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【関口のつぶやき、感じたこと 098】
2024年 11月 24日(日)
兵庫県知事選
こんにちは、関口です。
ちょうど1週間前に兵庫県知事選挙が行われました。同じ日に栃木県でも知事選挙がありましたが、その注目度は雲泥の差でした。選挙前から兵庫県知事選にばかり大きな関心が寄せられ、メディアやSNSで取り上げられる頻度も圧倒的でした。
注目を集めた理由の一つとして、斎藤知事について大手メディアが数カ月前から報じてきた内容とYouTubeなどのSNSで拡散される情報の間に大きなギャップがあったことではないでしょうか。
特にSNS上では世間の人々が思わず目を引かれる面白い話題が次々と暴露されました。その代表例が、元局長の公用パソコン内に保存されていた極めてプライベートな「ヒミツの日記」の存在です。
大手メディアはそのことには一切触れない一方、ある人物の影響でYouTubeなどSNS上ではそれが大きな話題となり、結果として「テレビ・新聞よりもSNS?兵庫県知事選で何が?」というメディア記事のタイトルに見られる通り、多くの人がSNS情報を信じた結果が選挙に大きく影響したとみる論評が多いようです。
選挙から1週間が経過した現在も、兵庫県知事選に関連した話題が尽きません。
その中で、数日前から注目され始めたのが兵庫県内のあるコンサルタント会社の女性社長の存在です。この女性が経営する会社ではSNSを活用した広報戦略を手掛けており、知事選に関わったことを自らnoteで公開したことで話題になりました。この行動が一部では「齋藤知事に公職選挙法の疑惑がある」という指摘につながり、批判の対象になっているのです。
しかし、私が注目しているのは、「公職選挙法の疑惑」などということよりも、むしろ結果としてこの女性社長が全国的に知られる存在へと押し上げられたことです。
ここで重要なのは、その女性社長が意図的に狙ったのではないにしろ、兵庫県知事選という日本中が注目する話題の中で、その渦に巻き込まれる形で「巨人の肩に乗った」という点です。これは、単なる偶然だったのかもしれませんが、企業の広報・PR戦略の観点から見れば極めて興味深い現象と言えます。
「巨人の肩に乗る」という表現は、他者や大きな出来事の力を借りて、自分の存在感を高めることを意味します。典型的な例として、肩書や所属、出身大学などがあります。「元●●社日本法人社長」といった経歴を掲げる人は、その出身企業のブランド力を活用して自身を売り出しています。また、「孫正義社長に学んだ目標達成術」といったタイトルの書籍を出版する人も、孫正義氏の名声を利用していると言えるでしょう。
今回の選挙では、女性社長が意図的にこの「巨人の肩」に乗ろうとしたわけではなかったのかもしれませんが、自らのnoteを通じて「私が知事選で広報を担当したのよ」といわんばかりにPRしたことは事実です。それが批判される要因だったのですから。
もちろん、女性社長が批判を浴びたことは気の毒だと思います。しかし、広報・PRの観点から見れば、批判を受けることで逆にその存在が際立つことも珍しくありません。後に齋藤知事が潔白であることが大きく報道されれば、彼女自身に風評被害の被害者として同情が集まる可能性も高いでしょう。
無名の存在だった地方の小さなPR会社が、兵庫県知事選という巨大な話題に乗っかって全国区の注目を集めた――これは、偶然のように見えて、「巨人の肩に乗る」ことが持つ影響力を如実に示す事例ではないでしょうか。彼女の行動が意図的だったかどうかを問わず、自身の存在を全国に知らしめることになったのです。
現に、南あわじ市長選への立候補を表明したNHK党の立花孝志氏が彼女を起用する可能性に言及するなど、彼女の影響力が新たな広がりを見せています。
今回の兵庫県知事選は、巨大な話題に乗っかることがいかに個人や企業を押し上げる力を持つかを示した一例と言えると私は考えています。その渦中にいた女性社長は、結果として「巨人の肩に乗った」ことになり、(斎藤知事が潔白であることが周知されれば)恐らく今後、広報・PRの専門家として活躍の場を広げていくことになるのではないでしょうか。
また、2024年の兵庫知事選は、企業の広報・PRに携わる人々にとって、多くの学びをもたらしたのではないでしょうか。その一連の過程では、SNSの影響力や情報の拡散スピード、さらには批判や逆境をもチャンスに変える広報戦略の重要性が浮き彫りになったのです。
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