【関口のつぶやき、感じたこと 057】 

2021年 4月 1日(木

  • 年収1億円
  • 1対1
  • 1対多
  • 高額塾

こんにちは、関口です。

私にはいつも「凄いな!」と思うことがあります。

それは「年収1億円!」についてです。

「年収1億円!」は確かに凄いのですが、私が凄いなと思う対象はそのことではありません。個人や個人事業主を対象に商売している人たちの凄い演出です。

「○○君が年収1億円を達成」「当社から1億円プレイヤーを輩出」などとでっかい数字を掲げ、人の期待感をむやみに刺激する誇大宣伝が行われていることに対して凄いなと感じるのです。

やり方が「これを身に付けるようなったらモテる男になりました」「宝くじで3億円ゲットしました」「万馬券で800万円が転がり込んできました」などという体験談(?)を紹介しながら宣伝する胡散臭い開運グッズの販売方法と大なり小なり似ているのです。

つい昨日、学校法人「角川ドワンゴ学園」が運営する「N高等学校」という一般の高校とは異なるネットの高校が不適切な方法で進学率を高く見せていたというニュースが報道されていましたが、個人事業主や零細事業経営者向けにサービスを提供している者の中には不適切どころか、自身をやたら大きく見せることを当たり前のように行っていることも。

個人事業主などの事業の実績については、どこまでが事実か全くわかりません。そのため「顧客の声」などを称して、巧みに演出することが平然と行われているのです。

本日は4月1日。エイプリルフール(April Fools' Day)です。個人事業主向けの事業者の中には、365日、エイプリルフールの感覚で情報を発信している人もいるのです。

重要なことは「年収1億円!」などという数字を鵜呑みにするのではなく、そこに至るまでの「ロジック」をよく確認することです。顧客単価はどのくらいなのか? 集客にどのくらいの費用が掛かったのか? などと考えながらご自身でよく分析してみることがとても重要です。

では、さっそく一緒に分析(検証)してみましょう。

(年収ではなく)売上が1億円だとしたら、1カ月当たりの売上は約833万円になります。月の労働日数が21日だとすると毎日40万円の売上が必要になります。月曜日から金曜日まで、たった一人の力で毎日コンスタントに40万円の売上を作らなければ(年収どころか)売上すら1億円に届かないのです。

もう少し具体的に検証してみるために、個人で活動しているコンサルタントの例を考えてみましょう。

個人コンサルタントが1日に40万円を売り上げる場合、どのようなケースが考えられるでしょうか? 「1対1」と「1対多」で行うコンサルのケースを見てみましょう。

「1対1」のコンサルであれば、1回当たりのコンサル料が40万円以上の案件が土日祝以外、ほぼ毎日入っている状態にならなければなりません。

これは現実的でしょうか?

個人コンサルタントの身分でも1日に40万円の案件は獲得できますが、顧客が中小企業であることを考えると、これはかなり高額な部類に入ります。そのため、1件を獲得するだけでもかなり苦労するはずです。

だから、このような高額な案件ばかりの仕事で年間スケジュールが埋まるということは、ごく一部の例外を除き、ちょっと考えにくいのです。それに、訪問する、あるいは、オンラインで行うにせよ、事前の準備が必要となります。一定の時間が必要になるのです。

1回40万円もの料金を請求する以上、手ぶらで何も準備しないまま臨むわけにはいきません。ヨソで使った資料を転用するにしても、クライアント企業の実態に合致した資料の準備が不可欠となります。同様に、コンサルの実施日以外に質問が飛んでくれば、その対応にも時間が取られます。

このように一定の時間が必要になるのです。

また、ここまでは「仕事がある」という前提で話を進めてきましたが、案件(仕事)を獲得するために費やすコストや時間なども考慮しなければなりません。何もしないまま1回に40万円ものオイシイ案件がいきなり舞い込んでくることはないのです。当然ながら案件を獲得するための活動が求められます。

相手が個人事業主なら別ですが、一定以上の規模を誇る企業を相手に契約を取ることを考えると、何度か提案をした上ですり合わせを行うことが求められます。

このように「準備の時間」「集客のための時間」「集客のためのコスト」なども考慮する必要があるわけです。

次に、「1対多数」の企業研修で検証してみましょう。大企業が仕事相手であれば1日40万円の研修は「あり」の料金ですが、「1対1」のケースと同様の問題に直面します。研修当日に向けた準備やさまざまな調整業務があります。案件を獲得するための活動(営業)も行うことになるでしょう。だから、1回40万円以上もの案件が、月曜から金曜日までぎっしりと埋まるような状態になることはないはずです。

さらに、別のケースとして高額塾を開催するケースを見てみましょう。高額塾であれば、単価を可能な限り高く設定し、人数を多く集めれば1日に40万円どころか100万円、150万円もの売上を作ることが可能です。一人から1回あたり10万円の料金を徴収する場合は、15人も集めれば1日に150万円もの売上となります。凄いですね?

しかし、売上ばかり見ていても実態は何も把握できません。集客のためのコスト、集客までの時間なども考えなければなりません。

高額塾を開催している人のやり方をよく調べてみればわかりますが、最初は3,000円程度で説明会・体験会などと称したセミナーを開催することが一般的です。しかも、1回ポッキリではなく、繰り返し開催します。15名を集めるために5回、8回、10回と説明会を開催するのです。その間はわずかな売上しか作ることができません。

また、先の「1対1」の事例と同じですが、開催日に向けた準備が必要となります。「1対多」でコンサルの開催日は効率良く運営できても、参加者が多ければその数に比例して質問などに対応する業務が増えます。

中には「僕は1時間の個別対応に20万円を請求している」などと言って牽制する人もいます。「牽制」という表現を使いましたが、これは受講生から個別にメールなどで質問されることを避けるために「個別対応には1時間に20万円を請求している」などと伝え、釘を刺しておくのです。そうやって、なるべく個別に対応しなくても済む(質問がこない)ようにしている、ちゃっかりした輩もいるのです。

さらに、説明会・体験会への参加者を募るためには日頃から見込み客を集めておかなければなりません。そのために、フェイスブックやYouTubeなどに広告を出すことでしょう。

先の「1対1」のケースとはビジネスモデルが異なるので、ネット広告に資金を投入して大量に「見込み客」を集めることになります。その多くは後に離脱していくのですが、残った人たちを顧客化していきます。このように15名の個人事業主を集めるためにさまざまな活動を行うことになるので、それなりにコストや時間が掛かるのです。

さて、ここまでは「年収」ではなく「売上」の話として進めてきました。「年収」という金額の算出となると売上から必要な経費を引かなければなりません。となると「年収1億円!」のためには、広告宣伝をはじめとするさまざまなコストを差っ引いても1億円が残るほどの大きな金額を売り上げなければとても到達しないということにお気づきですか?

だから、繰り返しになりますが、「年収1億円!」などという数字を鵜呑みにするのではなく、そこに至るまでの「ロジック」を、ご自身なりによく分析・検証してみることです。

そうすれば「これは眉唾ものであり、大げさに表現しているだけでは?」などということが容易にわかるはずです。

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