【関口のつぶやき、感じたこと 090】 

2024年 1月 28日(日

  • 自治体営業
  • 戦略シナリオ
  • ターゲットの課
  • リサーチ

こんにちは、関口です。

前回のコラムでは「中小企業のための自治体営業:成功への挑戦と駆け引き」というタイトルで、自治体営業における代表的なメリットとデメリットについてお伝えしました。

自治体営業には、新市場(自治体)の開拓、信用力の向上、社会貢献などのメリットがある一方、時間がかかり、我慢が必要であるというデメリットがあります。

これらの点を踏まえ、今回のコラムでは中小企業が自治体営業を成功させるための戦略的アプローチについて少し掘り下げていきます。

なお、ここでは昨秋の洋上風力発電を巡る汚職事件に見られた、議員などに近づいてカネを積んで便宜を図ってもらうという昭和の時代にはよく行われていた不適切な方法ではなく、正当な手法での自治体営業に焦点を当てます。

自治体営業を考慮する際に最も重要なのは戦略シナリオを描くことではないかと私は考えています。この戦略シナリオを作成するには、前述のメリット・デメリットを理解し、可能性とリスクを考慮する必要があります。時間軸の概念も不可欠です。

参入の可能性に焦点を当てた場合、まずは「わが社は自治体との新規契約を勝ち取れるのか?」および「参入の余地はあるか?」を判断することが求められます。では、どのようにしてこれを見極めるのでしょうか?以下に3つのポイントを挙げます。

 

ターゲットの明確化

はじめに、自社の製品やサービスが最大限の効果を発揮できる自治体を特定しましょう。これは、どの部署がどの業務(事業)を担当しているかを詳細に調べることから始まります。

これについて「当社は〇〇の技術を持っていますが、何かお役に立てますか?」といった一般的な問い合わせでは、ほとんどの場合、成果を得ることは難しいでしょう。そうした表面的なアプローチは、すぐに退けられる恐れがあります。

そのため、特定の部署(課)の特定の事業に注目し、どのように自社が貢献できるかを具体的な仮説として事前に検討しておくことが重要です。自治体では、課が独立した意思決定機関のように機能していることが多いため、ターゲットとする課を特定することが不可欠です。役所の代表番号に電話し、「当社は〇〇の技術を持っていますが、どの課に問い合わせすればよいか」などと尋ねても、望む回答は得られません。

低コストのリサーチ

「ターゲットの明確化」を進める上で欠かせないのが、自治体が直面している具体的な問題やニーズの理解です。市場調査は不可欠ですが、コストと時間を最小限に抑えるためにオンラインのリソースや地域のネットワークの利用が効果的です。自治体のウェブサイトや公開会議(議会)の記録、議員ブログ、関連団体からのレポートなどは貴重な情報源となります。

ただし、一般向けに公開されている情報には、表面的な内容が含まれることが多々あります。これは、いろいろな影響を配慮して綺麗ごとを並べているだけのことがあるということです。そのため、ターゲットとなる自治体事業、あるいは、それに類似した事業に実際に携わっていた人から協力を得ることが、より具体的で信頼性の高い情報を得る上で最も効果的な方法です。

競合状況の分析

「低コストのリサーチ」の重要な一環として、自治体市場における既存の競合他社との関係を把握することが不可欠です。具体的には、他の業者や地元の研究機関などが当該の自治体にどの程度深く関与しているかを確認することが求められます。

市場に「チャンスあり」と感じても、地元の特定団体や研究機関が既に強固な関係を築いている場合、新たな業者(新参者)の参入は難しいかもしれません。このような状況を早期に見極めることは、無駄な営業活動を避け、より効果的な戦略を立てるために重要です。

これらのポイントを通じて、中小企業は自治体市場への参入の余地を効果的に見極めることができるはずです。次回のコラムでは、自治体市場への参入の可能性を見極めたという前提で取り組むべきことについて紹介します。

地方自治体市場への進出戦略:小さな実績をもとに全国展開を目指す

  • 地元自治体から他の自治体への展開
  • 自治体と連携してメディア露出を獲得する

自社ブランドによるBtoC市場進出:ストーリーテリングとメディアを活用して飛躍する

  • 独自のストーリー
  • それを活かしたメディア戦略

年間売上10億円規模の中小企業の新規事業向け

勝てる新規事業の戦略とマーケティング

特別レポート002

「損益構造の見える化」で収益最大化を目指すポイント!

「成功パターン」をつくるためにと題して経営者や事業の責任者にお届けするコラム。6つのテーマに分けてお届けします。

経営者向け
テーマ別 最新5コラム