【関口のつぶやき、感じたこと(生産性向上など)045】 

2020年 5月 12日(火

  • サバイバル
  • 修羅場の経営の心得
  • 封建的経営病

こんにちは。戦略プロセス経営実践会の関口です。

「コロナショック・サバイバル」という冨山和彦さんの出版されたばかりの本を読みました。この本には、「はじめに」欄が「破壊的危機に、どう対処すべきか」というタイトルでスタートしている通り、コロナショックにどう対処すべきかについて書かれています。

「今回のコロナショックは、その広さと深さと長さにおいて、過去の危機を上回る破壊性を持っている」と書かれていますが、かなりヤバいことが起こると冨山さんは感じたようです。だから一週間で書き上げ、緊急出版することにしたのでしょう。

本の最初のセクションに書かれていた内容は、経済が3段階で重篤化するということ。まずはL(ローカル)な経済圏の中堅・中小のサービス業が打撃を受け、次にG(グローバル)な経済圏の世界展開している大企業とその関連の中小下請け企業へと経済収縮の大波が襲ってくるとのこと。そして、後にF(ファイナンス)の金融危機の大波が起きかねないという3段階です。

現段階(2020年5月12日)においては、観光、宿泊、飲食など、ローカルなサービス産業がすでに大打撃をこうむっている段階ですが、次にそれが大企業とその関連企業へ波及していくということです。それはすでに押し寄せつつあるとのこと。本には「これから直面する需要消滅、売上消滅はかなり長期化することを覚悟せざるを得ない」と書かれています。

では、どうすべきなのでしょうか?

これについては「修羅場の経営の心得」というタイトルで、著者である冨山さんのアドバイスがいくつも本の中に紹介されていますので、興味あれば本を手に取ってみてください。だた、内容は完全に企業経営者向けという感じがしました。

とにかく、経営者にとって今の時期、最も重要なことは、手元流動性(現貯金)の潤沢さ、金融機関との従来からの信頼関係、そして平時における稼ぐ力(特に営業キャッシュフローの厚み)と自己資本の厚み(稼ぐ力に対する相対的な負債の軽さ)とのこと。これが危機到来時において、重症度合いを分けるとのことです。

今、Youtubeなどで経営者向けに情報発信している人の多くが主張していることと同じ内容が、この本にも書かれていました。それは「銀行から借りられる金はとにかく早め早めに、事態が悪化する前に徹底的に借り入れておく」ということです。

「金利や手数料なんて、企業の生き死にと比べれば無視できないくらいのわずかな保険料である」や「今回のようにいつまで続くか分からない危機的局面においては取れるだけ取っておくべき」という一節に、私は変に納得してしまいました。

また、大企業の基礎疾患の核心とは「古い日本的経営病」と冨山氏は述べています。日本企業の「稼ぐ力」が落ちた根源は「日本的経営」とのこと。同様に、中堅・中小企業についても、代表的な基礎疾患は「封建的経営病」と表現されていました。これについては、面白い文章を見つけたので、次の通りそのまま紹介します。

日本の大企業の根本病理は、圧倒的に日本人男性に終身年功サラリーマンで占められ、その同質性、固定性が現代の経営環境とあまりにもマッチしなくなったことにあるわけだが、この終身年功サラリーマンを終身世襲制のオーナー一族と終身身分制の家臣団的サラリーマン集団に置き換えれば、実は概ね似たような構造である。

このくだりについて、私も全く同感です。実は、冨山氏の指摘と似た内容を「支援サービスの特徴」ページの「激動・激変の時代に合致した経営変革に何が必要か?」のセクションに書いていたのです。

「では、何をするべきか?」という点について、冨山氏の主張は「変わらない、変われない古い体質の中堅、中小企業が変わっていくには、やはり外の血を入れ、新陳代謝を高める経営に転換していくトランスフォーメーションが必要だ」とのことです。

また、本の「おわりに」欄には、「今度こそ、この危機を乗り越え、同時に日本社会の様々な次元でじわじわと進行してきた課題、基礎疾患の根治を始動する機会としたい」と冨山氏の願いが記されていました。

最後になりますが、かなり急いで出版されたようですが、それでも原稿を書いてから出版までに1カ月弱の時間がかかっています。今、書店では昨年11月頃に書かれた「2020年の日本はこうなる」のようなタイトル本がいくつか棚に並んでいますが、どれもコロナについて書かれていません。せっかく書き上げたのに、出版本としてお披露目された頃には、世の中がすっかり変わってしまったということです。

1.関口のつぶやき、感じたこと(生産性向上など)