このレポートの最大の目的は、「区別する力」「分ける能力」を身に付けていただくことです。ひとりコンサルタントを取り巻く市場環境を理解することで、ご自身が選択すべき道について整理できるようになります。「どうすれば自分が売れるのか?」が見えてくるのです。
なお、【新 特別レポート】は20のパート(ページ)で構成されています。
前のパートで説明した通り、ひとり社長の経営コンサルタントを取り巻く市場は2010年頃と比べても大きく変わりました。今後も変わっていくことは間違いありません。この世は諸行無常ですから。
でも、時代が変わっても不変のことがあります。それは顧客から「選ばれる存在」でなければならないということ。先に述べた通り、今の時代、顧客(経営者)にはさまざまな選択肢があります。公的機関へ行けば、中小企業診断士などが務めている相談員(コーディネーター)からタダでサービスを提供してもらえます。
そんな中、「どうすればあなたが選ばれる存在になれるのか?」ということをよく検討しなければなりません。
「どうすれば、あなたが選ばれるのか?」
この答えについては人それぞれです。ただし、ハッキリしていることは、見込み客が持っている他の選択肢を知ることで、あなたのやるべきことがより見えてくるということ。まさに「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という通りです。
ひとり社長の経営コンサルタントとしてご自身を売り出すためには、主たる競合や脅威について理解した上で、「自分は彼らと比べて何が違うのか?」「彼らよりも優れている点(彼らに勝てること)は何かないか?」「負けてしまうことは何か?」などという意識を常に持つ必要があります。その上で自身のポジショニングを明確にするのです。
ところで、ひとり社長の経営コンサルタントの主たる競合や脅威は、一体何(誰)になるのでしょうか?
最も稼げるのは、零細・個人事業主向けに「1対多」で高額講座(高額塾)+α(コンテンツ・情報商材の販売など)を提供する方法です。しかし、ここは猫も杓子も参入できる超激戦区。一般の企業向けのコンサル集客とは異なるスキル(実際よりも遥かに大きく見せる・その気にさせる演出力など)が必要です。おまけに、常に下剋上が起こり長居することが難しいのです。そこで、ひとりコンサルタントには「小企業」向けをおすすめしています。
このレポートではあなたが「小企業」から仕事を獲得するという前提で話を進めています。
その1つ目は公的支援機関です。代表的なのが「よろず支援拠点」ですが、他にもさまざまな支援機関があります。国、都道府県、それに市町村単位で中小企業向けの支援が行われており、多数の団体(支援機関)が存在します。
このような公的支援機関で仕事をしている相談員の多くは、コーディネーターという肩書を貰って週に2日、3日ほど仕事をしています。中小企業診断士の有資格者が多くを占めています。彼らは、一旦、契約すると1年間の雇用が保証されます。
また、翌年度も契約を更新するために、一定の実績を残そうとする人が少なくありません。その実績とは件数なのです。相談件数や支援した案件の数などが該当します。
そのため、「無料なのでぜひ、ウチのサービスを利用しませんか?」などと地元中小企業の経営者に対して営業活動を行うことがよくあります。そして、「無料ならぜひ月に1回、半年ほど相談に乗ってもらおう」「こういう公的支援機関の人とつながっていると、新たな補助金情報を教えてくれるから利用しよう」「断ってしまうと、〇〇補助金の審査の際に不利になるかもしれない」などと考えて、特に必要がないにも関わらず、安易な気持ちから公的支援機関のサービスを利用する経営者も多いのです。
事実、公的支援機関の指導を受けることが補助金を貰うための条件になっていることがよくあります。
さらに、このような支援機関には「専門家派遣事業」のサービスがあることが多く、中小企業は格安の料金で専門家を派遣してもらうことができます。無料や格安料金で多様なサービスを提供してくもらえるのです。
ちなみに、よろず支援拠点がスタートしたのは2014年。以前はその存在について知らない経営者が多かったのですが、2020年以降はコロナ関連の給付金・補助金絡みの相談窓口の役割を担い、中小企業の経営者の間でかなり知名度が高まりました。
