戦略とプロセスを明確化した事業デザイン:
自らに選択肢があることを知りながら「できない」を「できる」に!
中小企業によく見られる問題は、事業全体を俯瞰した課題設定ができていないことです。それなのに、いきなり個々のテーマに対して解決策を求めてしまうのです。
その結果、テーマごとにバラバラな施策になってしまいます。複数の問題に対して取り組む施策間に連携や整合性が欠いてしまうこともあります。わかりやすく説明すると、事業全体の解決を踏まえた一貫したアプローチになっていないということ。各施策が孤立するようになってしまうのです。
対策として、事業を一貫通貫の視点で検討する必要があります。個々のテーマごとでなく、全体的な視点に基づくトータルな計画が必要です。これを踏まえた上で、個々のテーマに取り組むべきです。
素晴らしい商品やサービスを提供しているにもかかわらず、業績が低迷することがよくあります。その原因の1つは、事業全体を俯瞰しながら未来の「あるべき姿」を明確にし、「現状」からそこへ到達するための「戦略シナリオ」が欠如しているからでは?
戦略の欠如が業績低迷の原因となるのです。
多くの中小企業では、他にもさまざまな問題を抱えています。
よく見られるのは、いきなり施策の検討からスタートしてしまうことです。つまり、「何が課題なのか?」ということすら曖昧なまま、興味本位で飛びついた手段・手法から入ってしまうことがよくあります。
このように、中小企業の経営者や事業担当者には、(大企業の担当者も同じですが)錯綜する情報に振り回され、興味本位で何かに飛びついてしまうことがよくあります。
例えば、業者などから以下のようにアドバイスされて鵜呑みにしたこと、何度もあるのではないでしょうか?
今は情報が錯綜していることもあり、ついつい気になってしまうのです。そして、戦略が欠如したいまま、いきなり手段・手法の検討を始めてしまうのです。結果として上手くいかないまま迷走しがちです。
つまり、社内に潜む本質的な問題を見極めることができず、戦略を描くこともできないのです。なのに、「打ち出の小槌」を求めるあまり、課題設定や目標設定が曖昧なのに、先に施策に飛びついてしまうのです。
当然ながら、手段・手法の選択は誤ったものになります。しかも、自ら選択したはずのことを満足に実行に移すことすらできないまま、錯綜する情報に翻弄され続けます。「施策AからBへ」「BからCへ」「Cから施策D」へと気移りすることもよくあります。
錯綜する情報とは、業者から「〇〇した方が良い」ということかもしません。あるいは、「今なら補助金が出るから〇〇を購入した方が…」という案内かもしれません。
例えば、春先に見られる花粉症についてはさまざまな情報が錯綜しています。
一般的にはドラッグストアで抗ヒスタミン剤などを購入する人が多いと思われますが、一方で「あんな対処療法では効果がない。実は花粉症は●●で根本的に治る」と主張する人もいれば、「花粉が悪者扱いされているが、本当の原因はケムトレイル。それを流しているのは…」などと、花粉症に関するさまざまな情報が氾濫しています。
同様に、ビジネスの世界でも「〇〇が良い」「〇〇で成功する」といった情報が溢れており、まさに玉石混淆です。
その結果、「あるべき姿」がおぼろげながらも見えていても、「遅れを取りたくない」「補助金を貰わないと損だ」などという気持ちになってしまい、よく熟考せずに、いきなり手段や手法に飛びついてしまうのです。
ロボット活用、DX化、EC販売、広告、ウェブサイトなどの「手段・手法」が優先されてしまうということです。手段と目的を履き違えてしまうのです。しかも、自らの判断で飛びついたはずなのに、後に後悔することがよくあります。
また、先に述べた通り、支援会社(業者)の提案を鵜呑みにしてしまうことも少なくありません。
実は、手段・手法が使えないわけでも、業者が悪いわけでもありません。業者はあの手この手で自分たちの提案を受け入れてもらおう(商品を購入してもらおう)とするだけ。だから、「お宅のホームページでは〇〇でちょっと…」などと、あれこれ問題を指摘してくるのが常ですが、それにとらわれることは避けるべきです。
重要なことは、いきなり手段・手法に飛びつく前に、あるいは、末端レベルの施策に関する提案を鵜呑みにする前に、やるべきことがあるということです。
それは、事業の上流工程や上位概念に関わることです。
つまり、あなたの事業について、先に大きな絵を描いておく必要があるのです。初期の仮説である「戦略シナリオ」を描いておくことことです。
具体的には、まずは「顧客は誰か」「その顧客が自社製品・サービスから得られる何に価値を見出すのか」ということをよく理解した上で、戦略を明確にすることが重要です。
多くの企業において、方法論(ツール、手法など)に飛びついてしまいがちですが、「顧客は誰か」ということが最も重要なのです。これを明確化した上で、顧客のニーズや要件、市場の実態やトレンドなどを踏まえ、まずは顧客戦略を検討することです。
また、ターゲットとする顧客(潜在顧客)とは、どのように接点を持つのでしょか?その後は、どのようなプロセスを経て顧客化していくのでしょうか?
このようなことを検討する過程において、それを実現するために必要な手段を検討するのですが、このような判断を下す前に、上流工程を明確にすることです。
繰り返しますが、顧客が誰であり(どのような顧客層向けに)、どのような価値を見出してもらうべきかということを(仮説として)明確にしておくことが非常に重要です。
この上流工程の明確化に取り組むことなく、単に手段や手法を変えたり、「月に45万円も払っているのだから…」などと業者に責任を転嫁するだけでは、目標を達成することはできません。
顧客を理解した上で戦略を策定することが、PDCAサイクルを適切に回すために求められるのです。つまり、PDCAサイクルを回す上で重要なのは、顧客との接点を通じた顧客理解です。顧客の要望を迅速に取り入れ、事業を改善し、顧客にとってより価値のあるものにすることが重要です。
また、中小企業に求められるのは煩雑なリサーチやパワーポイント資料の作成ではありません。求められるのは「実行」です。戦略の策定は重要ですが、それを実行することの方がさらに重要なのです。初めからうまくいかなくても、実行を通じて学び、持続的に改善していくことが大切です。
さらに、目先の売上げづくりに躍起になるだけでなく、将来を見越した準備にも取り組む必要があります。
重要なことは、全員が同じ目標を共有し、協力してPDCAサイクルを回していくことです。中小企業においては、限られたリソースの中でPDCAサイクルを回すことが求められますが、チーム全体が一丸となって取り組むことで、目標の達成が可能となるでしょう。
このようなお悩みがあればご相談ください。
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「成功パターン」をつくるためにと題して経営者や事業の責任者にお届けするコラム。6つのテーマに分けてお届けします。