【経営コンサルタント047】 

2021年 5月 25日(火)

こんにちは、関口です。

前回の「週刊東洋経済から学ぶコンサル業界なう」と題したコラムの最後に、「船井総研のやり方は、是非とも独立したコンサルタントが学ぶべきと思っています。詳しいことは次回のコラムでお伝えすることにします」と述べました。

そこで約束どおり、今回は「独立した経営コンサルタントは船井総研を参考にしよう」というタイトルでお伝えします。

まず、あなたのスマホで今すぐ、船井総研のホームページをチェックしてみてください。

トップページに「あなたに特化した業種・テーマから閲覧できます」と記載された検索窓が目に入るはずです。これが重要なのです。

つまり、独立した経営コンサルタントが、見知らぬ潜在顧客に見つけ出してもらうためには、業種やテーマを特化するという方法が良いのです。もちろん、これしかないというわけではなく、例外もあります。

例えば、ビジネス出版し、それをマス媒体の力で大きく宣伝し、認知させるようなやり方で集客する場合です。あと、タレントやある分野で既に名前が売れているような人も例外に該当します。カリスマを演じながらファン化させた個人事業主を相手に、かなりの高値で芋づる式に販売する方法もあります。このように例外はいろいろあります。

とにかく、まずは船井総研のやり方について詳しく説明する前に、経営コンサルタントとして独立しても上手くいかない人によく見られるやり方についてお知らせします。

経営コンサルタントとして独立したものの、上手くいかない人たちにはある共通があります。ちなみに、ここで言う「上手くいかない」というのは「自分の企画で集客することができない」ということを意味します。

また、一つ注意していただきたいことがあります。それは、なにも「自分の企画」で集客は一切できなくても、「他人の企画」に便乗する方法だけでも十分に生計を立てることができるということです。

例えば、月曜・水曜・金曜日は、地元のなんとか支援センターで相談員として働き、残りの火曜・金曜日はよろず支援拠点のコーディネーターとして働いているようなコンサルタントは多数います。

このような人たちは「他人の企画」に便乗した働き方をしているのですが、なにも「自分の企画」で一切の集客ができなくても、経済的に困ることはありません。ホームページがなくても全く問題ありません。

「コンサルタントです!」と名乗れば誰もが「経営コンサルタント」になれるのです。学歴も資格の有無も関係ありません。しかも、働き方もさまざま。フルタイムで働く必要もないのです。だから玉石混交といえる世界なのです。

とにかく、ここでは「自分の企画」で集客するということを想定した上で話を展開しています。上手くいかない人たちに共通することは、支援の対象がハッキリしていないということです。別の表現をすると支援が総花的になりがちという特徴が見られるのです。当の本人は全くそのつもりがなくても「なんでも屋」を演じているのです。

これは、「マーケティング」または「営業」、あるいは「財務」などという大きく・抽象的な括り(分野)で勝負しようとすることと同じです。「マーケティング」という表現については、人によって解釈がマチマチです。広告・宣伝がマーケティングだと考えている人がいるかと思えば、営業(セールス)との違いが全くわかっていない人も少なくありません。だから、マーケティングと伝えただけでは、よくわからないのです。

同様に、「財務」と伝えただけでは、人によって解釈がバラバラです。「財務ということは財務諸表を作成する業務のことかな?」「あれっ、それだと経理の仕事とは何が違うのかな?」などと、考えを巡らせば巡らせるほど頭の中が混乱してくる人がいるはずです。

このようにマーケティング、あるいは、財務などと表現しただけでは上手く伝わらないのです。だから「マーケティングを支援します」「中小企業の財務を支援します」などという打ち出し方ではなかなか伝わらないでしょう。

それにも関わらず、さらによろしくないことを行う人がいます。それは、「マーケティング」も「営業」も、そして「財務」も支援します、などと欲を出して自身の範囲をさらに大きく広げてしまうことです。

