【マーケティング031】 

2023年6月8日(木)

こんには、関口です。

中小企業の多くが、優れた商品やサービスを提供しているにもかかわらず、業績が低迷している現実があります。その原因は何なのでしょうか?

今回は、マーケティングにおける一連の課題や誤解に焦点を当て、中小企業経営者の皆さんが成長を遂げるためのポイントについて考えてみます。そこで、以下の通り、マーケティングの課題(到達度?)をレベル別に分けて解説します。

中小企業の経営者の中には、マーケティングの重要性を全く理解しようとせず、受け入れないケースがたまに見受けられます。彼らの中には「そんなことはまどろっこしい」「時間の無駄だ」と考えており、マーケティングの考え方を拒絶する人すらいます。特に、BtoBで取引先が固定しているような事業を展開している中小企業経営者には、この傾向が見られると私は感じています。

このように考える経営者は、「そんなことをするよりも、カネを少し払って誰かに(お客を)紹介してもらえばいいのでは?」などと考えていることがわかりました。既存の取引関係を頼りにしているだけで、積極的なマーケティング活動には無関心ということです。新たな顧客獲得や市場拡大については無頓着なのです。

マーケティングの存在は認識しているものの、具体的な理解が不足している経営者もいます。このような経営者は攻めることが全てだと考え、断られたら別の人にアプローチすればいいだろ程度にしか思っていないことがあります。需要を喚起し、相手から欲しいと言わせるという発想が欠如しているのです。

おそらく、彼らにはマーケティングの真の意味が見えていないと思われます。マーケティングは単に商品を売り込むための手段ではなく、顧客との関係構築や市場分析を含む広範な活動です。顧客のニーズや欲求を把握し、それに応じた商品やサービスを提供することが求められます。さらに、競合状況や市場のトレンドを把握することなども重要なのです。

このレベルの経営者は、マーケティングの必要性は理解していますが、それを広告や宣伝の一環と捉えているようです。彼らはマーケティングを単なる営業活動の一部機能と位置づけし、戦略的なアプローチが欠けているのです。

マーケティングは、広告や宣伝だけではなく、市場分析や顧客の洞察、競合分析、商品開発、価格戦略、販売促進など多岐にわたる要素を含んでいます。また、営業活動の一環ではなく、組織全体の戦略として位置づけられるべきです。

経営者がマーケティングを広告や宣伝と捉える限り、真のマーケティングの力を引き出すことはできないでしょう。マーケティングは広範で継続的な活動であり、顧客との関係構築や市場分析といった要素を含む戦略的なアプローチが欠かせないのです。

このレベルの経営者においては、マーケティングの必要性を理解していますが、戦略を持たずに直ちに施策に取り組もうとする傾向があります。例えば、「SNSをやれば上手くいくのでは」「今は動画の時代だからYouTubeだよ」「出版すれば名が売れる」といった考えにとらわれがちなのです。

では、なぜ経営者たちは、戦略の構築を省みずに施策に飛びついてしまうのでしょうか?その理由はいくつか考えられます。

1つは、座学で学んだことがない・機会がなかったからと私は考えています。マーケティングに関する正しい知識や戦略の構築方法を学ぶ機会がなかった経営者も少なくありません。

2つ目は、業者から提供される情報に振り回されているからでしょう。多くのマーケティング関連の支援事業者は、自社のサービスやツールをより多く販売することで利益を上げようとします。経営者は彼らから提供される情報や提案に影響を受けてしまうのです。

また、2つ目に関連しますが、経営者が戦略づくりにあまり価値を見出さないためか、業者の方は戦略の支援よりも、むしろより多くの施策やツールを購入してもらうことに力を入れるからです。上流の戦略づくりについては、対価を払う価値を見出してもらいにくいのです。これが3つ目の理由となります。

では、どうすれば中小企業の成長を促進するために適切なアプローチをとることができるのでしょうか?

重要なポイントは、戦略を明確にした上で施策を検討することです。事業全体を俯瞰し、未来の「あるべき姿」を明確にし、現状からそこへ到達するための「戦略シナリオ」を構築する必要があります。施策は戦略の具体化であり、戦略がなければ施策は効果的に機能しません。

具体的な施策を選択する前に、例えば、以下のようなことに取り組むことが重要なのです。

自社の強みと競争優位性の分析:

自社の強みや独自性を明確にし、他社との差別化ポイントを把握します。競合環境や市場トレンドの調査も行いましょう。

目標設定:

長期的なビジョンと目標を設定します。具体的で測定可能な目標を立てることで、進捗を把握しやすくなります。

ターゲット市場の明確化:

自社の商品やサービスが最も需要があると思われるターゲット市場を特定します。その市場における顧客のニーズや行動パターンを理解しましょう。

顧客価値の提供:

顧客のニーズや問題を解決するための付加価値を提供する方法を考えます。顧客がどのような価値を求めているかを把握し、それに対応する商品やサービスを提供しましょう。

マーケティング戦略の構築:

選択したターゲット市場に対して、どのようにアプローチし、顧客との関係を構築していくかを計画します。プロモーション、価格戦略、流通チャネルなど、適切なマーケティングミックスを組み合わせて戦略を構築しましょう。

施策の具体化:

戦略に基づいて具体的な施策を選択します。これには、広告・宣伝活動、デジタルマーケティング、営業戦略、顧客関係管理などが含まれます。

以上、「自社の強みと競争優位性の分析」「目標設定」「ターゲット市場の明確化」などと述べましたが詳しいことを知りたい方は、下記をクリックして特別レポートを読んでみてください。

先日、有名な外資系企業を何社も渡り歩き、現在は大学でも教えているという方のセミナーを視聴しました。内容は良いのですが、横文字のオンパレード。カスタマー・セントリック、ブランドテイスティング、エクセキューション、スタテック…、などなど。アメリカで長らく学んだ私にさえ耳障りでしたが、このコラムに書いたようなレベル1~4の経営者の目には理解できない世界に映るのではと感じました。

お気づきかと思いますが、多くの中小企業では、いきなり「施策の具体化」から検討してしまうケースが非常に多いです。これが失敗の原因なのです。

戦略と施策は相互に関連しており、戦略が施策を導くべきです。戦略を軸に据え、長期的な視野で事業を展望し、成長に向けた効果的な施策を選択していくことです。

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