パート7】

「選ばれるコンサルタント」になるための条件

【無料公開】独立コンサルタントの成功戦略大全|法人市場で選ばれる20の実践レポート

このレポートは独立コンサルタント向けに作成しましたが、同様に18名程度の小規模な事務所を運営する税理士・社労士などの士業の方々にもご参考いただける内容です。

ひとり社長として経営コンサルタントの活動を続けていくためには、単に「他人の企画」に便乗するだけでなく、「自分の企画」を打ち出して自力で顧客を開拓できる力を身につける必要があります。

その際には、競合の存在や脅威を正しく認識した上で、「自分は何をウリにするコンサルタントなのか」「どのような事業モデルを描き、どのようなサービスを提供するのか」「そしてそのサービスを誰に向けて届けるのか」という根本的な問いに対して、じっくり検討しなければなりません。

私が提供している『今すぐ改革』というサービスでは、この点を受講者と共にディスカッションを重ねることで明確化していきます。これまで数多くの受講生と関わってきましたが、その中には「市場や顧客の視点」が大きく欠け、「自分のやりたいこと」だけを起点に事業を構想してしまい、結果として独りよがりな発想に陥っていた人も少なくありません。

先のパート(ページ)でも触れましたが、現在、中小企業の経営者の立場には数多くの選択肢があります。外部の専門家を頼らずとも、補助金制度、クラウドソーシング、公的支援機関が提供する各種の支援策を自由に比較・活用できる環境が整ってきています。

そのような厳しい環境下では、単に「コンサルタントです」と名乗るだけでは通用しません。自分を「選ばれる存在」にするための戦略が必要であり、独りよがりな姿勢では決してうまくいかないのです。

では、一体、何をするべきでしょうか? そこで図をご覧ください。

これはバリュープロポジション(value proposition)という顧客に求められているが競合他社では提供できない、自社だけが提供できる価値提案の見つけ方を示しています。

「顧客があなたのサービスを買う理由」と表現した方が理解しやすいかもしれません。図を見ておわかりの通り、「自社が提供でき、ユーザーの望むもの」である一方、「競合他社が提供していない」領域を探すのです。

つまり、「どこのセグメントで戦うべきか?」ということを見いだす必要があります。ひとり経営コンサルタントとして活躍するためには、勝てるセグメントを見つけ出し、そこで勝負することが重要なのです。

また、「ひとりコンサルタント」だからこそ認識すべきことがありますので、いくつかお知らせします。

● 優位性は失われないか?

1つ目は、「今のあなた」に何かしらの優位性があったとしても、「その競争優位性は、いつまで続くのか?」ということをよく検討してみることです。

もしかしたらあなたの優位性はサラリーマン時代の勤務先のブランドに依存していただけかもしれません。だとしたら、今後、その優位性は時間の経過とともに失われていくはずです。

同様に、サラリーマン時代の経験・知見・人脈などを生かしてコンサルタントになる人は多いのですが、ひとり社長の経営コンサルタントとして独立した際に、それをいつまで生かすことができますか? 

3年ですか? 5年くらいでしょうか? あるいは、会社(以前の勤務先)の看板がない限り、生かせないのでしょうか? 

こういうことをよく検討してみることで、会社の看板・資金力・信用があったからこそ「実現できたこと」は意外と多いことがわかるはずです。人との出会い、会合への参加、セミナー講師の依頼、…これらはどれも以前の勤務先の看板(ブランド)があったからこそ、実現したのかもしれません。

その優位性は、「独立後、コンサルタントとして仕事をしていくことで、強化されるのか」という視点でも検討するべきです。恐らく、時間の経過と共に失っていくことの方が多いのではないでしょうか?

● ひとりコンサル向けの業務かどうか?

2つ目は、業務としてニーズがあっても、ひとりコンサルタントに仕事(需要)があるのかという検討です。ひとりコンサルタント向けの仕事になるのかということ。なぜなら、一人で担当できる業務には限界があるからです。

また、「たった一人の会社」は自分では良かれと思っていても、顧客側からみた場合に「支援体制が十分ではない」「依頼するのが不安だ」などと思われることがあります。つまり、「一人で仕事をしている」ということが、仕事の獲得という面において不利に働くことがあるのです。

● 上流~下流のどこに、どのように関わるのか?