おそらく、本人は守備範囲を広げれば、誰かしら引っかかるのではと期待しているのかもしれません。これは、本来なら「オムレツの専門店」として売り出して地位を確立すべきところを、「他にも、いろいろメニューにあった方が売れるのでは?」などと考えて、サンドイッチ、パスタ、ピザ、カレーなどと品目を追加していき「なんでも屋」になるような感じです。

さらに追加して、これ以上によくないケースを目にすることがあります。上記のように複数の分野を並べているのに、「補助金獲得の支援」が主たる業務であるかのような情報発信をしているケースです。よく目にするのが「ものづくり補助金」、今だと「事業再構築補助金」です。そして、認定経営革新等支援機関や登録確認機関などと名乗り出したりするのです。

このように、一人で商売しているにも関わらず、総花的で何でも屋さんになっているのです。しかも、補助金情報をキャッチすると、いきなりそちらに業務が傾いてしまうことも。もちろん、このやり方は、ある条件下において通用するのですが・・・。

では、なぜ、上に書いたようなやり方をするコンサルタントが意外と多く存在するのでしょうか? 

私は、いろいろなコンサルタントを見ていくうちに、このような人たちに「共通すること」に気づきました。その共通することとは「公的支援サービス」への関わりです。あるいは、「ある資格」で自身を売ろうとしていることです。

よろず支援拠点やなんとか支援センターなどの業務は、地域の産業振興を目的としています。とんかつ屋、塗装屋、人材派遣、自動車修理など、あらゆる業種の人に門戸を広げて業務を行います。だから、各コーディネーターに特定の専門分野があったとしても、それを強調することはあまり歓迎されません。

「私は異業種からサ高住へ新規参入する事業者を専門に支援します」などと主張したら、地元の中小・零細企業に対して幅広く相談業務を行うことができません。門戸を閉ざしてしまうことになります。だから、「私はマーケティング・営業、それに財務にも精通しています」などと守備範囲を広げて名乗る方が歓迎されます。

結果として、「公的支援サービス」に深く関わっていると、「私はマーケティング・営業、それに財務にも精通しています」などというスタイル(売り出し方)が当たり前の世界に身を置くことになります。周囲の仲間たちもそのような売り出し方をしています。だから、これが自身のスタンダードになってしまうようです。

つまり、公的支援機関のコーディネーターという肩書を使って仕事をする際のやり方を、「ひとり経営コンサルタント」として自分の企画で顧客を開拓する際に、そのまま使おうとしてしまうのです。

では、私がおすすめする船井総研は、どのようにしているのでしょうか?

船井総研のホームページの「初めての方へ」ページに「4つの特徴」という欄があります。トップに記載してあるのが「業種業界、テーマごとに専門性の高いコンサルタントが在籍」という表現です。その近くには「船井総研のコンサルタントは…」「各業種・各テーマの第一人者」とも書かれています。

どのコンサルタントも特定の業種やテーマにフォーカスしているのです。しかも、製造業業、サービス業などという大きな括り(大分類)ではありません。例えば、「メディカル・ヘルスケア」欄をチェックしてみると、「病院・クリニック」「歯科医院」「治療院」「動物病院」「調剤薬局」などと細かく分かれています。巷では「医療・介護」などと医療と介護を一緒に扱っているケースをよく目にしますが、船井総研では医療と介護をそれぞれ分けて扱っているのです。

ちなみに、介護については「介護・シニア・福祉」という括りの中に入っていますが、彼らが提供するセミナーはさらに細分化されています。「老人ホーム紹介ビジネス」「デイサービスビジネス新規参入」「デイサービス収益改善」「サ高住収益改善」などとニッチ化したテーマを案内しています。「介護」という大きな括りで一緒くたにしていないのです。

同様に、彼らの研究会に注目してみましょう。こちらについても「訪問鍼灸マッサージ経営研究会」「自費リハビリ経営研究会」「福祉用具&リフォーム経営研究会」などと細かなテーマ毎に研究会が運営されていることがわかります。

