【経営コンサルタント069】
2025年 10月 17日(金)
こんにちは、関口です。
2005年頃から20年にわたり、多くのひとりコンサルタントや中小企業診断士を見てきて痛感するのは、「同じように経験や知識を持っていても、結果がまったく違う」という現実です。
資格や実務経験があれば一定の信頼は得られますが、今の時代は「何を知っているか」「何を経験したか」よりも、「それをどう伝え、どう使ってもらうか」が成果を左右します。
つまり、知識や経験の“見せ方”と“活かし方”のデザインが、成功と失敗の分岐点になっているのです。この傾向は特に、個人事業主や小規模企業を相手にする場合に顕著です。
また、情報が限られていた時代には、知識そのものが価値でした。しかし今は、AIやYouTubeが24時間いつでも“答え”を提供してくれます。
もはや誰でも情報にアクセスできるため、素人であっても「専門家らしく見せる」こと自体は難しくありません。
その結果、今では「AIを活用して成果を出せる(専門家を演出できる)人」「顧客の状況に合わせてツールを使いこなせる人」のほうが評価される時代になったといえます。
現代はまさに「情報の民主化」の時代です。
検索すれば理論も事例も瞬時に手に入り、AIに質問すれば整理された答えが返ってきます。その結果、知識の希少性は急速に失われました。
かつては「知識があって、難しそうなフレームワークを使って説明できる」だけで価値がありました。しかし今、顧客が求めているのはそんな理屈ではなく、現場で成果につなげる力です。
「自社の場合は、何を選び、どうすれば成果が出るのか」「社員にどう浸透させるのか」──
そうした実行支援に価値が移っているようです。
また、AIの普及によって見せかけの情報やフェイク広告が増えています。
だからこそ、本物の知見と誠実な姿勢が信頼の源になります。
AIが進化するほど、“知識を教える人”ではなく、“知識を文脈に合わせて使える人”が評価されるようになります。そして、最終的に顧客が重視するのは『誰から学びたいか』『誰と一緒に考えたいか』という信頼軸へと変わっていくでしょう。
経営者にとって外部人材を活用するハードルは劇的に下がり、選択肢が増えました。
今では、クラウドソーシングや副業案件のプラットフォーム(募集サイト)を通じて、全国から優秀な人材を手軽に探し出せるようになりました。
多数の応募者の中から、厳選できるのです。
「以前はコンサルタントに月20万円も払っていたが、今では月5万円で優秀な人材に支援してもらえる」──
そんな時代です。
一方のコンサルタントも、仕事が取れなくても「サラリーマンに戻らなければ生きていけない」わけではなくなりました。
オンライン講座やコミュニティ運営、副業案件やクラウトソーシングへの応募など、稼ぎ方の選択肢は確実に増えています。
しかしその裏では、公的および民間が提供する安価なサービスの台頭により、高単価で安定的に稼ぐことが難しくなっている現実があります。
差別化ができないまま低価格競争に巻き込まれ、時間を切り売りする人も増えています。
今後は、知識を提供したり、教えるだけで終わるのではなく、成果を一緒に生み出す存在へと変わることが、生き残る条件になるでしょう。
多くのひとりコンサルタントが抱える最大の課題は「集客」です。
SNS広告やAIを使った情報発信など手段は増えましたが、“見つけてもらうこと”と“選ばれること”は別の次元です。
また、小手先のノウハウではなく、重要なのは「出会いから信頼までのプロセスを設計できているか」です。
誰に、どんな価値を、どのように届けるか──
この導線設計ができていなければ、せっかくの情報発信も“点”で終わってしまいます。
また、成果を上げている人は、内容そのものより「表現の工夫」に力を入れています。
例えば、STPやポジショニングの話をする場合、そのまま横文字を使って理屈っぽく伝えるよりも、「競合を無力化する〇〇戦略設計法」などと言い換えてみれば、受け手の印象が大きく変わります。
つまり、伝え方と構成の設計力こそが集客の核心なのです。
稼げる人の多くは、スケーラブルに価値を提供しています。つまり、「1対1」よりも「1対多」で価値を届ける仕組みを考え出すということ。
これはセミナーや講座、動画コンテンツなどを通じて、多数に同時に、情報を提供する形です。そして、個別の案件にはあまり深入りしないのです。
また、投資とリターンを冷静に見極めています。
例えば、私が今こうして書いているコラムも、「この活動(時間の投資)が、後にどの程度のリターンにつながっているか」を定期的に検証する必要があります。
また、「お金をもらいながら出会いを増やす」──そんな仕組みを設計できる人は、安定して成果を出しています。
重要なのは、●●会のような会合への参加など、やみくもに行動量を増やすことではなく、「意味のある活動に“選択と集中”することです。
今こそ、自分自身の「稼ぎ方」と「働き方」を棚卸しする時期です。
1対1と1対多のバランス、ターゲットの明確化、時間とお金の投資対効果。
これらを整理することで、自分らしいビジネスモデルが見えてくるはずです。
2010年頃の成功パターンでは、もう通用しません。
これからは、“知識を伝える人”ではなく、“成果を共に生み出せる人”としての存在価値が問われます。
経験や知識を活かして、どの市場で、どんな形で貢献していくのか。
それを明確に言語化できる人こそ、この変化の時代を自分のチャンスに変えられるはずです。「情報の民主化」は脅威ではなく、使い方次第で最強の追い風になるはずです。