【経営コンサルタント065】 

2023年 6月 22日(木)

こんにちは、関口です。

先日、ある経営コンサルタントの方が執筆したコラムの中に「なぜ、零細企業に振り回されるコンサルタントになるのか?」というタイトルの興味深いメッセージを発見しました。この記事では「(一人や数人規模の)経営コンサルタントには適した顧客企業の規模がある」と主張されていました。

零細企業向けのコンサル業務については「決めた事も守らず、いつも同じ課題の繰り返しの経営者」「あなたも嫌気がさしませんか?」などと否定的な意見が述べられていました。

また、コラムの中には、「中小企業診断士の資格を取得し、主に商工会議所を中心に相談業務を受けていますが、零細企業ばかりで時間がかかる上に、料金が非常に低いです」という相談を仲間から受けた、というコメントの紹介もありました。

なぜ、経営コンサルタントの方は、零細企業向けのコンサルティングについて、否定的な意見を述べたのでしょうか?以下は、私の意見を交えた内容となりますが、その理由について考えてみましょう。

第一に、「1対1」のスタイルで零細企業をコンサルティングの顧客とする場合、経営コンサルタントはよろず相談や何でも屋のような役割になりがちだからです。多岐にわたる業務を担当することが求められ、専門分野に特化したアドバイスが難しいことが多いのです。

第二に、零細企業の場合、経営課題に対するアドバイスは主に戦術的なものになりがちだからです。顧客企業は即効性のある問題解決を求めていることが多いため、戦術的なアドバイスのみを求める傾向が強いです。そのため、経営コンサルタントが戦略的な視点や長期的な解決先を提案しても、なかなか理解されないケースがあります。

第三に、零細企業との契約金額は一般的に低料金になりがちだからです。経営コンサルタントの目には、限られたリソースを最大限活用する必要があるため、事業の収益性を考慮すると、より規模が大きな企業との契約の方が魅力的にうつります。

以上の理由から、経営コンサルタントの方の記事には、(一人や数人規模の)経営コンサルタントには社員数30名以上、売上5億円以上の中小企業を顧客とすることを勧めていました。この意見については、私も基本的に同意します。

しかし、私は企業規模だけで顧客を選定することは適切でないと考えています。他の要素も検討した上で判断することが重要ではないでしょうか。

まず、「経営者の経歴」が重要な要素となります。経営者が以前にちゃんとした会社での勤務経験を持っている、あるいは、経営やマーケティングなどを学んでいる場合、事業の運営や戦略に関して相互理解が生まれやすくなります。

一方、経験や学習の機会が限られている経営者との間では、認識のズレや理解の困難さが生じる可能性が高まります。

第二に、「自身のサービス内容や提供方法」を検討する必要があります。経営コンサルタントは、自身の専門領域やアプローチ方法に基づいて顧客企業と関わっていくはずです。

そのため、提供するサービスの流れやスタイルが、顧客企業のニーズや要件と合致しているかどうかを考慮する必要があります。自身の得意とする分野や提供できる付加価値を明確にし、それに合致する顧客企業を選定することが重要です。

第三に、「過去のコンサルティングサービスの利用有無」も考慮すべき要素であると考えています。コンサルサービスの経験のない企業に対してコンサルティングを行う場合、不慣れな取り組みや課題解決のプロセスに戸惑うことがあります。目先の解決策を急ぐあまり、それに向けて行われる取り組みを単なる時間の浪費としか考えない経営者も存在します。

一方で、過去にコンサルティングを受けた経験のある企業は、コンサルティングの進め方などを理解しており、共同の目標に向けて協力しやすい傾向があります。経験のある企業との方がスムーズに業務を進めることができ、より効果的な成果を生み出す可能性が高まるはずです。

追加しますが、何かと公的機関のサービスを利用しようとする企業の場合、金銭感覚が大きく異なる場合があります。

例えば、船井総研など中小企業向けにコンサルティグを提供している会社が月に25~30万円を請求するようなサービスに対して、2~3万円程度の料金を期待していたりします。つまり、1/10の料金を想定しているということです。理由は無料や格安で提供される公的機関のサービスに慣れてしまった結果、それとの比較になってしまうからです。

以上のように、経営コンサルタントに適した顧客企業の選定は、企業規模だけでなく、経営者の経歴、サービス内容、過去のコンサルティング経験など、多角的な視点で検討し、判断する必要があります。経営コンサルタントと顧客企業が相互に理解し合い、協力して成果を上げるためには、相性やニーズの合致が重要なのです。

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