このように細かく分けたテーマを、数名の社員で担当しているのです。私が10年以上も前に参加した研究会では、たった一人の社員が全てを担当していました。

「週刊東洋経済から学ぶコンサル業界なう」のコラムにも書きましたが、船井総研が主催する複数の研究会に参加して感心したのは、若手のコンサルタントが非常によく勉強しているということです。業種やテーマについて徹底的に情報を収集しているのです。主たる事業者のホームページや動向を調べ上げるだけではなく、広告、業界関連のメディア記事、論文など、さまざまなことを徹底的に調べ上げているのです。もちろん、研究会に参加している企業からも情報を入手しています。

先日、私が「戦略プロセス経営実践会」とは別に運営しているロボット関連のサイトに、3時間以上もアクセスした上、さまざまなページをチェックしている人がいました。調べたところ、すぐに船井総研の人であることがわかりました。しかも、その前後にも1時間以上のアクセスが複数回も続いていました。おそらく、その担当者は私のホームページに記載してある情報を根こそぎ調べ上げたのかと思われます。

業種やテーマにフォーカスすれば、こういう取り組みが容易になります。また、経営者から見ると「船井さんのコンサルタントは若くて事業会社の経験はないけど、ウチの業界に造詣が深い」「若いけど、なかなか頑張っている!」などと高く評価されるはずです。

もし、あなたの目の前に「サ高住ビジネスの新規参入を検討している」という経営者がいると仮定しましょう。この経営者は、船井総研が主催する「サ高住ビジネス参入セミナー」と、(仮に)あなたが主催する「マーケティング・営業セミナー」という2つの異なるセミナーを目にした際に、どちらに惹かれると思いますか? 

答えは明らかですね。

しかも、「サ高住ビジネス参入セミナー」の主催者は「船井総研」という立派な看板を背負っている一方、「マーケティング・営業セミナー」を主催するあなたは、(相手からみると)どこの馬の骨だかわからない(信用できない)人物ということになります。仮に船井総研の担当者が入社2年目の若造である一方、あなたが社会人経験25年以上の40代半ばであり、明らかにあなたの方が遥かに優秀だとしても、あなたが選ばれることはないでしょう。

理由については説明するまでもないかと思います。

こういうことからもわかる通り、「私はマーケティングも営業も、それに財務も支援します」などというアプローチでは、何かしらのご縁を通じてあらかじめ人間関係を構築する取り組みをしない限り、あなたの存在は潜在顧客の目に留まることがないはずです。

ここまでお読みになると「では、船井総研のマネをすれば良いのでは?」などと単純に考えてしまう人がいるかと思います。

その発想は良くないですね。同じ土俵で、同じ武器を使って、同じやり方で勝負しようとすることが良くないのです。

そこで、潜在顧客(ターゲット顧客)の視点でいろいろと検討してみましょう。

船井総研のコンサルタントと比べて、明らかにあなたが負けてしまうことは何でしょうか? 例えば、ブランド力、会社の信用力などはかなうはずがありません。

逆に、あなたに勝てることは何かないでしょうか? 例えば、あなたはよりキャラを立たせることができるはずです。一方の大企業のサラリーマンコンサルタントには、会社の看板を背負っているのでこれは難しいはずです。他に何か勝てることはないでしょうか?

こういったことを、船井総研に限らず、ターゲット顧客からみた他の選択肢などに対して行ってみることです。そして、ご自身の競争優位性や主張を明確にした上、事業を設計していく必要があるのです。

独立した経営コンサルタントとして自分の企画で仕事を取りたいなら、(タダでサービスを提供する公的支援機関のマネをするのではなく)中小企業向けコンサルのトップ企業の集客方法に注目すべき。私が作成した特別レポートの詳細はこちら。

大企業のマネごとのようにデザイン性に富んだホームページをつくり、「マーケティングも営業も、そして財務も支援します」などと主張しているだけでは、大苦戦が続くはずです。

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