【関口のつぶやき、感じたこと 087】 

2023年 11月 24日(金

  • 自治体営業
  • 民間営業
  • 関係構築
  • 高齢福祉
  • 地域包括ケア

こんにちは、関口です。

私は2010年に介護ロボットの普及・啓発事業(神奈川県事業)に関わり、これが地方自治体との取引に深く関わるきっかけとなりました。その後、介護ロボットおよびその関連テーマを中心にいくつもの自治体と取引する機会に恵まれました。

こうした長年の経験を通じて、自治体営業において特筆すべき点や、民間企業とのアプローチの違いについて、いくつかお伝えしたいと考えています。

自治体へのアプローチ:驚くほどの返信率と成功の秘訣

まず、挙げたいのは返信率の高さです。私の事業では、ホームページの問い合わせページを通じて、「SEO対策を支援します」「動画編集を行います。何でもお任せください」「営業活動の代行をします」といった営業メールが頻繁に届きます。

これらのメールの多くは、コピペで同じ内容を一斉送信していると思われます。このような明白な営業メッセージを県庁や市町村に送ったことはありませんが、一定程度カスタマイズした内容であれば、非常に高い返信率を得ることができます。翌日に返信が届く場合もありますし、2〜3週間ほど待つこともありますが、返信率はほぼ100%に近いと言えます。ただし、営業っぽさを少しでも見せるとそれが大きく下がります。

民間企業に同様のメッセージを送っても、多くの場合は無視されてしまいますが、自治体では異なるのです。ただし、「動画編集を行います」といった営業メッセージでは返信が期待できません。自治体の問い合わせフォームには、「特定の個人や団体を誹謗中傷するもの、企業などの営業活動、政治・宗教に関するもの等には返信しない」などと記載されていることがあります。

また、メッセージにはカスタマイズが必要ですが、中でも部署名が重要です。都道府県庁や市町村と連絡を取りたい場合、担当の課にメッセージを送ることになるでしょう。例えば、私が連絡を取ることが多い高齢者福祉を担当する課は、自治体によって高齢者支援課、高齢福祉課、長寿支援課、地域包括ケア推進課などと異なる名称を持っています。

なお、初めのコンタクトでは、自治体のホームページに設置された問い合わせフォームを利用するのが良いでしょう。ほとんどの自治体のホームページには問い合わせフォームが設置されています。設置されていない場合でも、メールアドレスが記載されているはずです。

民間営業の常識が通用しない

次に、民間営業の常識が通用しない点についてお伝えします。民間ではキーパーソンに気に入られるために贈り物をしたり、飲食をともにする接待が一般的に行われます。しかし、自治体に対するアプローチでは、こうした手法が有効ではありません。

自治体との関係構築において、ギフトや接待は効果的ではないのです。これらは迷惑行為となり、マイナスの印象を与えることがあります。自治体は公共の責任を担い、透明性と公平性を保つことが求められます。そのため、個別の担当者への贈答や特別な扱いは、コンプライアンスの問題を引き起こすことになりかねません。

自治体では業務上の公正性を保つため、外部からの影響を最小限に抑えることが求められます。だから、民間企業が行っているような個別のキーパーソンへのアプローチや特別扱いは、自治体においては望まれません。年賀状を送る習慣もありません。公務員に年賀状を送っても返信がないのは当然です。その逆もまた同様です。

したがって、自治体との取引や関係構築を考える際には、贈り物や会食といった民間で行われている一般的な営業手法は避けるべきです。よくある一方的な売り込みもダメです。代わりに、地域の課題解決につながる提案や計画書を通じて、明確かつ公正な情報提供を行い、自治体との協力関係を築くことが重要です。

売り込みではなく、地域の課題に対する具体的なソリューションを共に考え、実現に向けて協力する姿勢が求められます。自治体とのパートナーシップは、地域社会全体の発展に貢献する可能性を秘めています。そのため、相手先である自治体のニーズや課題を理解し、真摯に向き合いながら解決策を提供することが、持続可能な関係構築の鍵となるはずです。

 

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