【関口のつぶやき、感じたこと028】 

2019年 7月 28日(日)

  • 売り切りモデル
  • 購入後のフォロー
  • リカーリングモデル

こんにちは。戦略プロセス経営実践会の関口です。

「売り切りモデルの何が悪い?」

これが先日、ある会社(機器の販売業)の社長と打ち合わせをしていた際に聞かれた質問でした。

売り切りモデルで何も悪いことはないのですが、ビジネスとして利益を出していくことが厳しいのです。

では、なぜ、利益を出していくことが厳しいのでしょうか?

それは、獲得コストの高い新規顧客を常に探し回ることになるからです。しかも、顧客が(販売済の)機器を上手く使えない場合、「上手く使えない」「もう1回、指導に来てくれ!」などと依頼されるケースがあります。

数日前に話をした営業担当者は、3年前に購入した顧客から「担当が変わったので、再び操作方法の指導に来てくれ!」と頼まれたと嘆いていました。

これらのケースにおいては「そんなことはマニュアルを見て下さい!」などと購入してくれた顧客をあしらうわけにはいきません。結局のところ、再び操作方法を指導するために購入先を訪問することになります。これは購入してくれた顧客にはとてもありがたいことです。既存顧客の満足度アップにもなります。しかし、販売事業者には、次の売上(例:追加の購入)につながることがない限り、コストとして跳ね返ってきます。

実は、こういうケースが少なくないのです。つまり、顧客を獲得するために高いコストが掛かるだけではなく、「購入後のフォロー」にも大きなコストが掛かっているのです。

私は、2010年からロボットを介護現場に普及させる活動に携わっています。企業・介護施設・行政の間に入り、橋渡し役のような立場で数多くの活動に従事してきました。

介護現場は、市場の特性が製造業とは大きく異なるのです。ロボットを介護現場へ普及させる際に痛感したことが、まさに本日のタイトルにした通り、「売り切りモデルでは儲からない!」ということなのです。

もちろん、売り切りモデルでもできることはあります。知りたい方は、こちらの販売事業者向けのページを読んでみてください。

ところで、「私の主張と同じようなことがどこかに書かれていないのかな?」と思って探してみたところ、livedoor Newsに『安易なサブスクが急にブームになったワケ』と題した記事を発見しました。この記事には次のような記載がありました。手を加えずに、そのまま紹介します。

 

■低収益構造を生んだ「売り切りモデル」

ものをつくり、大量に売って利益を得る旧来型のビジネスモデルが終焉を迎えようとしています。プロダクト(製品)をつくって売るだけでは、もはや誰も買わなくなりました。当然ながら、利益が生まれるはずもありません。

すると、企業は安売りを始めます。適正価格以下でユーザーに提案し、なんとか買ってもらおうとすると、利益は悪化します。ユーザーは安いから買っただけで、決してプロダクトには満足していません。日本企業が苦しんでいる理由は、まさにここにあります。

「ものづくり」や「もの売り」で栄えた企業は、過剰なコストパフォーマンスや安売りで不況や熾烈な競争を乗り切ろうとしました。その結果、ユーザーからは価格でしか支持を得られず、価値を認識してもらえなくなったのです。残ったのは割安価格のプロダクトと、低収益構造。無自覚のまま、これまでどおりのビジネスを続ければ、近い将来、行き詰まることになるでしょう。

これまでのものづくり企業やもの売り企業のビジネスのやり方を、「売り切りモデル」と呼びます。売り切りモデルとは、あるプロダクトを販売したときに利益を確定する収益化モデルのこと。原価に一定の利益幅を付けて価格を付すという価格設定は、まさに売り切りモデルの中心となる考え方です。商品を希望価格で買ってもらえれば、企業は確実に利益を得ることができます。

そのため、顧客との関係が「一期一会」であっても、取引から利益を回収できます。こうして、単品による利益を積み重ねて、企業全体としての利益をつくるのです。厳格なコスト計算の下、価格設定や販促活動などが展開されていきます。

(中略)

では、どうすればよいのでしょうか。

結論から言いましょう。ビジネスモデルそのものに目線を移す必要があります。そして、ユーザーへの価値提案を改めなければなりません。

リカーリングモデルは、販売後も継続してユーザーと関係を持つ、すなわち「つながり」を考えることが必要条件なのです。

 ユーザーとの継続する関係こそが、継続する収益の源泉になるのです。

 

以上の通りです。

リカーリングモデルという言葉は初耳でしたが、「販売後も継続してユーザーと関係を持つ」という点については、私が販売事業者におすすめしているビジネスモデルと同じなのです。

 

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