【経営・戦略016】 

2022年 4月 26日(火)

こんにちは。戦略プロセス経営実践会の関口です。

今回は、「直販事業において、収益構造に大きな影響を与える指標は何か?」ということについて説明します。                  

 

通販やD2Cなどのビジネスを運営するに際し、日頃から受注件数、出荷件数、売上などさまざまな数字を管理しなければなりません。数ある数字の中でも、収益構造に大きな影響を与えるのは以下の三つの指標(数字)となります。

  • 新規顧客の獲得コスト
  • 顧客単価
  • 顧客維持率

成功するためには、ご自身の事業がどのような損益構造(モデル)になっているのかを理解すると同時に、次に示した指標を常に把握し、これらの数字の変化に敏感にならなければなりません。

 一つめは新規顧客の獲得コストです。これはCPO(Cost Per Order)とも呼ばれます。一つの新規注文を獲得するために必要な費用です。

二つめは、顧客単価です。1回の買い物にお客さまが財布の中から出してくれる金額です。

 三つめは、顧客維持率です、例えば、現在100名の新規顧客を獲得したら、時間の経過と共に100名はどのように減っていくでしょうか? 100名のうち、2回目の購入に至るのは何名となるでしょうか? 3回目、4回目、…10回目の購入をするのは100名中、何名となるでしょうか?

このように、通販やD2Cビジネスでは「CPO」、「顧客単価」、「顧客維持率」の三つの指標がキーとなります。これらの指標を改善させることが、収益アップにつながるのです。

これらの指標に関して理解を深めていただくために、ここではある仮定をしてみましょう。例えば、商品名がX(エックス)という健康茶があり、1箱単位で販売していると仮定します。販売価格は1箱4,000円。顧客単価および新規獲得コストは次の通りと仮定します。

  • 顧客単価:¥ 5,800
  • 新規顧客の獲得コスト;    10,000

この商品は、一見、売れば売るほど赤字となるようにみえます。なぜなら、5,800 円の売上を作るために、10,000円ものお金が必要となるからです。4,200円(10,000円-5,800円=4,200円)の赤字となります。

ところが、初めて購入してくれたお客さまに継続して2回、3回、4回、5回とリピート購入してもらうと、どうでしょうか?

顧客を獲得した時点では、損益上、赤字となります。しかし、後に黒字に転換することになります。

 新規顧客の獲得コストが高くても、顧客維持率が高ければ、別の言い方をすれば、お客さまがリピート購入さえしてくれれば、後に利益を出すことが可能になるのです。だから、【顧客維持率】が重要な指標となるのです。

 次に、顧客単価が5,800円ではなく8,500円だと仮定してみましょう。この場合は、新規顧客の獲得コストが10,000円であっても、1回の売買における損失額が(顧客単価が5,800円の場合と比べて)少なくなります。そのために、顧客維持率が以前ほど高く(良く)なくても黒字化までのペースは早くなる(早い時期に黒字化する)のです。

つまり、【顧客単価】が重要な指標になるということです。

これまでに紹介した三つ以外にも重要な指標があります。中でも重要なのが、顧客の生涯購入回数や生涯価値(LTV=Life Time Value)です。

つまり、「顧客1人当たりは、あなたの会社から平均すると何回買ってくれるだろうか?」ということです。また、「トータルでいくらを使ってくれることになるだろうか?」ということになります。

これは次に示したようなことです。例えば、あなたがある商品を販売しており、ある月に100名の新規客を獲得したと仮定します。

この100名の中で2回目の購入に至る人はせいぜい60名で、残りの40名は“1回ポッキリの買い物をするだけで縁が切れてしまうお客さまかもしれません。また、“1回ポッキリのお客さまが40名いる一方で、残りの60名中の20名は10回以上の購入をするかもしれません。

 どの事業も同じですが、ある商品における「購入回数当たりの購入人数」には必ずバラツキが生じます。例えば、100名の中で1回だけ購入するのは58名、2回購入するだけが2名、3回だけ購入が4名、4回購入が5名、5回購入が4名という具合になるかもしれません。

このようにバラツキが生じるのですが、平均値を算出してみると、「顧客1人当たりの生涯購入回数」は5.0回となるかもしれません。 

ここで顧客単価が5,000円で、顧客1人当たりの平均(=生涯)購入回数が5回である場合を考えてみましょう。この場合は、顧客1人当たりが、あなたの会社の商品を購入するために、生涯で2万5千円を使ってくれることになります。

  • 5,000 ×5回 = 25,000

 あくまでも平均値ということになりますが、1人のお客さまが、初回購入から「もう、買わない!」と離脱していくまでに2万5千円を消費してくれることを意味します。

お客さまがあなたの商品に消費する金額は人によってマチマチです。人によって異なります。しかし、平均値の算出をすると2万5千円になるということです。

この金額からあなたが顧客1人に費やす経費を差し引いた分が、顧客1人当たりから得られる利益ということになります。

先の例では、平均すると1人の顧客から2万5千円を集めることができるということです。そこから考えると、お客さま1人を獲得するのに(広告や販促費だけで)2万円も費やしていたのではとても採算が取れないということがわかりますね?

まとめると、ご自身の事業に関して三つの数値(指標)やLTVを常に頭に入れておき、「どの数値が、どのように、どれだけ変化すれば、事業の収益にどのように影響するのか?」ということを日頃から意識することが重要なのです。

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