戦略とプロセスを明確化した事業デザイン:
自らに選択肢があることを知りながら「できない」を「できる」に!
【関口のつぶやき、感じたこと030】
2019年 10月 10日(木)
こんにちは。戦略プロセス経営実践会の関口です。
数日前、ロイヤルホールディングスの代表取締役会長・菊地唯夫様の講演を聴講しました。人口減社会における外食産業の持続的成長についてのお話でした。
人口が増加した時代の外食産業では、画一性、スピード、効率性を兼ね備えた、チェーン理論に基づく多店舗化による産業化モデルが最も親和性が高かったとのことです。しかし、「これから人口減少が続く社会において、これまでのモデルが通用するのだろうか?」と問題意識を持ち始めたそうです。
今回の話のキーワードは「生産性」でした。菊地会長は、今、外食産業で起きているさまざまな不祥事や事件についても、突き詰めると「生産性が低いこと」が原因ではないかと述べられました。
会長は、「生産性=売上総利益(粗利)/従業員数」と定義した上で、3つのメニューが必要であると説明されました。1つ目は「付加価値向上」です。お客さまが付加価値と感じる商品・サービスの向上を図り、対価の向上を図ることです。2つ目が「新規市場開拓」、そして3つ目が「効率性向上」です。これについては、サービスの提供と消費の同時性に留意し、分子(売上総利益)に影響を与えない形で分母(従業員数)を圧縮することです。
また、効率性向上を志向しすぎると、付加価値の低下に繋がるケースがあると話されていました。そこで、現在チャレンジしていることは、「テクノロジーを活用して如何に付加価値を取り戻すか?」ということだそうです。これまでも、生産性向上と働き方改革の両立に向けて次世代型店舗を出店したのです。
さらに、直接的に価値を生み出していない業務を削る取り組みについても話されました。例えば、掃除ロボットを全店に導入したそうです。同様に、キャッシュの扱いが生産性を低下させているという理由から、これまで1店舗当たり40分だったレジ締めの作業についても、いまではボタンを押すだけに変更したとのこと。
テクノロジーに支えられつつ、ヒトが携わることでお客様の共感を呼び満足度の向上に寄与する工程を、働き手が余裕をもって担うことができるサービス産業の実現を目指されているとのことでした。
なお、会長が指摘された日本のサービス産業のジレンマの1つについては「なるほど!」「やっぱり、どこも同じだ!」と思いました。それは、日本においてはサービスに対する対価が低いことです。モノにはお金を払うが、サービスにはなかなかお金を払ってもらえないのです。
こういったジレンマを抱えながらも、テクノロジーを使って生産性を上げることで、全てのステークホールダーの満足度を上げようと努力されているそうです。
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