パート3】

独立コンサルの競合分析と市場の脅威

【無料公開】独立コンサルタントの成功戦略大全|法人市場で選ばれる20の実践レポート

このレポートは独立コンサルタント向けと記載していますが、税理士や社労士など士業の方々にも役立つ内容を含んでいます。ぜひご活用ください。

1~8名の小規模な事業者がコンサル領域に展開する際にも活用できるヒントをまとめています。

前のパートで説明した通り、ひとり社長の経営コンサルタントを取り巻く市場は2010年頃と比べても大きく変わりました。今後も変わっていくことは間違いありません。この世は諸行無常ですから。

でも、時代が変わっても不変のことがあります。それは顧客から「選ばれる存在」でなければならないということ。先に述べた通り、今の時代、顧客(経営者)にはさまざまな選択肢があります。公的機関へ行けば、中小企業診断士などが務めている相談員(コーディネーター)からタダでサービスを提供してもらえます。

そんな中、「どうすればあなたが選ばれる存在になれるのか?」ということをよく検討しなければなりません。

「どうすれば、あなたが選ばれるのか?」

この答えについては人それぞれです。ただし、ハッキリしていることは、見込み客が持っている他の選択肢を知ることで、あなたのやるべきことがより見えてくるということ。まさに「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という通りです。

ひとり社長の経営コンサルタントとしてご自身を売り出すためには、主たる競合や脅威について理解した上で、「自分は彼らと比べて何が違うのか?」「彼らよりも優れている点(彼らに勝てること)は何かないか?」「負けてしまうことは何か?」などという意識を常に持つ必要があります。その上で自身のポジショニングを明確にするのです。

ところで、ひとり社長の経営コンサルタントの主たる競合や脅威は、一体何(誰)になるのでしょうか?

最も稼げるのは、零細・個人事業主向けに「1対多」で高額講座(高額塾)+α(コンテンツ・情報商材の販売など)を提供する方法です。しかし、ここは猫も杓子も参入できる超激戦区。一般の企業向けのコンサル集客とは異なるスキル(実際よりも遥かに大きく見せる・その気にさせる演出力など)が必要です。おまけに、常に下剋上が起こり長居することが難しいのです。そこで、ひとりコンサルタントには「小企業」向けをおすすめしています。
このレポートではあなたが「小企業」から仕事を獲得するという前提で話を進めています。

その1つ目は公的支援機関です。代表的なのが「よろず支援拠点」ですが、他にもさまざまな支援機関があります。国、都道府県、それに市町村単位で中小企業向けの支援が行われており、多数の団体(支援機関)が存在します。

このような公的支援機関で仕事をしている相談員の多くは、コーディネーターという肩書を貰って週に2日、3日ほど仕事をしています。中小企業診断士の有資格者が多くを占めています。彼らは、一旦、契約すると1年間の雇用が保証されます。

また、翌年度も契約を更新するために、一定の実績を残そうとする人が少なくありません。その実績とは件数なのです。相談件数や支援した案件の数などが該当します。

そのため、「無料なのでぜひ、ウチのサービスを利用しませんか?」などと地元中小企業の経営者に対して営業活動を行うことがよくあります。そして、「無料ならぜひ月に1回、半年ほど相談に乗ってもらおう」「こういう公的支援機関の人とつながっていると、新たな補助金情報を教えてくれるから利用しよう」「断ってしまうと、〇〇補助金の審査の際に不利になるかもしれない」などと考えて、特に必要がないにも関わらず、安易な気持ちから公的支援機関のサービスを利用する経営者も多いのです。

事実、公的支援機関の指導を受けることが補助金を貰うための条件になっていることがよくあります。

● 無料や格安料金で多様なサービスが提供されている

さらに、このような支援機関には「専門家派遣事業」のサービスがあることが多く、中小企業は格安の料金で専門家を派遣してもらうことができます。無料や格安料金で多様なサービスを提供してくもらえるのです。

ちなみに、よろず支援拠点がスタートしたのは2014年。以前はその存在について知らない経営者が多かったのですが、2020年以降はコロナ関連の給付金・補助金絡みの相談窓口の役割を担い、中小企業の経営者の間でかなり知名度が高まりました。

よろず支援拠点のホームページに数字が公表されていますが、初年度に65,737件だった相談件数は2020年度には432,640件と6倍以上にも増加しました。2022年度には50万件を突破しましたが、これは恐らく補助金の影響が大きいと思います。よろず支援拠点の存在はコロナ禍の影響で一躍知られることになったと言えます。

2つ目は他の民間サービスです。副業人材、クラウドソーシング、顧問サービスなどのサービスを提供する会社があります。これらについては先のパートにて詳しく説明した通りです。