よろず支援拠点のホームページに数字が公表されていますが、初年度に65,737件だった相談件数は2020年度には432,640件と6倍以上にも増加しました。2022年度には50万件を突破しましたが、これは恐らく補助金の影響が大きいと思います。よろず支援拠点の存在はコロナ禍の影響で一躍知られることになったと言えます。
2つ目は他の民間サービスです。副業人材、クラウドサービス、顧問サービスなどのサービスを提供する会社があります。これらについては先のパートにて詳しく説明した通りです。
以前は完全に部外者であった大手企業のサラリーマンが副業人材として中小企業のコンサルティング業務に従事するようになったのです。彼らは、本業でそれなりの給与を得ており、副業のコンサルティング業務で大金の獲得を期待することはありません。しかも、会社(本業)の仕事を通じてさまざまな情報を持っており、ネットワークも有しています。このような人たちとも競争を強いられるのです。
3つ目は顧問税理士などの支援事業者となります。一般的に、ちょっとした会社であれば中小企業とはいえ顧問税理士を抱えています。そのため、資金繰りなどの悩みがある場合は、まず顧問税理士に相談します。
もし、顧問税理士が「自分たちの力では手に負えない」と判断したときは「この案件であれば○○さんが詳しいですよ」などと他の相談先を紹介してくれるでしょう。そうなると、経営者は紹介された事業者に打診することになります。
ということは、相談先の紹介がない場合に限って、やっと他の選択肢を求めることになります。企業は税務・財務に関して、まずは顧問税理士に相談することが一般的なので、そこでらちがあかないときに限って他のサービスの活用を検討するのです。だから、財務・経理などで売り出そうとするひとり社長のコンサルタントは、顧問税理士では提供できないような領域で勝負しない限り、大苦戦を強いられるでしょう。
税理士以外にも、PR会社、ホームページの製作・運用代行会社、WEBマーケティングの支援会社(例:動画編集代行、SNS集客支援など)などがさまざまな支援事業者があります。このような事業者が日々、あの手この手を使って中小企業の経営者にアプローチしているのです。
以上の通り、主たる競合や脅威として、1)公的支援機関、2)副業人材、クラウドサービス、顧問サービスなどを提供する会社のサービス、3)顧問税理士などの支援事業者などがあるということです。
ここで少し整理しましょう。
経営者には多数の選択肢があり、コンサルタントにとって競合や脅威となる存在が増えたことは確かです。これについて少し見方を変えれば、コンサルタント側にも稼ぐ機会が増えたことになります。
以前なら、独立して生計が立てられなければ、フルタイムのサラリーマンに戻るか、どこかでアルバイトをするより他ありませんでした。行政書士や社労士として独立したものの仕事がない人と同じですが、コンサルタントを名乗っていても、収入(仕事)が全くないため、こっそりと他の仕事に従事している人が多数いました。
例えば、倉庫でのピッキングや梱包の仕事、夜のお店でボーイ、運転代行サービスなど…。
しかし、今ではクラウドソーシングの案件を取りに行くなど実にさまざまな稼ぎ方があります。
サラリーマンの副業人材など競合が増えましたが、一方でコンサルタント側にもチャンスが増えたのです。「コンサルタント」と呼ばれる肩書にこだわらなければ、あるいは、「コンサルタントはこうあるべきだ」などという固定観念にとらわれなければ、いろいろな選択肢があるのです。あの手、この手で稼げるのです。まさに多様化の時代です。
このパートは他よりも非常に短くしましたが、いかがでしたか?
レポートには全部で20ものパートがあります。お伝えした通り、このレポートの目的は、あなたに「区別する力」を身に付けていただくことです。より高い視座で自分自身を見つめ直していただくためです。
最初からしっかり読み込んでいただければ、「個人で活動する経営コンサルタントとして、何について、どこから、どのように検討すべきか?」ということについて、よく理解できるようになるはずです。
そこで、「プロローグ」からちゃんと読んでみたいという方は、こちらをクリックしてください。