ひとり社長の経営コンサルタントとして、「他人の企画」に便乗するのではなく「自分の企画」でもやっていかれる(自力でも顧客開拓できる)ようになるためには、競合の存在や脅威について認識した上で、「何をウリにするコンサルタントとして、どのような事業を展開し、どのようなサービスを、どのようなターゲット層に向けて提供するべきか?」ということをよく検討しなければなりません。
私が提供する『独立経営コンサルタントの今すぐ改革』というサービスでは、このようなことをあなたと共にディスカッションを通じて明確にしていくのですが、過去の受講生を見てきた限り、中にはかなり独りよがりな発想で事業を考えている人もいました。
先のパート(ページ)でも述べた通り、今、中小企業の経営者には選択肢がいろいろあります。そのような厳しい環境の中で、「選ばれる存在」にならなければなりません。独りよがりではうまくいかないのです。
では、一体、何をするべきでしょうか? そこで次の図をご覧ください。
これはバリュープロポジション(value proposition)という顧客に求められているが競合他社では提供できない、自社だけが提供できる価値提案の見つけ方を示しています。
「顧客があなたのサービスを買う理由」と表現した方が理解しやすいかもしれません。図を見ておわかりの通り、「自社が提供でき、ユーザーの望むもの」である一方、「競合他社が提供していない」領域を探すのです。
つまり、「どこのセグメントで戦うべきか?」ということを見いだす必要があるのです。ひとり経営コンサルタントとして活躍するためには、勝てるセグメントで勝負することが重要なのです。
また、「ひとりコンサルタント」だからこそ認識すべきことがありますので、いくつかお知らせします。
1つ目は、「今のあなた」に何かしらの優位性があったとしても「その競争優位性はこのまま続くのか?」ということを検討してみることです。もしかしたらあなたの優位性はサラリーマン時代の勤務先のブランドに依存していただけかもしれません。だとしたら、今後、その優位性は時間の経過とともに失われていくはずです。
同様に、サラリーマン時代の経験・知見・人脈などを生かしてコンサルタントになる人は多いのですが、ひとり社長の経営コンサルタントとして仕事をした際に、それをいつまで生かすことができますか? 3年ですか?5年くらいでしょうか?あるいは、会社(以前の勤務先)の看板がないと生かせないのでしょうか?
よく検討してみることで、会社の看板があったからこそ「実現できたこと」は意外と多いことがわかるはずです。人との出会い、会合への参加、セミナー講師の依頼、…これらはどれも以前の勤務先の看板(肩書)があったからこそ、実現したのかもしれません。
その優位性は、「独立後、コンサルタントとして仕事をしていれば強化されるものなのか」という視点で検討するべきです。恐らく、失うことの方が意外と多くあるのではないでしょうか?
2つ目は、業務としてニーズがあっても、ひとりコンサルタントに仕事(需要)があるのかという検討です。ひとりコンサルタント向けの仕事かどうかということ。なぜなら、一人で担当できる業務には限界があるからです。また、「たった一人の会社」は自分では良かれと思っていても顧客からみた場合に「支援体制が十分ではない」「依頼するのが不安だ」「たった一人で大丈夫か?」などと思われてしまうことがあります。つまり、「一人で仕事をしている」ということが、集客面において不利に働くことがあるのです。
3つ目は、「どこまで関わるのか?」というコンサルタントとして関わる領域の明確化です。格好よく表現すると「ドメイン」ということなりなります。
今はあらゆる業務にシステム(テクノロジー)が絡みますが、あなたはそれに精通していますか? 例えば、「私の得意分野はマーケティングです」と言うことは簡単ですが、「YouTube、Facebook、MAなどツールの活用に長けていますか?」ということです。「動画の編集はできますか?」「ホームページをつくれますか?」ということです。「あるべき論」を伝えることができても、ツールの活用ができなれば関われる領域が限定的になってしまいます。
特に中小企業の場合は、「あるべき論を伝える人」や「立派な企画書を作ってくれる人」よりも、むしろ「手足を動かして作業してくれる人」を求めている経営者の方が意外と多いのです。
4つ目は、「どのように関わるのか?」ということです。これは「対面する・しない」ということや「月1回訪問」などということだけではありません。先のパート(ページ)で述べた通り、デジタルワークプレイスの普及によって、同じ場所に集まらなくても仕事が進められるようになりました。例えば、SlackやTeamsのようなツールを使えば、クライアント先のメンバーと常につながることができます。これは一見すると非常に便利なのですが、厄介なことにもなります。
それは常に拘束される(状況把握のために、他人同士のメッセージにも注意を払う)ことになるからです。以前であれば訪問日に対面する以外は、原則、メールのやり取りだけで済んだかもしれません。この場合、「メールには24時間以内に必ず返信します」などと決めておけば問題ありませんでした。ところが、常につながるようになってしまうと、仕事をしない日でも、クライアント先の社員たちは仕事(プロジェクト)を進めているので、あなたは立場上、日々の進捗に対し大なり小なり注意を払う必要があります。Slackのメッセージを確認するなど、1日に1回くらいは何かと関わる必要が出てくるでしょう。
5つ目は、「何を優先させるべきか?」ということです。例えば、「月1回の訪問で30万円」などと記したコンサルティングメニューを作ることは難しいことではありません。ところが、メニューを用意しても、1年、2年と時間が経っても仕事が獲得できないかもしれません。そうなると売上がつくれないだけではなく、あなたのスキルが時間の経過と共に廃れていくことになります。
以前は専門性が高い分野をお持ちであったとしても、その仕事と疎遠になっていけば、時間の経過と共に浦島太郎のような存在になってしまいます。本来やるべきコンサルティングの仕事に費やす時間は殆どない(仕事がない)一方、集客の活動に自分の労働時間の9割以上も取られてしまうかもしれません。このようなことを踏まえた上で、あらゆる局面において「何を優先させるべきか?」ということをよく検討しましょう。