3つ目の視点は、「上流から下流までのどこに、どのように関わるのか?」という、コンサルタントとしての活動領域を明確にすることです。ビジネス的に表現すれば「自分のドメインを定める」ということになります。

現在では、ほとんどの業務に何らかのシステムやテクノロジーが関わっています。そのため、例えば「私の得意分野はマーケティングです」と説明するだけでは不十分になりがちです。市場調査や戦略策定といった上流部分の業務と、特定のツールを活用する下流の業務とでは、求められる内容は大きく異なります。

特に中小企業向けの案件では、「YouTubeやFacebook広告、MA(マーケティングオートメーション)などのツールを活用できますか?」「動画の編集はできますか?」「ホームページを制作できますか?」といった具体的なスキルを問われる場面が多く、上流よりも下流の実務的な支援を期待されるケースが目立ちます。

立派な横文字を並べて「あるべき論」を語ったとしても、実際にツールを使いこなせなければ、関われる領域はどうしても限定的になってしまいます。

特に中小企業の現場では、「理想論を語る人」「立派な企画書を書いてくれる人」よりも、むしろ「具体的に手足を動かし、目の前の作業を一緒に進めてくれる人」を求める経営者の方が多いのです。

● 「どのように関わるのか?」「顧客からどのような関わりを求められているのか?」

4つ目の視点は、「どのように関わるのか?」「顧客からどのような関わりを求められているのか?」という点です。ここでいう「関わり」とは、単に「対面するか、しないか」や「月1回訪問するか」といった頻度の問題だけにとどまりません。先のパート(ページ)で述べた通り、デジタルワークプレイスの普及によって、同じ場所に集まらなくてもプロジェクトを進められるようになりました。

例えば、SlackやTeamsといったチャットツールを使えば、クライアントのメンバーと常時つながることが可能です。一見すると非常に便利な仕組みですが、実際には注意点もあります。常にチャンネルに接続していることで、他人同士のやり取りや進捗確認にまで目を通す必要が生じ、結果として「常時拘束」されるような状態になるからです。

以前であれば訪問日に直接会う以外は、メールでのやり取りが中心であり、「メールには24時間以内に返信する」とルールを決めておけば十分でした。

しかし、チャットツールの利用が前提になると事情が変わります。たとえ自分がオフの日であっても、クライアントのプロジェクトは動いており、立場上、進捗に一定の注意を払わざるを得ません。Slackの通知を確認する、短くてもコメントを返すといった関わりが、最低でも1日1回は必要になる場合もあります。

さらに重要なのは、顧客がコンサルタントにどのような役割を期待しているのかを、事前に明確にしておくことです。

その役割は、単に「助言をしてほしい」のか、「見込み客の紹介(人脈の提供)」なのか、「企画書や報告書の提出」なのか、それとも「営業や動画編集など業務の一部を代行してほしい」のか――さまざまです。

この期待が曖昧なままスタートすると、後になって「何もしてくれない」「余計なアドバイスばかりだ」などと受け止められ、認識のズレが生じやすくなります。だからこそ、契約や合意の段階で「どのように関わるのか」を具体的に定めておくことが不可欠なのです。

● 何を優先させるべきか?

5つ目は、「何を優先させるべきか?」という観点です。

例えば「月1回の訪問で30万円」といったコンサルティングメニューを作ること自体は難しくありません。ところが、いくら体裁の整ったメニューを用意しても、1年、2年、3年と経っても契約が取れない人は少なくありません。

この状態が続くと、売上が立たないだけでなく、あなたのスキル自体が時間の経過とともに劣化していきます。かつては高い専門性を持っていたとしても、その領域の実務から遠ざかれば、最新の知識や現場感覚が薄れ、気づけば“浦島太郎”のように時代遅れの存在になってしまうのです。

その結果、本来はコンサルティングに充てるはずの時間が殆ど取れず(そもそも案件がないため)、一方で集客活動に労働時間の9割以上を奪われるという、逆転現象に陥りがちです。

SNS更新などに躍起になる一方で、肝心の「集客は成果なし」——この悪循環を招かないためにも、「今、何を最優先にすべきか」を意識的に設計し、判断し続けることが不可欠です。

