【新 特別レポート】は20のパート(ページ)で構成されています。
ひとり社長の経営コンサルタントの働き方・稼ぎ方は多様化しており複雑化していますが、ビジネスモデルについても同様です。実にさまざまなビジネスモデルがあります。
ただ、これらをよく整理すると大きく2つに分けられると私は考えています。これは「先出し」か「後出し」かの2つとなります。
「先出し」とは「私はこういうサービスを提供します」「ウチにはこういうサービスがあります」という内容をあらかじめ潜在顧客や見込み客に向けて明示する方法です。コンサルサービスを先に用意し、それを欲する顧客を後から探し出すことになります。すべてを先に用意してから顧客を見つけに行くという方法になります。
一方の「後出し」とは「私はこういうサービスを提供します」「ウチにはこういうサービスがあります」ということを先に出さないやり方です。例えば、何かしらの情報を提供し、それを欲する人たちをあからじめ集めておき、その人人たちに後で「あれも、これも」と案内するのです。あるいは低額で何かを販売する方法もあります。目的は見込み客を集めて彼らと関係を構築していくことです。
コンサルのサービスを案内することよりも、むしろ関係を構築することを優先するのです。メール、動画、LINEなどさまざまな方法を通じて関係を構築するのです。それには、何も1対1で対面しなくても良いのです。そして、関係が構築された時期を見計らい、特定のグループを対象にある日突然、「○○講座をやります」「○○セミナーをやることにしました」などと案内します。
繰り返しになりますが、はじめから商品・サービスを欲する人を探し出そうとするのではなく、関係を構築し、彼らの反応をうかがいながら、商品・サービスを後から出す(見せる)というやり方です。だから、見込み客との関係づくりを通じて、ニーズや困り事などを把握した上で商品づくりを行う事業者もいます。これが完全なる「後出し」となります。
例えば、2020年にコロナ騒動で実質無利子・無担保融資が開始された時に、「無利子・無担保で大金が獲得できます」「何十年に一度っきりのチャンスです」「○○さんは日本政策金融公庫から4,000万円をゲットしました」「専業主婦がなんと500万円を獲得しました」と情報を発信し、人の期待感を刺激しながら「コロナ融資獲得支援コンサルタント養成講座」などと称した即席の講座を立ち上げ、手っ取り早く稼ごうとする(手持ちのリストに積極的に案内していた)輩がいました。このやり方は典型的な「後出し」となります。
「後出し」の方法は、あらかじめ見込み客と関係を構築し、ニーズを把握した上でアプローチすることになるので、「後出しジャンケン」をやっている感じになります。
このように大きく「先出し」と「後出し」に分けることができるのですが、ハッキリした境界線があるわけではありません。両者の折衷案でも良いのです。
次に、別の視点からビジネスモデルを検討してみましょう。
例えば、「集団型か個別型か? あるいは、教える型か教えない型か?」という切り口による検討となります。
「集団型か個別型か?」ということについては、あえて説明するまでもないと思います。また、「教えるか教えないか?」ということは、教えないコンサルティングもあるということです。これは、一般的な講義・レクチャーを行うスタイルではなく、質問を相手にぶつけて自ら考えてもらうというやり方です。答えを先に教えるのではなく、自分の頭で考えてもらうことを優先させるやり方です。
私は『独立経営コンサルタントの今すぐ改革』という独立した経営コンサルタント向けの1対1の個別コンサルティングサービスを提供していますが、このサービスではまさに自分の頭で考えてもらうことを優先しています。
さらに、コンサルティングのビジネスモデルを検討するに際し、「どのような追加サービスを提供すべきか?」という視点も検討すべきです。
旧来の企業向けコンサルティングではリアルで対面することが当たり前でしたが、今ではオンラインだけで済ませる方法も普及しています。とはいえ、教えてあげる、あるいは、講義するという方法がまだ一般的です。
ところが、このような旧来のコンサルティングのやり方に変化が見られるようになってきました。以下の通り、+α(プラス・アルファー)のサービスを提供する事業者が増えてきたのです。
ひとり社長の経営コンサルタントにも十分に可能な方法をいくつか紹介しますので注意して読んでみてください。
1番目の「情報コンテンツの提供・販売」とは、まさに情報コンテンツを提供する、あるいは、販売する行為です。これは多くの人がやっているホームページやブログに記事や動画をアップすることだけではありません。コンテンツ(例:90分のセミナー)そのものをオンラインで販売することなどが該当します。
