【集客(小手先)のテクニック006】 

2018年 6月 30日(土)

私は1990年代の後半、MBA取得のためアメリカに滞在していました。当時、アメリカで「スゴイな!」と思ったことの一つがTV通販でした。

今でもよく覚えている番組があります。それは自家用車をホコリなどから保護するためのワックスのような商品です。強烈な演出が印象的だったので今でも覚えているのです。そのTV通販番組では、ワックスのようなものを車体に塗ったあと、出演者の男性がボンネットの上にガソリンを撒いて火を付けました。

もちろん、一瞬で大きな炎が発生し、近くにいた女性が驚いて「Oh my god!」と叫ぶのですが、「ご安心下さい!」「車には何ら問題ございません」「なぜなら、この●●がprotectしてくれるから…」と男性がなだめる、という流れでした。

商品名を含め、それ以上の詳しいことは何も覚えていませんが、車のボンネット上に大きな炎を発生させるという派手な演出だったので、その番組のことは20年以上も前のことにも関わらず、よく覚えていたのです。

2000年代に入ってからQVCが日本でも開局し、TV通販が大きく成長しました。

私は中小企業で通販事業の責任者を務めていたことがあり、TV通販の収録現場に何度か立ちあわせてもらったことがあります。

拍手のやり方やタイミングまで実に細かく担当者が注文を付けていたことには驚きました。客席にいる主婦たちには見事なタイミングでパチパチと拍手させていたのです。また「すご~い!」「そんなの初めて!」などと言わせる演出もしていました。

もちろん、客席にいる主婦たちはそういう役割を演じる仕事をするために収録スタジオに集まってきたのであり、全てが巧みに仕組まれていました。

他にもこのような「演出」はあちこちで見られます。少し紹介しましょう。

かれこれ20年以上も前のことですが、「あの船井幸雄さんも絶賛しているすごいビジネスの話がある」と、当時の友人に誘われて、仕方なく参加した会合があります。場所は東京の日比谷公会堂でした。

その当日、友人との待ち合わせ場所から日比谷公会堂へ向かい到着すると、その入口前にはなんと高級外車が10台以上もずらりと駐車されていました。「すげ~」と思わず叫んでしまったことを今でも覚えています。

実は同じような光景に約10年前にも遭遇しました。場所は東京・恵比寿のウエスティンホテル東京。コンサルティングの仕事で、ある社長さんと打ち合わせをするために恵比寿駅から徒歩でホテルに向かったのですが、入口前には赤や黄色のフェラーリ、ロールスロイス、ランボルギーニなどがずらりと並んでいました。

長くなるので詳しい説明は止めておきますが、実はどちらもネットワークビジネスの会合の出席者が所有する車だったのです。

日比谷公会堂に私が誘われたのはネットワークビジネスの会合でした。また約10年前にある社長さんと打ち合わせをした日は、ウエスティンホテルの宴会場でどこかのネットワークビジネスの会合があったようでした。

敢えて開場前の駐車スペースを高級外車で埋め尽くすことが、彼らの内外に向けた成功イメージを作り出す演出だったのでした。

さて、「架空の人物」と書くと、「ペルソナのことか?」と思う人がいるかもしれません。ペルソナは、マーケティング業界で架空の人物として定義した顧客プロファイルのことです。理想の顧客像のことです。

実は私がここでお伝えしたい「架空の人物」は、メルマガやコラムなどでよく目にします。今では下火になっていますが、2000年頃からメルマガを集客手段として使い始める人が出てきました。また企業がメルマガを出し始めるのを見込んで、早い段階からメルマガの書き方を指導するコンサルタントとして名乗り出た人もいました。

大企業が発行するイベント案内のようなメルマガは非常につまらないものが多いのですが、ネットマーケティングの上手な人は必ずキャラクターを登場させます。そのキャラクターは本人の場合もあるし、第三者の場合もあるのです。

以前、第三者のキャラクターとして「架空の人物」を使って非常に上手くやっている人がいました。読者にとっては憧れのような存在(架空の人物)で演出する方法です。

そのキャラクター(架空の人物)は、パソコン1台で世界中を旅しながら年に何億円もの大金を稼ぐ人かもしれません。あるいは、パリ・ニューヨーク・ミラノ・上海などで活躍するファッションモデルだったりするわけです。

全てがでっちあげなのですが、テレビドラマのように「これはフィクションです!」などと、メルメガ発行人が伝えることは決してありません。「架空の人物」を巧みにマーケティングに利用していたのです。

また、「架空の人物」ではありませんが、自分自身の経験をでっちあげる方法は、経営コンサルタントなどが発行するコラムなどにも見られます。

例えば、「昨日は、年商15億円の金属メーカーの社長様に来期の事業計画に関するコンサルティングをするために大阪まで出張しました。その会社は私がコンサルを始めてから3カ月ですが、すでに月商が約30%もアップし…」などと好き勝手な作り話をコラムに掲載し、演出する人が一部に見られます。

コラムだけを読んでいると、毎週のように次から次と新しいクライアントの話が出てくるのですが、実はイメージ作りの架空話なのです。架空クライアントの事例を紹介しているだけなのです。

「昨日は大阪へ行きました」と道頓堀でたこ焼きを頬張っている姿や「仙台に来ました」とずんだシェイクでも飲んでいる写真を一緒にアップしていれば説得力が増すのですが、…。

コラムにそのような作り話で演出しようとする人がいる中、本当に上手な人は証拠写真を載せています。

例えば、ある人は「ディズニーランドのクラブ33に行きました!」「デビィ夫人の誕生パーティに行きました!」などと書いてセレブ感(成功イメージ)を醸成しようとしていましたが、その人は本人が写っている証拠写真を必ずアップしていたので説得力(本物感)がありました。

とにかく、そのように顧客や見込客が見聞きするもの全てについて、イメージ作りの演出があちこちで行われているのです。

場所、ネーミング、さりげなく公開する日常生活…。全てがはじめからイメージ作りの演出であるケースがあります。今の世の中、フェイクニュースがSNSなどで拡散されることが日常化しつつあります。自身の体験談についても演出目的でフェイクストーリーを流す人がいるので困ったもんです。

いかがでしたか? 

小さな会社では、全方位のマーケティングが必要となります。このことは、顧客や見込客が貴社の商品・サービスに関して見聞きするもの全てについて細心の注意を払うことです。

貴社がソトに発信する全て(広告、メール、レター、口頭で伝えることなど)に細心の注意を払わなければならないのです。そんな中、「スゴイ!」と思わせる演出があちこちで日常的に行われているのですが、そういうこと興味があればこちらに目を通してみて下さい。

 

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