【マーケティング033】 

2024年10月14日(月)

こんにちは、関口です。

今回は、私が提供するサービスに非常に関連が深いと感じた書籍『数値化の魔力 "最強企業"で学んだ「仕事ができる人」になる自己成長メソッド』を紹介したいと思います。この本では、ビジネスにおける「数値化」の重要性と、それが個人の成長や組織全体の成果にどう貢献できるかを、キーエンスという企業の事例を通して解説しています。キーエンスといえば、圧倒的な成長力と効率性、それに高収入で知られる企業ですが、その秘密に少し迫ることができる内容です。

ちなみに、当会が提案する「戦略ありき」の事業構築アプローチは、まず最適な戦略を策定し、ビジネス全体の方向性を明確にすることから始まります。その後、具体的なマーケティングプロセスを設計し、各プロセスを数値で管理する仕組みを構築します。

こうした数値による管理は、進捗やボトルネックを明確にし、最適な改善を効率よく進めるための土台となります。これにより、戦略に基づいた無駄のない成長が可能になるのです。この「数値化」という考え方こそ、今回紹介する書籍でも重要なテーマとして取り上げられています。

本書の内容に目を向けると、ビジネス書として革新的なアイデアが多く含まれているわけではありません。私にとって目新しいことはありませんでした。しかし、著者がキーエンスに勤めていたという経歴を巧みに活用して自身を売り出している点は興味深いです。このように、過去の勤務先やそこにいた経営者のブランドを活かして、自分自身を売り込む方法は大いに有効です。例えば、「孫正義から学んだ〇〇〇」や「トヨタ式〇〇〇」といったフレーズで、自身の書籍やメソッドを売り出す人をよく見かけます。

こうしたテクニックは、多くの中小企業にも参考になるはずです。取引先の企業や自治体などのブランド力や信用力を適切に活用することで、自社の信頼性を高めることができるからです。

なぜキーエンスの社員は短期間で急成長できるのでしょうか?その背景には、徹底した「数値化」に基づく仕事術があると言われています。特に注目すべきは、組織全体だけでなく、個人レベルでの業務プロセスの数値化を推進し、個々の社員が自身の行動や成果を数値で管理できる仕組みを整えている点です。

キーエンスのアプローチは、非常にシンプルながらも徹底されています。あらゆるプロセスが日々の業務単位で数値化され、厳密に管理されています。この結果、組織としての成果だけでなく、各社員のパフォーマンスも最大化されるのです。これまで「組織レベル」で行われていた「数値化」を、「個人の行動レベル」にまで落とし込むことで、無駄を排除し、すべての努力を成果に変えようとするのです。

多くの企業では、努力の割に成果が出ないという問題に直面しますが、キーエンスでは「数値化」を通じて、これを効果的に解決しています。具体的には、仕事の結果を「行動の量」×「行動の質」と定義しています。このシンプルな方程式に基づき、例えばメディア露出や採用人数、営業成績など、あらゆる業務の成果を数値化して管理します。こうした数値による管理により、業務の一連のプロセスの、どこにボトルネックがあるかが明確になり、必要な改善策を講じることが可能になります。感覚や経験に頼るのではなく、客観的に問題点を把握し、対処できるようになるのです。

本書の中で筆者が提唱する重要な概念のひとつが、「行動の量」と「行動の質」の見える化です。特に、最初の段階では「行動の量」を増やすことに焦点を当てるそうです。質にこだわりすぎると、自己批判が強まり、成果が出る前に気持ちが沈んでしまうことがあるからです。まずは、行動の量を増やし、その後に質を向上させるというステップを踏むことが、成果を出すために必要なのです。

また、この見える化のプロセスには3つのステップがあります。まず、KGI(重要目標達成指標)を設定します。次に、それに向かってプロセスを分解します。3番目は、そのプロセスごとにKPI(重要業績評価指標)を設定し、日々の行動目標を数値化することです。これにより、各行動が成果にどのように結びついているかを明確に把握でき、効率的に目標を達成することが可能になります。

この手法は営業やマーケティングだけでなく、人事や広報、カスタマーサクセスなど、さまざまな業務に応用可能です。例えば、営業では受注件数をKGIとして設定し、DMや電話、商談といったプロセスを分解して数値化します。これにより、各段階での転換率を明確にし、効率的に活動を進めることが可能になります。同様に、人事では応募から最終選考に至るまでの各プロセスを数値で管理し、採用活動の効率を最大化することができます。

キーエンスの数値化のもう一つの重要な側面は、リソースの配分です。一人ひとりが1日の限られた時間、つまり1日480分という労働時間(リソース)をどう配分するかを明確にすることで、業務の効率を飛躍的に向上させることができます。これにより、業務のボトルネックが解消され、最大限の成果を上げるための集中力が高まります。

また、プロセス管理においては、最上流から下流に向けて数値を絞り込むアプローチが重要です。例えば、営業のプロセスでは、最初のリード獲得数が最終的な受注件数に大きく影響するため、この上流のプロセスに注力することで全体の成果を大幅に向上させることができるということです。

書籍『数値化の魔力 "最強企業"で学んだ「仕事ができる人」になる自己成長メソッド』で紹介されているキーエンスの手法は、一見シンプルですが、非常に効果的だと私は考えています。数値化を通じて個人レベルの行動を見える化し、それによって効率的な改善が可能になるからです。このアプローチは、単なる業務効率の向上にとどまらず、持続的な成長を実現するための強力なツールとして機能するでしょう。

私が運営する戦略プロセス経営実践会でも、この数値化の手法を活用し、クライアント企業の事業成長をサポートしています。戦略的なアプローチと数値管理による改善を組み合わせることで、より確実な成功への道筋を描くことが可能になるのです。

皆様の事業においても、この数値化の力を活用し、さらなる成長を目指していただければ幸いです。

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