【経営・戦略014】 

2019年 4月 14日(日)

こんにちは。戦略プロセス経営実践会の関口です。

本日は、私がアマゾンの電子書籍(kindle版)に出版した『社長!なんとかシステムやらロボットに手を出す前に、戦略は?: (まだ売上1億円未満でも)サービス関連ビジネスでNo.1を狙う』の最初のパートを紹介いたします。

世の中の多くの事業活動は、一見すると複雑に感じられるかもしれませんが、実際には非常にシンプルなモデルであることが多いのです。

なぜなら、「お客さまを見つけ出して注文をもらい」「(お客さまに)無事に商品やサービスを提供して」「商品やサービスの対価としてお金(料金)の回収をする」だけにすぎないからです。

販売する商品・サービスは異なっていても、基本的に「お客さまから注文をもらい、商品を渡し(サービスを提供し)、お金を回収する」といったサイクルを繰り返す、シンプルな事業なのです。

このように事業活動はシンプルとはいえ、企業の事業をチェックするにあたっては、競争・戦略・組織・損益・資金などの検討が不可欠です。

競争は、「あなたが参入した市場には、どのような競争相手がいるのだろうか?」「競争相手は、どんな商品・サービスをどのようにプロモーションしながら、どのくらいの価格で販売しているのだろうか?」などと検討すること。

戦略は、「市場で勝つため、競争相手よりも有利に立つためには一体、何が必要であろうか?」と検討すること。

組織は、自社の強み・弱みを把握すること。

損益は、「事業は十分な利益が出る構造になっているか?どのような損益構造になっているか?」を掴んでおくこと。

資金は、「十分なキャッシュがあるか?今のままキャッシュが減り続けたら、いつまで事業を続けられるのか?」を掌握しておくこと。

このように、事業に対してさまざまな面で検討する必要がありますが、結局は「顧客の満足」と「自社の儲け」を両立させなければならないことに気が付くはずです。

商品やサービスを提供してお客さまに満足してもらうことが、事業を展開する上での大前提になります。また、「自社の儲け」については戦略を明確にした上で、自社事業をどのような損益構造(モデル)にするのか、つまり、どのような「儲け方」にするのかということです。これは、自社事業の「儲けのメカニズム」を設計することでもあります。

ちなみに、中小企業にとっての戦略とは、自社の「ヨソには負けない強み」を活かして「ミッション」「ビジョン」を実現させることです。カタカナ言葉ではなく、「あるべき理想の姿」と表現した方が良いかもしれません。

「あるべき理想の姿」に到達するためのシナリオを描くことです。当然ながら、「ミッション」や「ビジョン」については経営陣だけではなく、現場の社員にまで共有されていなければ、「あるべき理想の姿」に到達するための戦略は機能しないのです。

そこで、ポイントとなるのが「明確化と共有」です。

「戦略」という本書のテーマに入る前に、少し読者の皆さんに考えていただきたいことがあります。「中小企業には戦略が必要か?」ということです。

私は過去に何度か「関口さん、ウチは売上10億円足らずの企業ですが、戦略は必要ですか?」などと聞かれたことがあります。

その答えはもちろん「Yes」です。売上20億円や10億円どころか、たった1人で事業をやっていたとしても、戦略は必須です。たった1人の個人事業主であっても、「あるべき理想の姿」を描き、そこにたどり着くためのシナリオを用意すべきなのです。

そういったシナリオがないままでは、成り行き任せになりがちです。表面的には「会社を経営している!」はずですが、あちこちの紹介・仲介会社などに登録して案件を紹介してもらい、掛け持ちのアルバイトのように数をこなしているのと何ら変わらない人も少なくありません。

「失業率を下げるには、失業者に税務署まで出向いてもらい、紙切れを提出してもらって個人事業主(社長)になってもらうのが良い!」

このようなことを口にしている人がいましたが、その人の主張の内容は「仕事がなければ、社長と失業者は紙切れ1枚の違いだけ」ということでした。同様に、掛け持ちでアルバイトをしているような状態だと、その人から言わせれば、「表向きは社長だけど、フリーターと一緒」ということになります。

だからこそ繰り返しますが、たった1人の個人事業主であっても、「あるべき理想の姿」を描き、そこにたどり着くためのシナリオを用意すべきなのです。それが「戦略」です。さもないと、「会社を経営している」はずなのに、あちこちの紹介・仲介会社などに登録し、案件を紹介してもらうまで待つしかない状態になるのです。

また、事業を1人でやっている間は「自分さえわかっていれば良い!」のですが、会社には50人、80人、100人以上もの従業員がいるかもしれません。

そこでは社長をはじめとしてアルバイトに至るまで、社内で働く1人1人の日々の意思決定によって仕事が行われます。最終的には経営者である社長や事業の部門長の意思によって物事が選択されますが、社内で起こるさまざまな他の細かなことは、各社員によって判断されます。

つまり、会社という組織の中では、大なり小なり、1人1人の社員が意思決定しながら日々の業務を行っているのです。

そこで働く社員たちは一心同体ではなく、それぞれが異なる価値観や考え方を持っている集団のはずです。だからこそ、十人十色の集団を同じ方向に向かわせる必要があるのです。