コンテンツを販売するためには、売るためのノウハウが別途必要となりますが、有料で販売している(バラ売りしている)コンテンツをコンサルティング契約している事業者(社)に対して、特典という形にして無料で提供することもできます。無料で提供すると言うと聞こえは良いのですが、実はバラで販売している情報コンテンツをコンサルサービスの中に含めた形で販売しているのです。
2番目の「システムの提供」とは、「当社とコンサルティング契約を交わせば○○システムが無料で利用できます」などと案内する方法です。例えば、「ウチとコンサル契約すればステップメール配信機能で有名な○○社のメール配信サービスが無料で利用できます!」などと案内するのです。「無料で利用できる」と書きましたが、当然ながら高額なコンサル料金にメール配信サービスの料金含めてしまっているだけ。
しかも、実はコンサルタント側は○○システムというサービスの代理店業をやっているにすぎません。○○システムの代理店として○○システムを、コンサルティングとは切り離して、単発で販売するのではなく、自分のコンサルサービスに契約する事業者(社)にセット販売している(押しつけてしまう)のです。それを、見込み客に対して「ウチと契約すれば特典としてご利用いただけます」などと案内しているのです。
3番目の「コミュニティの提供」とは、まさに高額塾の運営者たちが活用しているノウハウとも言えます。私はこれを「ワイワイ・ガヤガヤ型」と名付けています。コニュニティに属することは、一見すると非常に楽しいことです。懇親会と称した飲み会がいつも開催されます。こういう会合を楽しみに参加している人も少なくありません。
会社員であるサラリーマンと異なりひとり社長のような個人事業主の場合、ヨコのつながりが限定的です。中小企業診断士協会のような団体がありますが、有資格者だけに開かれた団体であり資格がない人は属すことができません。また、商工会議所などがありますが、「あそこは年配のおじさんばかりが来るから楽しめない!」「上下関係があるから嫌」と感じる人も少なくないようです。そのような彼らにとって属すべきコミュニティの存在は大変にありがたいのです。
また、主催側も「会員同士の交流」を積極的に推進していることがあります。それには理由があります。1つは、いったん会員としてグループに入り、そこでグループ内の何人かと友達関係を築くと、そこから抜け出したくてもためらう人が多いからです。抜け出せなくなってしまうのです。中には「全く気にしないよ!」という人もいますが、一方で「私はこのグループ、ちょっと…」と感じてもそこからなかなか抜け出せない人がいます。それは人間関係を気にするからです。会員制ビジネスをうまく築く人は、そういう「人間の性」をうまく利用してコミュニティを提供します。
もう1つは、会員に対して自身からモノやサービスを提供するだけではなく、会員と会員を何かしらの形で結びつけるマッチングを提供することで何かしらのビジネスを展開しようとして(マネタイズの機会を狙って)いるからです。
なお、「コミュニティの提供」について詳しく書くと、この内容だけでも10ページ以上のボリュームになってしまうので、詳しいことを知りたい場合は「事例から学ぶ集客の知恵」の記事を読んでみてください。たくさんのことが学べるはずです。
さて、4番目の「紹介・マッチングの提供」は、「コミュニティの提供」の延長上として行われます。バックマージンをもらうために、業者仲間を紹介する人も大勢います。これには、ホームページの作成、セールスレターの作成、売れる動画の作成などさまざまな業者仲間が含まれます。
「関口の紹介価格なら通常の3割引だよ」などと伝えてあげれば、多くの人はそれを「お得だ」と考えるので紹介・マッチングを通じて稼ぐことができるのです。
最後の「実行・運用・代行サービスの提供」は、コンサルティングを通じて教えたこと・伝えたことを代わりに実行・運用・代行してあげるサービスです。先に「システムの提供」について述べましたが、そのシステムを運用を代行してあげることもできます。
私はコンサルティングをやっていて痛感しますが、何度説明してもできない・わからない・実行しないという人(事業者)が必ずいます。そこで、「自分(自社)の力ではできない」「いつまで経っても自分ではやらないだろう」と判断した人は、「金を払って他人(他社)にやってもらった方が良いだろう!」と考え始めるのです。
だから「実行・運用・代行サービスの提供」はコンサルタント側にとっても売上アップにつながります。しかも、わざわざ新規顧客を探し出してくるためのコストが掛からず、既存客から追加の売上を計上することができます。
