【関口のつぶやき、感じたこと 080】 

2023年 7月 4日(火

  • 野口悠紀雄
  • 2040年の日本
  • GDP
  • ロボット

こんにちは、関口です。

6月下旬に野口悠紀雄氏の書籍『2040年の日本』を読みました。この本はタイトルにある通り、2040年の日本の姿を予測したものです。読んだ感想を一言で表現すると「少し期待できることもあるが、もうため息しか出ない」ということになります。

「日本の将来は、必ずしも明るいものではない。それは、人口の高齢化が避けられないからだ。これは、労働力の減少や社会保障負担の増加という形で、将来の日本人の生活に重くのしかかってくる。」と書かれている通り、明るくないのです。

この本の中から気になったところを以下の通り3点に絞って紹介します。

1つ目はGDPについては低成長が続き、日本がますます「賃金の安い国」になっていくことです。高齢化がさらに進んでいく日本は、世界全体の中では豊かな国であり続けます。しかし、新興国との差は縮まっていくとのこと。既に一人当たりのGDPは、円安の影響もあり、お隣の台湾よりも低くなっています。今後、GDPが年に1%成長するか・しないかの日本は、大きく成長していくアメリカ、中国、インドとの差がさらに開いていくのです。

2つ目は、高齢化の進展によって医療・介護の需要が増大する結果、医療・福祉産業が拡大し、2037年には就業者数で見て日本最大の産業となることです。野口氏は医療・福祉以外の産業は就業者数で見て減少していくので、「ごく少数の例外を除いて、今後は量的な拡大を期待することができない。成長を前提とした経営戦略は成り立たないのだ。」と述べています。

ちなみに、私は人材不足に悩まされている介護分野にロボットを普及させる仕事に2010年から関わっており、これまで講演などの場で話す機会が非常に多くありました。介護人材不足の解決策としてロボット技術を生かす取り組みが行われているのです。これまでに、国や自治体も介護ロボットの活用を推進しており、他にも高齢者や女性の活用、海外からの労働者の受け入れなども取り組まれてきました。

ところが、日本がますます「賃金の安い国」になると、海外から働き手がやってくることに期待ができなくなります。現在、ベトナム人などが日本の介護施設で多く働いていますが、そのうちに日本行きを希望する人の数が大幅に減っていくことでしょう。

しかも、海外からの労働者に頼ることができなくなるだけではなく、既に起き始めていますが、日本で経験を積んだ若者がより賃金の高い国を目指して出稼ぎに行くようになるでしょう。これにより、労働力不足がより深刻化し、介護分野を含む他の産業にも大きな影響を与えることが懸念されます。

3つ目は、日本の大学の立ち遅れについての指摘です。野口氏は本の中で「日本の経済力が低下し、世界におけるシェアが低下していると言われる。しかし、それよりも、大学における国際的な地位のほうが低いことになる。」と述べています。また、彼は「日本が世界水準に追いつくには、大学での研究教育を根本から組み直すことが不可欠なのだ。大学教育の状況は、未来を映し出す鏡だ。根本的に改革しない限り、日本に未来は開けない。」と主張しています。

野口氏の本には書かれていませんが、このような日本の将来を懸念した親たちは、子供の将来を考えて、「子供の教育は海外で受けさせてあげよう」と考えるようになると思います。実際、近年、国内でインターナショナルスクールの開校が増え、その需要が高まっているという報道をよく目にします。

何かと物価の高い海外への留学は高額になるため、平均的な家庭の人々は諦めざるを得ない状況になるかもしれません。しかし、経済力のある家庭では、子供たちを海外や国内のインターナショナルスクールに進学させる傾向が強まり、その結果、日本がますます取り残されていく可能性が心配されます。

 

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