● 指標を積極的に活用する

まず、「自分の強みを発揮できる土俵」を選ぶ際は、成果を数字で示せるかを考えてください。

例えば、PRなら、掲載件数・想定到達数(リーチ)・指名検索の増加・問い合わせ件数・来店/受注率の変化などのKPIで可視化が可能になります。

マーケティング系なら、リード数、コンバージョン率、CPA/CAC、LTV、回収期間(Payback)などが指標になります。

「強み × 指標(見える成果)」の組み合わせが決まれば、説得力も再現性も高まり、比較検討されても選ばれやすくなります。

● PRコンサルの例で考える

小さな会社でも、一定の規模があればPRには強い関心があります。例えば、パティスリーのような小規模事業でも、PRの巧拙が売上に直結します。

「1人会社」相手にフルパッケージのPR支援は難しくても、従業員5〜6名規模であれば、やり方を工夫することで十分に案件化が可能です。

ポイントは、売上に直結しやすいテーマで価値を設計すること。例えば、YouTube広告運用、EC構築、Zoomセミナー設計などは、比較的短いリードタイムで売上に寄与しやすく、コンサルのドメイン(領域)として成立しやすい分野と言えます。

● 反対に、成立しにくい領域もある

一方で、零細向けに成立しにくい専門領域も存在します。私の見立てでは、人材育成や財務系は、個人・超小規模の段階ではニーズが表面化しづらく、案件化が難しいケースが多いと考えています。これらは一定以上の規模を持つ企業を対象にしないと、費用対効果の納得が得られにくいのです。

さらに一定以上の規模のある企業には、顧問税理士や社労士がほぼ確実にいます。したがって、その方々が担いにくい領域(例:管理会計の設計、資金繰りダッシュボードの構築、採用〜定着のデータ連動施策 など)で目に見える差別化をしない限り、一人コンサルが自力で高単価の顧客を獲得するのは、他分野よりかなり難度が上がります。

加えて、一定規模以上の企業は体制の整ったコンサル会社を選好する傾向があります(例外は、特殊な実績・肩書がある場合や、新規・未開拓分野で大手がまだ入っていないとき)。この現実を踏まえ、どの規模の企業を対象に、どのような成果を、どのKPIを使って見せるかを設計してみると良いでしょう。

● 結論:ポジショニングを「数字」で固定する

繰り返しますが、肝は「あなたの強みを、どこで、どう生かすか」= ポジショニングです。

  • どの業種・規模の顧客に
  • どの課題で
  • どんなアプローチを提供し
  • どの指標で成果を示すのか

このセットを明文化し、提案書・LP・初回面談のトークまで一貫させましょう。

●「補助金ビジネス」への注意

補助金絡みの仕事は、獲得が容易である一方、以下の論点を冷静にチェックしてください。

  • それは本当に自分がやりたい仕事か? 強みを磨けるか?
  • その経験が次のキャリア(高付加価値の領域)につながるか?
  • 制度変更やAIの代替で、価値が急速に薄れないか?
  • 競合(支援者)が多い中で、自分が選ばれ続ける明確な理由はあるか?

制度が止まれば需要が蒸発する、という構造リスクも見過ごせません。

短期のキャッシュ確保は否定しませんが、自分の強み × 指標 × 市場の隙という軸で、持続的に優位を築けるポジションを並行して育てておくことも強くおすすめします。

本当の集客につながるのは「知恵」です

事例から学ぶ集客の知恵

STP、SWOT、USP・・・このような横文字を学んで、賢くなったつもりになってはいけません。

本当に集客につながるのは「知恵」です。現場での“ちょっとした工夫”です。

集客できないと、零細事業者は「ゲームオーバー」です。

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● あなたの強みを、どこで、どう生かすか?

これを見誤らないためには、まず「誰があなたを評価してくれるのか/しないのか」を明確にすることが不可欠です。

どの顧客層があなたの何に対して価値を見いだすのか(例:同規模・同業界の企業での勤務経験、業界の知識、資格の有無、学歴など)。逆に、どの層はその価値を感じにくいのかを言語化しておきましょう。

次に、これまでのキャリア(勤務先・役割・成果)、年齢レンジ、居住地域・アクセスといった前提を踏まえ、どのセグメントに、どの切り口でアプローチすれば最も高く評価されるかを具体化します。

例えば、「業種×規模×課題フェーズ」で仮説を立て、相手の評価軸に合う打ち手へ優先順位を付けることが重要です。

こうした整理をあなたと徹底的にディスカッションし、最適な位置取り(ポジショニング)と売り方を固めていくのが『今すぐ改革』の役割です。

最初は無料相談から、現状の棚卸しとターゲット仮説づくりをご一緒します。