この通り個人事業主や零細事業者向けの内容が中心ですが、コンサルティングサービスの中にさまざまな+α(プラス・アルファー)のサービスを提供し、保険の特約のようなてんこ盛りの形で提供し、課金することができます。特典をいくつも並べてお得感をうまく演出することで、本来のコンサルティングの料金がかなり高くてもそう思われなくても済むようにするのです。まさに保険の特約のように複雑にし、ヨソとの比較を困難にさせるのです。
「ヨソとの比較を困難に…」と書きましたが、これは非常に重要なポイントです。例えば、あなたが「月に約2時間の訪問(1回)+別途、1時間のオンラインミーティング(1回)で、月額25万円」というサービスを案内したとしましょう。このような場合、いろいろな情報を集めている経営者なら「ビザスクを通じて専門家に支援してもらえば1時間に1.5万円程度ですむ」「地元のよろず支援拠点へ出向けば、タダで相談に乗ってくれる」などと考え始め、「これ(あなたのサービス)はバカ高くないか?」などと判断しかねません。
これでは簡単に切り捨てられてしまいます。こういうことにならないよう、保険の特約のように複雑で、ヨソとの比較が困難になれば、「バカ高くないか?」なとど思われなくてもむのです。
このようにコンサルタントのビジネスモデルが多様化していく中、「月に1回だけ訪問し、数時間ほど滞在して」という旧来型の法人向けコンサルティングは廃れていくことになるでしょう。その背景や理由については、後に説明します。
大企業に大物政治家を紹介できる人などの例外もありますが、一般的にひとりコンサルタントが、ひとりで普通のコンサルティングを提供する限り、「億」の売上を作ることは「至難の業」です。
上図では月1回だけ訪問する支援で1社に対して月30万円を請求する事業を仮定しています。このように月に30万円も払ってくれる企業(案件)を、一人で同時に20件も抱えた場合の売上(年収ではない)となります。毎月の売上は600万円。年換算すると7,200万円となります。この位の数字がMAXではないでしょうか?
上記は、ひとりコンサルタントにとって現実的な数字となります。月に20万円を払ってくれる企業案件を同時に5社(件)抱えた場合、月の売上は100万円です。年間売上は1,200万円になります。また、少し欲張って毎月25万円を払ってくれる企業の案件を、(5社ではなく)6社抱えた場合、毎月の売上は150万円となります。年間の売上は1,800万円になります。
「1対1」と異なり「1対多」においては、やり方次第で億が稼げます。これはコンサルティングというよりも、むしろ情報販売ビジネスと表現した方が良いでしょう。顧客が1社から2社へ増えると手間も約2倍になる「1対1」と異なり、「1対多」では顧客数の増加に比例して手間が増えることはありません。だから売上が青天井となるのです。
上図は「1対多」を展開しているAさんの売上です。このAさんは、いくつもの高額塾を運営しており、その一つが「YouTuber養成講座」となります。各回3時間、計6回で終了するこの講座を企画し、20名から申し込みがあれば売上は1,100万円となります。WEB参加も含めて計40名の集客ができれば、この講座を提供するだけで、売上はなんと2,200万円にもなります。
Aさんの場合、YouTuber養成講座は、いくつも用意した高額講座の一つにすぎません。他にもさまざまな高額講座を用意しています。また、1日で終了する単発の講座・セミナーを年に何度も開催したり、これら(高額講座、単発のセミナー)を動画コンテンツ(情報教材)として高値で販売します。また、驚くことに、多数のファンを獲得すれば、中には1時間に30万円や40万円もの大金を出して相談に乗って欲しいと希望する人が現れるのです(次のパート7で詳しく説明しています)。
「1対1」よりも「1対多」の方が遥かに稼げることが、おわかりでしょうか? 続きは次のパートで説明しています。
ところで、コンサルタントの世界でも「新規顧客の獲得コスト」や「時間軸」という概念は非常に重要です。
「新規顧客の獲得コスト」については、例えば「セミナー案内の広告に30万円を出せば、8名が参加する」「セミナー参加者の4人に1人は成約するので、8名の場合は2名が成約してくれる」ということがわかっていれば、新規顧客の獲得コストは15万円(30万円÷2名)となります。
一方、広告を出さずに2件の成約を獲得するためには、他にどのような方法があるでしょうか? 成約までにはどのくらいの時間が掛かるでしょうか?
セミナー広告に30万円を出せば、2カ月後には2件の成約が獲得できる一方、広告費を使わない場合は2件獲得するまでに15カ月掛かるかもしれません。この場合は、広告投資をしなくても済んだかもしれませんが、長らく(15カ月間)稼ぐ機会を失うことになりますね? これは機会損失ということ。
このような時間軸や機会損失の概念が必要であり、それが損益、そして「この案件を取るべきか?」と判断を下す際に大きな影響を与えるのです。