そこで、重要となるのが会社の方針や活動の土台となる健全な信条や、会社という組織の中で皆が共有すべき価値観です。それを全社員に受け入れてもらうのです。会社の価値観は将来、会社が成長した際の企業風土となり、行動指針となります。

こういった会社の価値観や方向性などが「明確化」されていれば、何事においてもよりスムーズな意思決定が可能となります。部長と課長との間で目標や目的などが明確化され、お互いに共有できていれば、アプローチの違いこそあれ、「つまらぬ認識の違い」が生じる機会は少なくなるはずです。

目的や目標をはじめ、事業が「明確化」されていれば、「基準」があるので人は判断しやすくなり、非常に業務を進めやすくなります。

 

ところが、私が「ダメだな!」と感じる企業や団体の多くは、事業の明確化が十分に行われていません。目的や目標が共有されることなく、曖昧な状態で仕事をしているのです。

社員が何の目的で、どこを目指して仕事をしているのかがよくわかっていない状態で、「あれを今すぐやれ!」「これはどうなった?」などと上長から指示を受け、個別の案件にてんやわんやしているケースが多いのです。

1つ1つの案件は確かに仕事ですが、それを担当している本人が目的や目標を十分に理解していないまま、上長の顔色を伺いながら早期に片付けることだけに躍起になっているのです。

そういう企業が多い中、私がアメリカで仕事をした会社は立派でした。20代の頃にアメリカの大手医療機器メーカーで仕事をしたのですが、当時のことは今でもよく覚えています。

広大な敷地にグリーンの芝生、大きな池があり、元気よくアヒルが泳いでいました。社屋内に目を向ければ、素晴らしいカフェテリアをはじめ、クリーニングの取次店やクイックマッサージ店までありました。

1990年代のことですが、当時の日本にはまだ、クイックマッサージをあまり見かけることがありませんでした。「素晴らしい環境で仕事をしているな!すげーなー!!」と思いました。

さらに驚いたのは仕事でした。その会社に出勤した初日、バイスプレジデント(事業部長)から簡単な挨拶があった後、上司となる白人から早口英語で会社の事業全体の説明を30分くらい受けました。その後、「この人たちに連絡を取ると良いよ!」と、4~5名の名前を教えてもらいました。

仕事内容の説明は「ミッション」「目的」「目標」だけです。つまり、私に「何を期待しているか?」だけです。30分の早口英語だけで、あとは何もありません。その後、名前を教えてもらった社員にアポを取り、彼らにヒアリングをしました。

自ら事業の課題を見付け出し、提案しなければならなかったのです。タイムリミットは2週間。その間、ヒアリングのためにボストンのローガン空港から、シリコンバレーとして有名な西海岸・カリフォルニア州のサンノゼまで飛びました。

2週間以内に自ら課題を整理し、解決案や進め方をバイスプレジデント(事業部長)に提案し、OKをもらわねばならなかったのです。OKさえもらえれば、あとは勝手に仕事を進めるというスタイルでした。

「会社の課題を自ら見付け出して企画し、段取りを考えて仕事をすることができない奴はウチにはいらないよ!」という厳しい世界でした。日本の大手企業に安泰し、ノンビリと仕事をしていた時とは大違いでした。

このように私がアメリカで仕事をした時の上司は、出社初日から私に対して「何を期待しているか?」を明確にしてくれました。そのおかげで私には進むべき道がハッキリし、手探りながらも自ら課題を見付け出し、仕事を進めることができたのでした。

繰り返しになりますが、会社の価値観や方向性などが「明確化」されていれば、何事においても1人1人がスムーズに意思決定することが可能です。行動の指針があるからです。

ところが、せっかく「明確化」されていても表現そのものが抽象的だと、社員に浸透しないケースがあります。あるいは、明確化されていても、それを社内の電子掲示板に載せているだけだったりするケースを見たこともあります。そうすると、添付されたファイルを開くことはあっても、熟読する社員は少ないでしょう。つまり、それではなかなか浸透しないのです。

結局は「明確化」されていないか、もしくは、せっかく「明確化」されても、それを末端の社員にまで共有する仕組みが社内に備わっていないケースが非常に多いのです。役員や部長クラスにまでは伝わっていても、アルバイトを含めた全社員との共有がうまくいかないのです。

「明確化」されていれば「基準」があるので、その基準に照らし合わせることで自社の状況は非常に把握しやすくなります。社内だけではなく、外部の委託業者などとの仕事の状況も、見えやすくなります。

外部の委託業者はもちろんですが、派遣社員が就業しても、仕事がやりやすくなります。つまり、お互いがよく見えるようになるのです。「明確化」が「見える化」につながるのです。

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『社長!なんとかシステムやらロボットに手を出す前に、戦略は?: (まだ売上1億円未満でも)サービス関連ビジネスでNo.1を狙う』は、いかがでしたか?

書籍の冒頭部分を紹介しただけでなので、話が中途半端な終わり方をしています。

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