【関口のつぶやき、感じたこと 084】 

2023年 9月 10日(日

  • 10億円企業
  • 設計図
  • 社長
  • ビジネスモデル

こんにちは、関口です。

今回のコラムでは、10億円企業を築くアプローチについてお話しします。

10日ほど前のことですが、地方都市に出張した際、レストランの待ち時間に立ち寄った書店でたまたま見つけた本がありました。その本には『10億円企業への最短距離を教えます』という大胆な約束が載っており、その自信に引かれ、購入してみました。

この本は、元船井総研の五十棲氏によって執筆されたものです。私が購入したのは、2005年に出版された本の新装版でした。2005年といえば、中小企業で仕事をしていた私は、船井総研のセミナーに何度か参加し、研究会にも入会していた時期でもあります。

当時、「船井総研といえば五十棲」というほど、社を挙げて五十棲氏を売り出していたので私もよく知っていました。五十棲氏はスターコンサルタントでした。船井総研という会社を売り出すために、この人が広告塔の役割を果たしていたのです。

そんなこともあり期待と興奮を胸に、私はこの本を読み始めました。しかし、正直なところ、その内容は『10億円企業の設計図』という表現に対して、大げさで抽象的でした。中小企業の中でもまともな会社では当たり前のこととして行われている内容ばかりが紹介されていると感じられました。

というのも、同じ頃、私は「ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング Webマーケティングの成果を最大化する83の方法」という北の達人コーポレーションを創業した木下氏のWebマーケティングの本も読んでいました。そちらは実用性が高く、具体的な手法が数多く示されていました。

一方、五十棲氏の本は、商品設計から店舗設計、集客設計、採用設計、教育設計、理念設計といった多岐にわたるトピックを網羅しているため、それぞれの内容が抽象的に感じられたのです。しかも、10億円という数字を示しながら、そこへ到達するためのロジカルなステップは何も示されておらず、10億円がどのように達成できるのかという点に関する根拠らしきものはありませんでした。

五十棲氏の本は、「売上2億円の会社を10億円にする方法」というタイトルですが、2億円、3億円くらいの売上がありながらも、商品開発から顧客の獲得まで何もかも社長がやってしまうような会社が取り組むべきことが紹介されているという方が適切な表現かと思います。

独立して活動している経営コンサルタントの中には「社長が不在でも会社がまわる」「仕組みで会社を動かす」などというスローガンを掲げて中小企業にコンサルティングを行っている人がいますが、これらは五十棲氏の主張と同じです。五十棲氏の本を参考にしてコンサルのメニュー(パッケージ)をつくり上げたと思われる人もいます。そして「10億円」という表示についても、単なる客寄せ用の数字として使われていることがよくあります。

蛇足ですが、この本を参考にすれば、1回目の訪問では「集客設計」、2回目は「理念設計」、3回目は…、計10回訪問で350万円などというパッケージ型のコンサルティングメニューがすぐにでもつくれそうです。このようにコンテンツは簡単にパクることができますが、それで売れるようになるわけではありません。

とにかく、この本は『売上2億円の会社を10億円にする方法』というタイトルで執筆されており、売上規模が2億円から3億円程度の小規模企業が対象とされています。前述の通り、何でも社長がやってしまう会社のための本です。

この本のポイントは、10億円企業のビジネスモデルを構築するには「設計図」が必要ということ。これは経営システムのことであり、「10億円企業の設計図」を持っていれば、失敗のリスクを減らし、スムーズで効率的な成長を実現することができるとのことです。

では、この「10億円企業の設計図」が具体的にはどのようなものなのか、それについて五十棲氏は「ビジネスモデル=マーケティング+マネジメント」と定義しています。ただし、このビジネスモデルの定義は少し独自のものとなっています。ビジネスモデルの詳細については、私が執筆した無料レポート「勝てる新規事業の戦略とマーケティング 」に詳しく説明されていますので、興味があれば参考にしてみてください。ちなみに、この無料レポートの「パート10」は「利益を生むための設計図:ビジネスモデルと損益構造の設計」というタイトルで紹介しています。

「ビジネスモデル=マーケティング+マネジメント」という表現について、2億円規模の経営者にとってはシンプルでわかりやすいと思います。このビジネスモデルは、大きく2つの要素、すなわち「マーケティング」と「マネジメント」から成り立っています。

そして、マーケティング面については、それをさらに「商品設計」「店舗設計」「集客設計」「営業設計」「実務設計」「アフターフォロー設計」「クレーム処理設計」といった分野に分類しています。一方、マネジメント面については、「採用設計」「教育設計」「管理設計」「評価設計」「理念設計」という要素に分解してありました。

五十棲氏が指摘するように、ビジネスの成功には「気合」「根性」「汗」ではなく、「仕組み」「構造」「設計図」が必要です。そして、この変革の最大の要因は、何よりも「社長自身」であることを理解しなければなりません。

このコラムの冒頭において、私はこの本に書かれていることは「まともな会社では当たり前のように行われていること」と指摘しました。しかし、現実にはそれが実行できていない企業がかなり多いのです。したがって、この本の内容をもう少し詳しく紹介したいのですが、それについては当コラムの「経営・戦略」セクションにて改めて説明します。

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