ここでは、PRコンサルタントを例にして少し考えてみましょう。
小さな会社でも一定以上の規模があればPRに興味を示すことが多いかと思います。パティスリーのような事業規模の小さな会社であってもPRのうまい・下手が業績に大きく影響します。だから、たった1人で運営している会社にサービスを提供することは難しくても、やり方を工夫さえすれば、従業員が5人、6人程度の会社から仕事の依頼があることは十分にあります。
どんなに小さな会社でも、たった1人しかいない会社であっても、売上をつくれなければ生き残ることができません。だから、売上アップに直接的なつながりがあると思われるテーマを扱うコンサルティングであれば、事業規模の大小に関わらず、何かしらの形でサービスの提供が可能になります。
YouTube広告の出し方、ECサイトの構築、Zoomセミナーのやり方などはどれも売上アップにつながると思われるテーマであり、十分にコンサルティング事業のドメイン(つまり領域)として成立します。
ところが、零細事業主向けにサービスとして成立しない専門分野があることも確かです。私がこれまで見てきた限り、苦労する人が多いなと感じるのは人材育成や財務系のひとりコンサルタントです。人材育成については、少し大きな企業を対象にしないと顧客の獲得が難しい(ニーズがない)はずです。
同様に、財務についても、個人事業主や小さな会社に振り向いてもらうことが難しいテーマであると考えています。この分野では、一定以上の規模を誇る企業を対象にしないと仕事になりません。
一定以上の規模を誇る会社には顧問税理士や社労士がいるケースが殆どだからです。彼らにはできないことをサービスとして提供するなど、何かしら目に見える形で差別化ができない限り、自らの力で一定以上の金額を払ってくれるクライアントを獲得することは、他の専門分野や領域と比べると難しいかもしれません。
このように、一定以上の規模を誇る企業しか関心を示さないテーマを扱うと、ターゲットになりうる対象が限定されます。おまけに、一定以上の規模を誇る企業には資金力があるので、一部の例外(例:元大手企業の財務部長だったような人)を除き、ひとり社長の経営コンサルタントなど相手にしないことが多いのです。それなりに支援体制が整った会社(コンサルティング会社)を選ぼうとします。
繰り返しになりますが、「あなたの強みを、どこで、どう生かすべきか?」という判断がとても重要です。これが先に述べたポジショニングということです。
なお、「補助金ビジネス」については注意が必要です。国や自治体が金を出してくれるので仕事が獲得しやすいのですが、それは本当にあなたがやりたい仕事でしょうか? あなたの強みが生かせるのでしょうか? あなた以外にも支援者は多数いますが、その中であなたが選ばれたところで、強みが発揮できるのでしょうか?
仮に補助金制度がなくなってしまったとしても、補助金ビジネスでの経験が次なるキャリア展開につながるのでしょうか? AIに代替されないでしょか? このようなことをよく検討してみることです。
Aさんの場合、YouTuber養成講座は、いくつも用意した高額講座の一つにすぎません。他にもさまざまな高額講座を用意しています。また、1日で終了する単発の講座・セミナーを年に何度も開催したり、これら(高額講座、単発のセミナー)を動画コンテンツ(情報教材)として高値で販売します。また、驚くことに、多数のファンを獲得すれば、中には1時間に30万円や40万円もの大金を出して相談に乗って欲しいと希望する人が現れるのです。
Aさんのように「1対多」の事業展開では、「億」を超える売上を作ることができますが、(法人ではなく)個人や個人事業主を同時に多数集めなければなりません。なにかと目立つことになるので、当然ながら、クレームも多くなります。誹謗中傷を受けることも多々あります。一方の「1対1」で場合は、1社毎に集客すれば良いのです。目立たずにやることもできます。ホームページがなくても問題になりません。
Aさんのような「1対多」で多くの人がやっていることは「ファンマーケティング」ということ。これは、アイドル歌手のファンクラブの運営と同じように考えてみればわかりやすいです。ファンになった人は、お気に入りアイドルの写真入りのポスター、マグカップ、Tシャツなど何でも欲しがります。カリスマを演じて、これと同じことを仕掛けるのです。そうすれば、バカ高い価格を設定しても購入する人が現れるわけです。わずか1時間の相談のために40万円もの大金を払う個人もいるのです。
「1対1」よりも「1対多」の方が、遥かに稼げることが出来ることは事実です。しかし、真似しても殆どの人が上手くいきません。彼らの「いいお客さん」になってしまい、買わされ続けてしまうのです。また、多数をファンを「いけす」に集めて育てることをやらずに、素晴らしい商材を先に作ってもなかなか上手くいきません。素晴らしいLP(ランディングページ)を作っても、あまり意味がないということ。いかにして「いけす」に見込み度の高い人を多数集めることができるかが全てということになります。サービスは「後出し」で良いのです。
「あなたの強みを、どこで、どう生かすか?」
これについては、「一体、誰が、あなたのことを評価してくれるのか?」ということをよく理解することが重要です。どういう人(顧客層)があなたのことを評価する(価値を見いだす)一方、どういう人が評価しないのでしょうか?
あなたのキャリア(これまでの勤務先)、年齢、住んでいる地域などを踏まえた上で、どういう顧客層(セグメント)にアプロ―チすると(あなたが)最も高く評価されるのか?ということをよく理解することが重要です。
こういうことについてあなたとの徹底的にディスカッションを通じて明確にしていくのが「独立経営コンサルタントの今すぐ改革」のサービスになります。そこで、気になる方は、ぜひ「オンライン相談・簡易診断セッション」の参加をご検討ください。無料で参加いただけます(下記をクリック)。