以前は完全に部外者であった大手企業のサラリーマンが副業人材として中小企業のコンサルティング業務に従事するようになったのです。彼らは、本業でそれなりの給与を得ており、副業のコンサルティング業務で大金の獲得を期待することはありません。

しかも、会社(本業)の仕事を通じてさまざまな情報を持っており、ネットワークも有しています。このような人たちとも競争を強いられるのです。

● お金関連については、まず顧問税理士に相談するが…

3つ目の相談先は「顧問税理士などの支援事業者」です。一般的に、中小企業であっても少し規模のある会社であれば顧問税理士を抱えているのが普通です。そのため、資金繰りやお金絡みの悩みがある場合、経営者はまず顧問税理士に相談します。

もし顧問税理士が「自分たちの力では手に負えない」と判断すれば、「この案件であれば○○さんが詳しいですよ」といった形で他の相談先を紹介することがあります。経営者は、その紹介を受けて新しい事業者に相談を持ちかけることになります。

裏を返せば、顧問税理士からの紹介がない限り、経営者は資金繰りやお金絡みの悩みについて、他の選択肢を探そうとはしません。つまり、多くの企業は税務や財務に関してまず顧問税理士に頼り、それでも解決できない場合に限って他のサービスの利用を検討するのです。

そのため、財務・経理を売りにするひとり社長のコンサルタントは、顧問税理士が対応できない領域を狙わなければ、どうしても苦戦を強いられるでしょう。

さらに追い打ちをかけているのが、freeeのようなSaaS型サービスやAIの普及です。こうしたテクノロジーの進展により、記帳代行といった従来の業務だけでは十分な収益を上げにくくなり、「食えない税理士」が増えてきています。その結果、税理士自身が新しい収益源を求めてコンサルティング業務に進出する動きが強まっているのです。

なお、税理士以外にも、PR会社、ホームページの製作・運用代行会社、WEBマーケティングの支援会社(例:動画編集代行、SNS集客支援など)などがさまざまな支援事業者があります。このような事業者が日々、あの手この手を使って中小企業の経営者にアプローチしているのです。

ここで少し整理してみましょう。

経営者には多数の選択肢があり、コンサルタントにとって競合や脅威となる存在が増えているのは事実です。しかし、見方を変えれば、それは同時にコンサルタント側にも新しい稼ぎ方や機会が増えたことを意味します。

以前であれば、独立してコンサルタントを名乗ったものの生活できるほどの収入を得られなければ、フルタイムのサラリーマンに戻るか、あるいはアルバイトをするしかありませんでした。

行政書士や社労士として独立したものの仕事がなく、結局は他の仕事に従事している人と同じ状況です。実際、コンサルタントを名乗りながらも、コンサルティングの収入(仕事)が全くなく、裏では別の仕事をしていた人は少なくありません。例えば、倉庫でのピッキングや梱包の仕事、夜のお店でのボーイ、あるいは運転代行サービスといった仕事です。

ところが今では、状況は大きく変わりました。ココナラなどクラウドソーシングで案件を獲得する方法もあれば、Uber Eats(ウーバーイーツ)の配達員や短期・単発で働けるスポットワークなど、実にさまざまな稼ぎ方があります。

確かに、サラリーマンの副業人材など競合は増えています。しかしその一方で、コンサルタントにとってもチャンスや選択肢が広がっています。「コンサルタント」という肩書きに固執しなければ、また「コンサルタントはこうあるべきだ」といった固定観念に縛られなければ、実際には稼ぐ手段は数多く存在するのです。工夫次第で、あの手この手で収入を得ることができます。

また、格好だけは整ったホームページに「高額コンサル」の案内を堂々と掲載していても、実際にはコンサルの仕事が全くなく、日常的には別の仕事で収入を得ている人も意外と多いものです。

まさに今は、多様化の時代といえるでしょう。

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このパートは、他のパートに比べて非常に短めにしましたが、いかがでしたでしょうか。

ご存じの通り、このレポートは全20パートで構成されています。そして一貫してお伝えしている目的は、あなたに「区別する力」を身につけていただくことです。それは、より高い視座から自分自身を見つめ直し、進むべき方向を判断できるようになるためです。

最初から順を追ってしっかり読み込んでいただければ、「個人で活動する経営コンサルタントとして、何をテーマに、どこから、どのように検討を始めるべきか」を理解できるようになるはずです。

さらに、この視点は税理士や社労士といった小規模事務所の士業の方々にとっても、自らの事務所経営やサービス展開を見直す上で大いに役立ちます。

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