうでしょうか? 料金はこれまで通りで大丈夫でしょうか? おそらく、訪問する際と同じ料金というわけにはいかないはずです。その理由については後で説明します。

ところで、コロナ感染の拡大で大打撃を受けた人が多数いる一方、オイシイ思いをした人たちもいます。それは給付金、補助金など行政の支援事業への「橋渡し役」を名乗り出た人たちです。例えば、厚生労働省の働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)など、国・都道府県・市町村から発表された助成金や補助金の申請業務をお手伝いする社労士やコンサルタントなどです。

また「無利子・無担保で大金が獲得できる」「何十年に一度っきりのチャンスです」「○○さんは公庫から4,000万円をゲットしました」「専業主婦がなんと500万円獲得しました」などの情報を発信し、人の期待感を刺激しながら「コロナ融資獲得セミナー」「コロナ融資獲得支援コンサルタント養成講座」などと称したオンラインのセミナーや講座を立ち上げ、手っ取り早く稼ごうとする輩も現れました。

さらに、Zoomセミナーの開催方法などを指導する人たちにもビジネスチャンスが出てきました。

セミナーやコンサルティングのオンライン化を睨み、動き出した中には過去に収録した自身の講座を無料で公開する経営コンサルタントがチラホラ現れてきました。それも10分、20分程度のものではありません。2時間、3時間以上のコンテンツです。

彼らはなぜ、このようなことを行ったのでしょうか?

それは、見込み客にオンライン受講に慣れ、しかも自身のコンサルタントとしての存在を強く印象付ければ信用度のアップに役立つと判断したからでしょう。私はなかなか上手いやり方だと思いました。今、政府の「緊急事態宣言」が出ていて家の中にこもっている人が多いのです。そのような人たちに自身の存在を知ってもらうためには、とても良いやり方です。なぜなら、会ったこともない見込み客に、いきなり「オンラインで個別相談を受け付けます!」などと案内したところ、まず手が挙がらないからです。

先日、「90分のオンライン相談:3万円」という案内を目にしましたが、どこの馬の骨ともわからない相手(経営コンサルタント)に初回からいきなりオンラインの相談で、3万円も払おうとする人はかなり限定されるはず。結局、儲かるのは「出会いの場」を提供する人だけ。

このようなやり方で上手くやるためには、あらかじめ自身のこと(容姿、声し方、価値観など)を相手(見込み客)に知ってもらい、安心感を与え、一定以上の信用を得なければなりません。それがない場合は、相手にとって緊急性の高いテーマを告知しなければなりません。例えば、締め切りが迫っている補助金や助成金の申請支援などが該当します。

とにかく、見込み客にオンラインを通じて(自身の)サービスに慣れ親しんでもらうために、20万円、30万円以上もの参加費を徴収したプログラムを今、あえて無料で公開する人が増えているのです。このような動きが増えてくると、今後、オンラインセミナーの低価格が進むでしょう。よほどニッチなテーマをカバーしない限り、似たようなセミナーの中に埋もれてしまうと同時に、情報が直ぐにコモディティ化するからです。

講演やセミナーのオンライン化が進めば大きな変化が起こります。人は足を運ぶことなく、自分のニーズに最も関連性が高いと思われるサービス(テーマ)だけを厳選するようになります。インターネットの普及により、買い物に地理的な制約が無くなったのと同じことが起こるのです。

だから「売上倍増」「利益3倍」なとどいうありふれたテーマでは、集客や課金は難しくなるのです。なぜなら、情報が錯綜し、セミナーの参加者に地理的な制約がなくなる結果、ごく一部に参加者が多数集まって「勝ち組」となる一方、残りの大半は「負け組」となってしまうから。

なお、このように低価格化が進む一方、「オンラインでも高価格なセミナー開催を可能にするには?」などというタイトルで、コンサルタントを含めた個人事業主を対象に商売を始める人が増え、それに上手く乗せられてしまう人も増えてくるはずです。

 

ところで、ここで話が少し変わりますが、先に「セミナーやコンサルティングのオンライン化とは別にもう1つ注目すべき点がある」と述べました。それは中小企業の多くが「行政の支援制度によく注意を払い、利用するようになった」ということです。殆ど毎日、メディアであれだけ放送されれば「万が一のことがあるので、無利子ならウチも公庫から融資を受けておいた方が良いだろう!」などと考える経営者が増えるはずです。コロナの収束時期が今の段階では読めませんから。

だから、「コロナの収束後、業界がどのように変わっていくのか?」ということを考えると、コロナ融資など行政の支援制度が大きな影響を与えることになる。そう私は考えているのです。

今回のコロナ関連の支援事業においては、よろず支援拠点、商工会議所といった公的機関が相談窓口として重要な役割を担っています。これまで「よろず支援拠点」の存在など知らなかった中小企業経営者でも、今回の一件を通じてよく認識するようになれば、今後も引き続き彼らのサービスを利用するはずです。それは、よろず支援拠点や商工会議所から無料や格安料金で様々なサービスを受けることが可能であると理解したからです。

そうなると、中小企業の経営者は、一般の経営コンサルタントから示される料金がバカ高く感じるようになるはずです。特に「単なるアドバイス」のコンサルティングに高い料金を払う価値を見い出さなくなるでしょう。

別の言い方をすると、公的機関のアドバイザーでは提供できないサービスを経営コンサルタント側が用意しない限り、高い料金を払うだけの価値を見い出してもらえないということ。単なるアドバイスではなく、例えば、週に1日だけでも会社組織に入り込んで、他の社員も巻き込んで(アドバイスしたことを)実行に移すといった活動が必要になるかもしれません。

事実、集客コストや機会損失などを踏まえると、この方が経営コンサルタントにとって収入面でも安定するはずです。

コロナの影響はどこまで大きくなのでしょうか?とても心配ですね。

今後、オンライン化が進むことで、無料で様々な情報が以前にも増して容易に入手できるようになります。しかもコロナを機に公的機関を利用し始め、彼らから提供される格安サービスの存在をよく理解するようになります。

結果として、単なるアドバイスを提供してくれるだけのコンサルタントに、高いコンサル料金を支払う価値を見い出さなくなるはずです。

だから「アドバイスする」だけではなく、それを「実行してあげる」「代行してあげる」ということが求められます。特に、中小企業向けの場合は「単なるアドバイス」を高額で提供するコンサルティングでは、これまで以上に集客面でも苦労するはずです。要は、大企業向けの常駐型コンサルのように「組織に入り込む方法」を採らないと、課金も集客もより難しくなるはずです。

もし「単なるアドバイス」のコンサルティングサービスを提供することにこだわりがあるのであれば、ターゲットを個人や個人事業主などにシフトし、小口化・低価格化を上手く取り入れながら数をこなしていく必要があるでしょう。あるいは「1対多数」のモデルを展開することです。

つまり、企業向けには「単なるアドバイス」ではなく組織(会社)に入り込まないとそれなりの料金が請求できなくなる一方、「単なるアドバイス」の提供なら小口化・低価格化が求められる、そう私は考えています。

1.関口のつぶやき、感じたこと(生産性向上など)