戦略とプロセスを明確化した事業デザイン:
自らに選択肢があることを知りながら「できない」を「できる」に!
【経営・戦略024】
2024年 7月14日(日)
こんにちは、関口です。
なぜ中小企業が新規事業に手を出す際、多くが上手くいかないのでしょうか?
理由はいろいろと考えられますが、私が一つに絞るとしたら、それは「戦略の欠如」だと考えます。
まずは「目指す状態」を描き、「現状」からそこに到達するための「戦略」を立て、それに基づいて「実行すること」を決定することが重要です。そして、その実行に「必要なもの」を選ぶという流れで意思決定を行うべきです。
繰り返しますが、まず「目指す状態」、つまり「あるべき姿」を明確にする必要があります。そして、そこに到達するための「戦略(仮説)」を描くべきです。その上で「何をすべきか」を決め、それを実行するための「必要なもの」を選ぶという順序が大切です。先に「必要なもの」を選択する方法ではうまくいきません。
しかし、多くの中小企業は、最後に決定すべき「必要なもの」を先に選んでしまいます。「目指す状態」についても全く検討していないわけではありませんが、「今のまま既存事業を続けていても先細りする…」という問題意識はあるものの、「目指す状態」については曖昧なままなのです。
中小企業において「必要なもの」を先に選ぶ例としてよく見るのが「SNSの活用」です。SNSを前提に事業を進め、「何をやるか」についてはSNSの機能に合わせて決め、「目指す状態」はその延長線上で何となく決まる…という流れになっているケースが多いのではないでしょうか?
SNSの例のように、中小企業の新規事業でよく見られるのは、経営者がいきなり「もの」に飛びついてしまうケースです。「これから高齢者が増えるから、〇〇を販売すると良い」などという話に飛びついてしまうのです。
話は少し脱線しますが、大企業では新規事業開発室のような部署があり、担当者が情報を集めて検討し、意思決定を行います。そのため、「これから高齢者が増えるから、〇〇を販売すると良い」という話も選択肢の一つとして検討されますが、いきなり飛びつくことはありません。
では、なぜ多くの経営者は「目指す状態」を明確にする前に「必要なもの」を選んでしまうのでしょうか?
理由は簡単です。情報が溢れており、安易にそれらを鵜呑みにしてしまうからです。「出版すれば売れるようになる」「SNSを活用して情報発信した方が良い」「今は動画の時代だからYouTubeを活用した方が良い」などとさまざまな業者が自社製品を売り込むために情報を流布しています。
業者もコンサルティングのようなサービスより、〇〇システムのような「もの」の活用を前提に販売した方が集客コストは安く済み、長期的な取引が期待でき、結果としてLTV(顧客生涯価値)が高くなることを理解しています。そのため、業者が販売したい「もの」の活用を中小企業側に勧めることになります。
私は冒頭で、中小企業が新規事業に手を出しても多くが上手くいかないのは「戦略の欠如」と述べましたが、戦略が欠如したまま「〇〇で売れる」などという話に飛びついてしまうことが問題なのです。
結論として、中小企業が新規事業を成功させるためには、まず「目指す状態」を明確にすることが重要です。その上で、戦略を立て、それに基づいて具体的な実行計画を策定する必要があります。必要なものを先に選んでしまうと、本質を見失い、結局は方向性を見誤る可能性が高くなります。
情報が溢れる現代においては、正しい情報を見極める力も求められます。経営者自身が冷静に判断し、本当に自社に必要なものを見極める姿勢が大切です。これからの時代、ますます競争が激化する中で、戦略的に新規事業を展開し、成功へと導くためには、こうした基本的な考え方を常に念頭に置いておくことが必要ではないでしょうか。
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