戦略とプロセスを明確化した事業デザイン:
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【経営・戦略015】
2020年 10月 24日(土)
こんにちは。戦略プロセス経営実践会の関口です。
日本経済新聞に掲載されていた「サブスク サバイバル」という記事を読みました。この記事は、2020年10月20日(火)と21日(水)、2回に分けてアップされました。
何年か前から「サブスクリプション(継続課金)」と呼ばれるビジネスモデルが注目されていますが、これは特に新しいモデルではありません。例えば頒布会やスポーツクラブの会員などはサブスクの典型でした。それが、何年か前からこの手のビジネスモデルが大きく注目され始めたのです。「サブスク」という表現をよく目にするようになったのです。「サブスク」は今、動画、音楽、電子書籍、車、飲食、家具、家電、ジムなど、対象はあらゆる業界に及んでいます。
日経新聞の記事によると、ICT総研の予測では国内市場は2023年に1兆4,370億円と2019年比で26%増になるとのこと。しかし、成長の陰で撤退も少なくなく、日本サブスクリプションビジネス振興会によると、国内で参入した企業の3割は1年以内に撤退しているそうです。
例えば、資生堂の月額約1万円のスキンケアの配合サービス「オプチューン」はわずか1年で幕切れ。他にも1万1,000円で1カ月食べ放題の牛角のサービスは休止に。AOKIのスーツのレンタルも撤退しました。
「多くの企業は課金の仕組みだけ安易に取り入れ行き詰まるケースが多い」と、記事の中で兵庫県立大学の教授が指摘していましたが、データを活用しながら、消費者といかに良い関係を築けるかがポイントなのです。
また、記事には面白いことが書かれていました。それは「幽霊会員」についてです。月額料金を支払っているのに使っていない「幽霊会員」はジムや音楽配信なで3~4割、多いところで7割もいるとのこと。
そんな中、Netflixは今年から休眠利用している者にはアカウントを取り消すかどうかの確認メールを送り始めたと書かれていましたが、一方で解約しにくい(カンタンに解約させてくれない)サービスも少なくなのです。恐らく、「幽霊会員」からの売上が全体の40%や50%にも達している企業もあるのではないかと思います。
さらに、サブスクは売り切りモデルと異なるため、ベンチャーキャピタルによる未上場企業の評価や上場企業の分析の手法にも影響を与えているとのこと。サブスク企業にはARR(Annual Recurring Revenue)といった指標がよく使われます。これは、毎年決まって得られる1年間分の収益や売り上げを指していますが、算出基準が各社ばらばらなことが課題だそうです。
ちなみに、ARRに似たMRR(Monthly Recurring Revenue)という指標もあります。これは年間ではなく、月間の収益や売り上げを指します。
とにかく、サブスクについては、恐らく今後も課金の仕組みだけ安易に取り入れようとする企業が現れては消えていくということを繰り返すことになるでしょう。
今回のテーマであるサブスクに関連しますが、週刊東洋経済の2020年10月24日号には「新たに有料会員ビジネスを強化、さらなる成長を目指す藤久」というタイトルの記事がありました。そこには、投資ファンドからやってきた新社長の言葉が次の通り紹介されていました。
「…単に他の店舗を見て、それより価格を下げる、品ぞろえを負けないようにする、といった戦略を採るつもりはありません。それは戦略ではなく戦術です。それよりも会員様一人ひとりの嗜好などに店舗の店員がきめ細かく対応することなどを通じて、当社のファンをつくっていくことが真の戦略であると考えています」
ちなみに、売上220億円規模の藤久ですが、年会費550円で会員になると特別価格での買い物や購入金額に応じて加算されるポイントサービスを受けることができます。住所、氏名、電話番号など、個人情報を預かっている会員が146万人ほどいるのです。
このような会員を増やし、ファンをつくるために藤久が重点強化していることが5つ掲載されていたので紹介します。
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