【関口のつぶやき、感じたこと 083】 

2023年 8月 8日(火

  • 外部(社外)人材
  • 公的機関
  • よろず支援拠点
  • 区別する力
  • 課題設定

こんにちは、関口です。

中小企業を取り巻く市場環境は、目まぐるしく変化しています。同時に、新たな展望が広がる機会が常に訪れています。こうしたとき、外部人材の活用を巧みに事業展開に組み込むことは、企業の成長を飛躍的に後押しするキッカケとなります。

そこで、今回は、中小企業の経営者や事業責任者に向けて、外部人材の見つけ方・探し方とそれに伴う長所と短所について探ってみましょう。

なお、外部人材の活用に関し、見つけられる場所(探すべき対象)は大きく2つあります。

方法1:公的機関のサービスを活用する

まずは、公的機関の活用を考えてみましょう。商工会議所やよろず支援拠点など、地域にはさまざまな支援団体が存在しているはずです。これらの団体は、地域の中小企業を支援し、成長を促進する役割を果たしています。アポを取って訪問すれば、無料でアドバイスしてくれます。

私がこれまで見てきた限り、公的機関のサービスを活用するメリットは大きく3つあると考えています。1)無料または格安料金でサービスを受けられる、2)補助金情報に精通している、3)地域のネットワークを持っている、となります。

公的機関のサービスを活用する最大のメリットは、1つ目に指摘した無料または格安料金でサービスを受けられることです。これは、予算の制約がある中小企業にとって大きな魅力となります。専門家を自社に派遣してもらうと料金が発生しますが、アポを取って彼らの事務所を訪問してアドバイスを受ける場合はタダで済むのです。

また、 商工会議所やよろず支援拠点には、国や地元自治体の補助金制度に詳しい人が大勢います。というのは、彼らはさまざまな補助金があることを宣伝する役割を担っているからです。だから、例えば小規模事業者持続化補助金やものづくり補助金の申請書類の作成方法についても相談に乗ってもらうことができます。

さらに、地域のネットワークを持っており、地元の別の支援機関などを紹介してくれます。「1件紹介したから10万円」などと料金を請求されることはありません。

一方、中小企業の立場から見た場合、欠点というかデメリットもいろいろあると私は考えています。中でも私が指摘したい主なものは、1)守備範囲が広すぎることから起因する問題、2)アドバイスだけで実践には関わらない、という2点となります。1つ目の「守備範囲が広すぎることから起因する問題」については、いろんな症状の患者を診てあげる離島の診療所をイメージするとわかりやすいと思います。「何でも対応するけど、それ以上のことについては…」となりがちなのです。

よろず支援拠点には、コーディネーターと呼ばれる相談員が何人も所属しています。勤務するのは週1~3日ほど。それ以外の日は別の仕事に従事しています。そんなコーディネーターがマーケティング、財務、海外進出、貿易、特許などあらゆるテーマに対応してくれます。これは一見すると非常にありがたいことです。

しかし、離島の診療所と同じような問題に直面するというのは、一次相談(診断)のような役割を期待するのであれば問題ないのですが、それ以上の深入りは難しいかもしれないということです。

例えば、「私はマーケティングを専門にしています」というコーディネーターの場合、マーケティングに関する一般的な知識は持っていても、カタログ通販というニッチな分野には全く精通していない可能性があります。同様に、PRのことは大なり小なり知っていても、メディアの取材対応の経験がないかもしれません。つまり、「マーケティングを専門にしています」とはいえ、そこからさらに細分化された領域の知見については、支援団体に属している相談員のキャリアによってマチマチということになります。

もう一つのデメリットは「アドバイスだけで実行・実践には関わらない」ということです。これは、「〇〇した方が良いですよ」などとアドバイスは提供してくれても、自社の社員のように手足を動かしてくれないという意味です。

例えば、補助金の申請書について「〇〇欄には〇〇の事例を記入すると良いですよ」などとアドバイスを提供してくれます。しかし、申請書類の作成そのものを代行してくれることありません。「明後日の昼までに申請書類を全て作成しておきます」などというサービスはないということです。そういう意味において、提供してくれるサービスが限定的であると言えます。

方法2:民間のサービスを活用する

次に、民間のサービスを活用して外部人材を見つける方法について考えてみましょう。これについては、クラウドソーシングや副業・兼業人材紹介のプラットフォームなどの場を通じて、必要なスキルや知識を持つ専門家を見つけることができます。ネット上で探すことができます。

実にさまざまなサービスがあります。例えば、先に述べた補助金の申請書類作成ついては、業務を丸投げすることさえ可能になります。

民間サービスを活用する際の最大のメリットは、「多岐にわたる選択肢」と「柔軟性」が挙げられます。例えば、クラウドソーシングのサービスには、さまざまなテーマで多数の人材が登録しており、多様なニーズに応えてもらえます。「ベトナムに缶詰工場を建てたいが、どのような法規制があるのか全くわからない。1時間くらいでポイントを教えて欲しい」などというニッチなテーマに関するスポット相談も可能です。また、費用のバリエーションも広いため、予算に合わせて選択することができます。

一方、デメリットもあります。それは、「情報(サービス)が多すぎて、錯綜していること」です。自社のニーズが明確になっていないと選びにくいのです。こちらのページに詳しく記載していますが、「当社では一体、何が問題なのか。だから、どうしたいのか?」ということをきっちりと見極めた上で「課題設定」が上手くできていれば、「ウチの会社には、どのような人材が必要なのか」ということが明確になります。

このような場合、多数の情報が溢れていても「今の自社に相応しい人」を容易に絞り込むことができます。これは「区別する力」があり、すぐに見極めることができる状態になっているからです。

ところが、課題設定がいい加減だと、さまざまな情報に振り回されます。中には「銀行から紹介されたから…」「断わったら融資に影響が…」などと受け身の姿勢で外部人材の公募案件を掲載する企業があります。このようなケースではなかなか上手くいかないはずです。

つまり、課題設定が上手くできていれば、民間のサービスを有効に使うことができます。一方、課題やニーズが曖昧なまま先を急ごうとすると、何かと錯綜する情報に翻弄されてしまうことになります。これは社外人材の活用に限らず、新しいツールを導入するような時も同じです。

最後になりますが、外部人材を採り入れる方法として、公的機関と民間の双方のサービスを検討することができるはずです。自社のニーズや予算に合わせて、最適な方法を選択すれば、成長を支える一助となるでしょう。

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