戦略とプロセスを明確化した事業デザイン:
自らに選択肢があることを知りながら「できない」を「できる」に!
【つぶやきA】
2018年 8月 8日(水)
今夏、世界初のロボットホテルとして注目されている「変なホテル」に泊まりました。長崎のハウステンボスに第1号店がオープンしてから約3年が経過。今(2018年8月現在)では都内だけでも6カ所に「変なホテル」があります。
このホテルの最大の特徴は、生産性の向上(人件費の削減)です。だから、フロント業務や荷物運びなど、これまで人が担っていた業務のほとんどをロボットに任せているのです。
「ホテルがロボットをどのように活用しているのか?」と気になっていたので、このホテルを少しチェックしてみました。
ホテルの外見は写真の通りですが、ドアを開けると恐竜型ロボット2台にお出迎えされました。人間の従業員はいませんでした。
チェックインに際しては、恐竜型ロボットに「こんにちは、本日予約している関口ですが…」などと伝えてもダメです。反応がありませんでした。設置されているタブレット型端末を使って手続きをしなければなりませんでした。
その端末の画面を見ると「音声入力」か「手入力」を選べるようになっていました。私は、後ろに並んでいる人の存在が気になり、声を発したくなかったので「手入力」を選びました。
もちろん日本語で入力しましたが、英語、韓国語、中国語など他言語を選択することも可能でした。
どこのホテルも同じですが、ネットで予約し、事前に個人情報を提供しているにも関わらず、チェックインの際に氏名、住所、電話番号を書かなければなりません。だから「変なホテル」でチェックインする際のこちら(宿泊者)の手間は一般的なホテルと同じでした。
個人情報の入力後、カードキーを受け取ってチェックインの手続きは終了しました。
ちなみに、受付担当の恐竜型ロボットに「この近くにおすすめのラーメン屋はありますか?」などと話しかけても相手にしてくれません。チェックインの手続きが済んだ後に、「快適にお過ごしください!」などと決まった言葉を発するだけでした。
音声認識の技術がまだ十分と言えるレベルに達していないためか、双方向のコミュニケーションができるようにはなっていなかったのです。
部屋に入って気付いたことは、固定電話がないことです。冷房のリモコン、テレビのリモコン、あとはスマホがありました。
私は部屋に入り、TVの電源を入れようとしたのですが、少し戸惑いました。そこでフロントに電話しました。一般的なホテルだと、固定電話に「フロント○番」などと書いてあるのですが、「変なホテル」にはそれがありませんでした。部屋に設置してあるスマホを操作して従業員と通話しなければなりませんでした。
何でもスマホを操作しなければならなかったので、部屋に設置してあるスマホに使い慣れるまでは違和感を覚えることになりました。
一般のホテルでは、フロントに電話をすれば、「自販機はどこですか?」「バスタオルをもう1枚もらえますか?」などと聞き出すことができます。目の前にある電話の受話器を取って、「1」とか「9」を押せばフロントの人と会話ができるのが一般的です。
しかし「変なホテル」ではホテル側が用意したスマホの操作がわからなければ連絡先を見つけ出すことすらできません。
一般のホテルでは出来て当たり前のことが直ぐには出来なかったのです。恐らく、そのような点にイライラする宿泊客もいるはずです。
でも自ら操作することで、慣れてくれば問題ありません。だから、1泊だけの宿泊客はやっと慣れてきた時にチェックアウトすることになりますが、連泊客やリピーターは大丈夫でしょう。それに、ホテル滞在中は部屋のスマホを自由に使うことができます。外出時に携帯することもできます。これは外国人の宿泊者にとってありがたいはずです。
個人的な感想としては、「変なホテル」は「QBハウス」のホテル版という感じです。QBハウスでは、旧来の床屋が行っていた髭剃り、肩もみ、洗髪などのサービスを削ぎ落とす一方で、安価でスピーディなサービスを提供することで急成長しました。だから、必要最低限のサービスを安く、早く提供してくれる点に満足する層がいる一方で、いまだに「髪を洗ってくれない!」「掃除機で毛を吸い取るとは、けしからん!」と感じる人もいるはずです。
同様に、「変なホテル」については、新しいテクノロジーを容易に使いこなせる人や対人サービスを求めない層には支持されるはずです。また「日本人には英語すらなかなか通じない!」と感じている外国人客にはありがたいはずです。
一方で、「おもてなし」を求めるような人たちからは支持・理解されるまでに時間が掛かるのでは?
このようなホテルが増えてくれば、対人サービスを求めない人が増えてくるはずです。次のコラムはこちらから。
今のところ、フロントに恐竜型ロボットがいるという珍しさから人が集まっているようですが、今後は宿泊客に快適に過ごしてもらうためにも、彼らが戸惑うことなく新しいテクノロジーを使えるようにする工夫が必要ではないかと感じました。
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