戦略とプロセスを明確化した事業デザイン:
自らに選択肢があることを知りながら「できない」を「できる」に!
【経営・戦略003】
2016年10月8日(土)
前回までの記事では、一連の活動をプロセスとして捉えるメリットについて、「朝起きてから出発するまでの活動」を例に挙げて説明しました。
もし(前回までの記事を)読まれていない場合は、「プロセスにするのはなぜか?1」から読み直してみて下さい。
さて、一連の活動をプロセスとして捉える最大のメリットは何でしょうか?それは、「可視化」となります。可視化によって自社の業務(流れ)がよくわかるようになり、それにより問題の解決法が見えてくるのです。可視化により、ビジネス上で発生する問題を解きほぐすことが容易になる。これ最大のメリットです。
また、「可視化させる(プロセスとして捉える)」ことは、改善すべき点を見つけ出すのが容易になるだけではなく、優れたコミュニケーションツールにもなります。例えば、Aさん、Bさん、Cさんが同じ組織内で仕事をしており、それぞれ同じ仕事をやっているにも関わらず、仕事の流れ(やり方)については必ずしも完全に一致していないかもしれません。
そこで、プロセスの流れを示す「プロセス・マップ」の作成により、それぞれのプロセス(仕事のやり方)のどこに、どのような違いがあるかについて、視覚的に見付け出して判断することができるようになります。これはプロセス・マップがコミュニケーションツールとしての役割を果たしているからです。
つまり、プロセスの流れを示すプロセス・マップの使用が、コニュニケーションツールになり、お互いに仕事のやり方を確認しながらプロセスの単純化を可能にしてくれるのです。というのは、社内で重複している労力の特定や付加価値を生んでいないプロセスの排除が容易になるからです。
もちろん、従業員の仕事効率を高めることや無駄なコスト削減にもなります。結局のところ、プロセス化により、ボトルネックが明らかになり、生産性が高まるのです。
以上の通り、プロセス分析により、さまざまな問題の特定が容易になります。さらに、後日説明いたしますが、日常業務として行うビジネスのパフォーマンスに対する評価基準を設けるためにプロセスを利用することも可能です。
とにかく、重要なことは、まず現状のビジネス活動をプロセスとして捉えることにより、あなたのビジネスで具体的に何が起きているか、それがどのようになされているかを明確にすることです。
それが、プロセス上の誤りを是正するだけではなく、より早くチャンスに取り組むことに繋がるのです。
さらに、少し難しい話になりますが、各プロセスに対して、インプットと(プロセスから生じる)アウトプットを明確に定義すると同時に、各プロセスに時間を割り当て、金銭面の情報を盛り込んで活用することもできるのです。
1つ例を挙げてみましょう。これは15年以上も前に私が関わった仕事の話になりますが、顧客からショッピングクレジットの申請書を受付してから可決・否決の結果を報告するまでに1件当たり平均して30分掛かりました。1件当たりの処理時間が30分でコストが1,000円とします。
ちなみに、ショッピングクレジットとはショッピングローンとも呼ばれるカードを利用しないで分割払いで商品の購入ができる個品割賦購入あっせんのことです。
これの可決・否決の与信を判断する審査のプロセスに関し、もし月に10,000件の処理をしていたら、1,000円X10,000件=1,000万円のコストが掛かることになります。
数字は全てデタラメですが、もし「審査プロセス」の見直しにより、1件当たりの処理時間を30分から6分短い24分に短縮できたら、どこに、どのようなインパクトを与えることになるでしょうか?
まず1件当たりの処理コストが1,000円から800円に減りますね(1,000円X24/30分=800円)?これは、10,000件の処理をするのに1,000万円のコストが掛かっていたのが、800万円(800円X10,000件=800万円)になります。1カ月に200万円のコスト削減ですね? 年換算すると、なんと2,400万円の削減となります。
与信の判断を行う審査プロセスを見直し、30分から24分とわずか6分短縮するだけでも、処理件数が多いとコスト削減のインパクトが非常に大きくなるのです。
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